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愛すべき人々  T君

主人の友達グループの中の T君。
 T君の家は地元ではかなりの地主さん。
町中に T君の家の駐車場やらマンションやらが点在している。

私は T君とは小学校から一緒。
小学生の頃は T君の家には川が流れているとか滝があるとかいう噂があった。
T君の家は広大な敷地で木がたくさんあって、「お屋敷」という感じでみんなの家とは全然違っていた。

私たちの地元は、中学校になると2つの小学校が一緒になる。主人はもうひとつの小学校だったので、 主人とT君とは中学校からの付き合いとなる。

中学生の頃かなりヤンチャな友達が多く、主人もヤンチャなタイプだった。
なので、T君のご両親に煙たがられていたらしい。
そりゃそうだ!ご両親は大切な跡取りをおかしなことに巻き込まれたら大変だと思っていたに違いない。

 そんなT君が結婚して(奥さんの Mちゃんは今でもモデルさんみたいです!)、周りも結婚して T君のご両親も、家の仕事を継ぎ、家庭を持った主人を少しずつ信頼してくれたようだった。

T君に子供が産まれて、それが男の子と女の子の双子ちゃんで、3、4歳の頃かな?みんなでスキーに車で行った時のこと。
楽しいスキー旅行を終え、帰りの山道。
我が家が先頭を走り、2番目に T君家族、その後ろに2台で雪の山道をゆっくり下っていたんだけど、途中後続の T君の車がついて来ない。

しばらく走って携帯で連絡を取ったら、事故ったと言う!
車を止められるスペースを見つけて、主人は歩いて山道を戻って行った。

そこで見た光景は今でも忘れないと言う。
車はスピンした後、崖に前輪ギリギリまで飛び出していた!
 T君はもちろん、その後ろを走っていた2台の家族も、ああ、もうこれはダメだ!と思ったらしい。

みんな心臓バクバクで、フリーズ状態だったらしい。
双子ちゃんは後部座席でスヤスヤ。

私と娘は携帯に連絡しても誰も出ないし、
いったい何が起きたのかわからず、ただただ待つしかなかった。

とにかく落ち着いて、ゆっくりゆっくり車を後ろに下げ、大渋滞となってしまった山道の交通整理をし、どのくらい経ってからだったろう?主人が後続の車に乗って戻って来た。

主人も興奮気味で、とにかく山を下りようとソロソロと進み、大きな道路に出た時にはふうぅ〜と息を吐き、このまま帰れないと言うので、ファストフード店を見つけて、みんなでひと息ついた。

この話は後々、事あるごとに話題に登るんだけど、あの時、 T君や家族にもしものことがあったら、私たちはもうこの場所で暮らせなかったねと、 T君のご両親に合わせる顔がなかったよね、と今では笑い話だけど、現場を見てない私でもゾッとする。

 T君は不動産業の他に、いろいろ行政絡みのボランティアなどをしていて、そろそろ政治の世界に行けばいいのに、なんて声もあるのだが、 T君曰く

「やらないよぉ、政治の世界に行ったら、みんなと馬鹿騒ぎして飲めないじゃん!」

みんなで、

「そこ?そこなの?」

と笑った。

どんなにみんなと生活環境が違っても、そんなことは微塵も見せないT君。
自慢するわけでもないし、ひけらかさないし、至って普通。
昔から変わらない。

私がここ数年大変な思いをしてた時、そっと横に来て、

「それぞれ、人生やめたくてもやめられない事ってあるじゃない。みんな一緒だと思うんだ。俺もそうだよ。頑張ろう!」

って言ってくれた。
酔ってて覚えてないだろうけど(笑)

忙し過ぎて、物忘れが酷い T君。
体に気をつけてね!


#友人 #地元 #ファミリー
#大切な人

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