パルマ劇場歌手への道(10)~皮算用~

※この文章は2006年10月にブログ記事にしたものを編集し直したものです。100円と表記されるかもしれませんが、無料ですべて読める「投げ銭スタイル」ですので、お気軽にご覧ください。


「イタリアで夢の生活」

それに憧れて、どれだけの若者が志半ばで夢破れたことでしょう。


あんな稚拙な内容の手紙に数時間かけた私ですが、

仮に劇場専属の合唱団に入れたとして、

いったい、どのような生活が待っているのでしょうか。


契約の内容など、何も分からないままオーディションを受けたいと言ってしまいましたが、

実際問題、給料はいくらもらえるのでしょうか?


ところで、

イタリアは物価が安い

という幻想を抱いてる方が非常に多いような気がします。


というのには根拠がありまして、

イタリアでは、ユーロに統合される前はリラ、という通貨を使用していまして、

この時代は本当に物価が安かったのだそうです。


この頃のことは詳しく分からないのですが、例えば一例を挙げますと、

簡単な買い物、1番基準にしやすい、日本で言えば100円玉1つの買い物のようなものが、

イタリアでは1000リラというのが一つの単位だったようです。


そこで、例えばワイン1杯1000リラだったとします

これは日本円に換算すると70円前後でしょうか。

それがユーロに変わると、全て1ユーロが基準になりますから、

そうするとユーロ統合時で100円前後

現在では150円です。

【独り言:2006年時点でののレートです。】

つまり、これだけで、日本人の感覚からして、

70円だったワインが150円に値上がりしているのです。


しかも、イタリア国内でも物価の上昇がつづいていますので、

実際は200円にも300円にもなっている訳です。


もちろん、厳密なレートは1000リラが1ユーロではありませんから、

全てがこのようだという訳ではありませんが、

庶民が1杯のワインを飲む感覚はこのような値上がりを見せているのです。


実際、私の感覚では、物価は日本で生活してるのと変わらないか、それ以上に高い印象です。

【独り言:今もそうです…(涙)】


で、肝心の給料の話ですが、

学校に別の街の劇場のオーディションの案内があったので、

それを参考までに読んでみました。


・プロフェッショナルコーラスメンバー(レギュラー)

(前略)月800ユーロ。ただし、オペラの期間のみ(約6ヶ月)。(後略)


う~~~~む、

合唱で生活できると思っていたのに800ユーロ・・・

つまり12万円です。

しかも6ヶ月のみ(´Д`)


まぁ、ユーロ高のおかげで日本円に換算した場合、

ちょっと得した気分になりますけどね。


しかし、メンバーの人はこの給料でどうやって生きているのでしょう。

【独り言:合唱以外の仕事と兼業です】


まぁ、パルマは芸術の街として有名ですし、

オペラのシーズンも7ヶ月あります。

【独り言:当時は12月から6月まで。それが今や…】

もうちょっと多くもらえるんじゃないかなぁ・・・


なんて淡い期待を持ちつつ、

先日、日本人の先輩にちょろっと話題をふってみました。


「パルマの劇場の合唱っていくらくらいもらってるんですかねぇ?」

「えーっと、800ユーロくらいらしいですよ。」


ガーン(´Д`)


ま、現段階では捕らぬ狸の皮算用ですが・・・。


しかし、そこじゃないんです、一番大事なところは(°Д°!!


それでも、もしオーディションに受かれば手元に

「労働用滞在許可証」

が残ります。

【独り言:と思っていました…。】


これが一番デカいんです。

少なくとも、それをもとに別の仕事をすれば生活は出来るでしょう!

実際合唱の稽古なんて、拘束時間は普通の労働に比べたらかなり短いですからね。


そしてその日、レッスンの合間のことです。

廊下でドメニコに会いました。


「メール見たよ。オーケー、やるだけやってみよう。」


つづく・・・


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