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居場所

復帰後すぐの大会はひとつ上の先輩の最後の大会

スタートではなかったが、試合の途中名前を呼ばれ私は復帰後初めて公式戦に出た

ユニホームを着て、たくさんの観客の中でコートに立つ自分、緊張とワクワクを感じるこの瞬間、
そう、私はこの感覚が好きだったんだ
「ただいま」と心の中で言ってコートに入った

あ〜戻ってきた、帰ってきた

私の居場所はここなんだと

それまでは練習がきつかったり、上手くできなくて悩んだり苦しかったり、目の前の苦しさやしんどさばかりを見ていたように思う
しかし、怪我をしてプレーができなくなってそれはとても幸せなことだったんだと心の底から感じた

全部全部当たり前だと思っていたものが全部できなくなった
周りと比べてプレーできなかった分ロスした時間は確かに大きいかもしれない
でも私は自信を持って言える

怪我をしてよかったと

怪我をしてコートから離れた期間で気付けたことがたくさんあった

バスケが好きであるというシンプルな気持ちと、コートに立てる喜び、そしてそれを実現できる身体があること、根本的なことで言えば日常生活を何不自由なく送れるということ

私はバスケをしていく中で一番大切なものを見失っていたんだなと感じた

そしてもうひとつは周囲に対する感謝

バスケから離れたいと言った時に何も言わずに好きなように後悔なくやりなさいと見守ってくれて、復帰すると言った時には怪我を少しでも早く治すために練習後毎日のように通院させてくれて、仕事終わりで疲れているのに送迎してくれた母

通院のせいで中学生なのに1人で家にいる時間を作らせてしまっても何ひとつ文句言わず、それなのに毎回のように試合を見に来てくれて、足を気遣ってくれた弟

復帰を諦めた時も戻ると行った時も、たった一言「待ってるよ」と私を信じて待っていてくれたチームメイト

とても厳しいトレーニングメニューだったけどそれも私のためにとやってくれて、毎回頑張ろうと励まし、最後の試合にはテーピングなしでコートに立たせてくれるという奇跡の復活をさせてくれた理学療法士の先生

周りにたくさん応援してくれて、支えてくれて、力になってくれる人がいたからこそ、私はコートに再び立つことができた

言葉では表せない程辛くて険しい先の見えない真っ暗闇の中を歩いているような感覚だったけど、それを乗り越えたからこそ得たものはとても大きい、そう感じることができた

それは怪我を通じて私はバスケットボールプレイヤーとしてだけでなく、人間として大きな経験をし、大きな成長をしたからこそ感じることができた感情である

あの時諦めずにもう一度前を向いてよかった

最後にその日のバスケノートに書いていた言葉をここにも書き留めておこうと思う

私の1番輝ける場所はコートの上

コートの上が私の居場所である


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