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高校生ワークショップで実現したかったこと

 先日、「高校生まちづくりワークショップ」の結論が出て要望書を提出したいと聞き、「それだったら公開プレゼンしたほうがいいのでは?」と考え、その場で企画係にお願いしました。企画係が高校生と調整してくれて、1月23日、日曜日でしたが6人のうち2人が来てくれてプレゼンとあいなりました。メディアのかたも7社お越しいただきました。まことにありがとうございました。NHKと信濃毎日新聞では既に報道されています。(トップ画像はNHK長野局のHPから)

 いただいた提案は二つです。
1.龍神の杜公園「バスケットゴール」の設置
2.中山道小田井宿のカーブ「ドットライン」の設置
です。

1.は、佐久や軽井沢など町外からの利用も多い町中心部の「龍神の杜公園」は、小学校低学年向けの遊具しかなく、中高生が体を動かして遊ぶことが難しいことによる提案です。

2.は、千葉県八街市の交通事故をきっかけに考えてくれた提案で、車線の内側両方に点線を描くことで車線幅が狭くなった感覚を運転手に与え、車両の速度抑制を図ります。

私からの返答・感想は現時点では以下のような内容となりました。

1.に関しては、自宅、学校に次ぐ第三の場所(サードプレイス)が町内に乏しいとは認識しており、バスケットゴールが一つの答えになり得るとは感じた。一方で、周辺への安全性を確保するなど予算全体を見ると、おそらく500万円という予算内では無理があるだろう。逆に予算に縛られずに考えてみると、追加的な発想も出てくると思う。例えば私の高校時代を考えると、バスケットゴールがあるから公園に出かけようとは思わなかったと思うが、いつでも集まれる小屋があればそこに集まりたいとは思ったかもしれない。運動の苦手な子へのサードプレイスの提供という観点では、むしろもっと大がかりなものになってもいいかもしれない。

2.に関しては、道路における歩行者の安全性を考えるとガードレールが効果的だという声がある一方、町内にはガードレールを設けてしまうとそもそも車がすれ違えなくなる場所も多く、ドットラインによる車両速度抑制という現実的な策を出してくれたことには大変感心した。路側帯に「ここは歩行者が通りますよ」と表示するグリーンベルト等とともに、どこを優先して取り組んでいくか考えていきたい。

 ワークショップは8月から11月までの月イチ計4回開催されました。メンバーは女子2人、男子4人。多くが生徒会活動に取り組んでいるため、この頻度が限界でした。よく頑張ってくれたと思います。

 開催の狙いは、町内には現時点で高校がなく、まちづくりにおける高校生の位置づけが弱いことから、役場と高校生のアタッチメントを強化していくことが第一にありました。実際、開催に向けては、毎年1月に本物の議場で中学3年生を対象に開催している「中学生模擬議会」の質問経験者に呼び掛けて人集めを始めたものの、地元に高校がないことから個別対応が必要となり難航、その後中心的に活動してくれるH君のつてを頼って集めたのが実情です。このように、町と高校生の距離感は既にあるのです…。だからこそ今回のワークショップには大きな意味があったと思います。

 もう一つの狙いは、これからの町をつくっていく若者たちのアイデアを今のまちづくりに取り込むこと。前澤友作さんが当町にくださったふるさと納税500万円の使い道を考えるに当たり、役場職員が一定時間をかけて討議しても、普段扱っている予算の金額と比較すると必ずしも大きくないため、視野が狭い状態で議論が進む心配がありました。一方、高校生にとって500万円という金額は決して小さくありません。500万円という金額は彼らにとっても制約ではありますが、それでもほとんど扱ったことのない金額だと思います。そういった彼らに任せてみることで何が出来上がるのか見てみたいということもありました。

 議論の過程で、今回上がってきたアイデア以外にも見るべきところがいくつもあったと感じています。徒然に拾ってみます。(議論の過程を書いたホワイトボードを参照しました)

第1回(8月22日)の意見出しから
・遊ぶのに佐久上田まで行かなきゃいけない
 これは長年の課題です。佐久、上田にはイオン、さらに上田はアリオなんかもありますが、御代田に高校生が集まれる場所に乏しいのが現状です。私の就任後、エコールみよた(中央公民館)の空き会議室や議会の委員会室を自習室として開放してきましたが、ご両親たちとお話しすると、「勉強する以外の目的のないような集合場所も大事だよね」という声も聴きます。デートスポットみたいなものも大事だよと。現状の範囲でよりよく、という部分と、根本的な対策と両方が必要だなと感じています。

第2回(9月20日)の意見出しから
・龍神まつりの花火について
 打ち上げ花火を盛大に、という考え方と、手持ち花火をみんなで、という考え方が出ていて興味深かったですね。打ち上げ花火については、昨年11月、町民有志による「みよたはなび」が開催され、異例の降雪の下、幻想的な花火が打ち上げられました。役場による協力は最低限度で、ほとんどを有志でやり切っていただいたのは大変よかったと感じています。そういった「役場に依らない町民自身の力」が重要であることを高校生たちも感じてくれたのではないかと思います。だからこそ、龍神まつりでは手持ち花火、という路線も面白いかもしれません。

・勉強に来たらコーヒー1杯もらえる
 これは自習室のことを指しているのだと思います。大人になるとなかなか気づきにくいのですが、御代田町の場合、中学生くらいまでは財布を持たずに生活することが多いため、自習室に来た場合に飲み物を買うということが基本的にないのだとか。だからこそ中高生くらいまでは無料で飲み物が飲める、というようなインセンティブは効果的なのだと教えてくれました。私の方でももともと、ウォーターサーバーくらいは設置してあげたいなとか、コーヒーくらいいつでも飲めるようにしたいよなとか思っていたのですが、コロナで飲食物の提供自体が進められない状況になっており止まっていましたので、あらためて考えてみたいと思いました。

・交通=定期券を配る、バス便数増やす
 御代田町の課題に挙げる人の多い分野が交通です。2019年に佐久と結ぶ路線バスがたった1往復に減ってしまいましたし、町内を巡る交通はタクシー以外ありません。一方で、循環バスの手法は、乗る人が(おそらく)それほどいないのに多額の財政支出が必要になるということで、以前町が開催した審議会でも導入を見送った経緯があります。交通課題の解決に向けては全国的に実証試験を執り行う自治体も多くなっているので、バスにこだわることなく柔軟に考えていく必要があると感じています。

 いただいた意見、提言は方向性だけでもなんとか3月までに示し、6月以降の補正予算に盛り込めるように考えていきたいと思います。

 また、この高校生ワークショップについては、もともと私の構想では「ミヨタ部」という町独自の部活のようにして、毎年新入生を迎えて継続的にまちづくりにかかわってもらうことをイメージしておりました。できれば新年度からも継続し、町から予算もつけて(もしかしたら企業版ふるさと納税で実質的に企業スポンサーをつけるのもいいかも)、町と高校生のつながりをどんどん深め、将来、御代田に戻ってくる若者を一人でも増やしていきたいと考えています。

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