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あなたの帰りを待ってる匂い

18時過ぎの住宅街をスーパーの袋をぶら下げて歩く

今日はごぼうが安かった

きんぴらごぼうにするか、時間もあるので久しぶりに炊き込みご飯でもしようか、どっちにしよう

誰か見知らぬ人の家からお味噌汁の匂いがする

ぶんわり優しい出汁の匂い

しばらくすると魚を焼く香ばしい匂いもしてくる

さんまかなー

大根おろしのせて食べたいなー

誰かの帰りを待っている人の気配

家に帰るとホカホカのご飯と今日あった出来事を聞いてくれる家族がいるっていうのはとっても幸せなことだよなぁ

実家暮らしの時は帰るたびにごはんの匂いを嗅ぎつけて今日の晩ごはんを当てるのが日課だった

ひどい時はメールで晩ご飯のメニューを確かめたもんだ

毎日毎日、疲れた日も嫌なことがあった日もご飯を作り続けてくれた母への感謝が今更ながらわきおこる

一人暮らしを始めて2年半

最近は忙しさに忙殺されて自分のために手の込んだ料理を作る時間は全くなかった

朝も食べない、昼は4時にデスクでヨーグルト、夜は牛丼を罪悪感を感じながら口に放りこむ

「味わう」ではなくて「放りこむ」という表現がたぶん適切だった

生産性ってさ、そればかりに取り憑かれるといいことない

人間って誰かのためなら、ちょっとは頑張れるのに自分のためのご飯は忙しさに負けて疎かにしちゃうのかな 

私は今日、自分のためだけに料理する

めんどくさいけどゴボウをささがきにして、油揚げもちゃんと湯通しして、美味しい炊き込みご飯を作るんだ!

いっぱい食べて元気になれ、私

食べることは生きること

嫌なことがあっても、泣きたい日も、もう明日なんて来るなって思っても、お腹は空くし、お腹いっぱいになったら、ちょっとは元気が出るもんだ

食べることは生きること

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