真谷優の大学留学記13「着陸」

目を覚ますと日本の空が見えてきた。眼下には空港が見え、もうすぐ着陸することがわかった。
しばらくして着陸し、4ヶ月ぶりに日本の地に降り立った。入国審査などを済ませて、空港から出て実家へと向かった。鍵が開いていたのでこっそり入って驚かしてやろう。玄関には姉ちゃんの靴と男物の靴があった。さては穣さんが来てるな。静砡はもう夏休みに入ってるのかね。スーツケースを抱えて2階の自室へ置く。父さんと母さんはどこへ行ったんだろうか。
まぁそんなことは今はいい。散歩してこよう。
散歩してると清巌の同級生の1人に会った。
「よォ真谷久しぶりだな!大学はどうしたんだ?」「今は夏休みに入った」「いつまでなんだ?夏休みは」「8月末まで」「結構長いんやな」
「響に会ってこないと」「おう、いってら」


響の家に着いたのでインターホンを鳴らした。
しばらくして響のお母さんが出てきた。
「あら真谷くんどうしたの?」「響は居ますか?」「響なら和室に居るよ」締め切られた襖を勢いよく開けるとそこには響と響のお父さんと、父さんと母さんがいた。「なんで父さんと母さんがここにいるんだ……?」色々と言いたいことがあったが、最初にでてきた言葉がそれだった。
「優!良かったな!」父さん、何がだよ。「お前にこんな美人な彼女がいたなんて知らなかったよ」まぁそりゃあまり言ってなかったからね。
「それで、いつ籍を入れるの?」??????????
「え?え?どゆこと?確かに付き合ってはいるけど、そんな先のこと……」実の所、留学を終えたら結婚する計画だったのだ。響曰く、僕を驚かせたくてやったそう。かと言っていきなり外堀埋めるんか……怖いよ。「外堀埋めるとか聞いてないよ……」「何を言ってるんですか?優」「え?」
外堀なんて既に埋まってるんですよ
どうやら式場の見積もりまで済んでるらしい……なんてこった。 
『帰ったら覚えてなさいね!』ってこういうことだったのか……。
「とりあえず!そんな急がなくてもいいやろ?響も1回落ち着いて?」「今留学してるし、留学終わってからでもいいよね?ね?」「分かりました。じゃあ留学終わるまで我慢しますね」ふぅ。何とか学生婚は避けられたか。なんだかどっと疲れたので差し出されていた水を一気に飲み干した。「ぷはぁ……」飲み干した直後、気が抜けるようにその場に倒れた。

ー数時間後ー

「ん……」
目を覚ますと僕は響の部屋のベッドで寝ていた。
左側に体温を感じたので、目を向けると響が僕の腕に抱きついて寝ていた。……なんか今日は色々と事が起こりすぎて混乱するな……。「ゆう……愛してますよ……」一瞬ドキッとしたが、すぐに寝言だと気づいた。
そんなこんなで僕の夏休みは波乱の幕開けを迎えた。


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