千曲川流域、東御市のこと。

今回の台風19号の被害は広域に広がり、特に長野県、東北地方の河川の氾濫による被害が大きかった。東京世田谷でももちろん風雨が激しく、12日(土曜日)のニュースから流れたのは、多摩川の氾濫に続いて千曲川の氾濫だった。

千曲川と言えば30年以上通う長野県東部のエリア。千曲川を中央に北と南に丘陵地帯が広がり、浅間山の山麓からも続く空が広く日照時間の長い地域で、子どもを連れて親戚の家によく遊びに通った町だ。

浅間山系に湯の丸があり、スキーヤーにとっては関東圏でも日帰りでパウダースノーを楽しめるローカルだけどいいスキー場があり、いつもそこで子どもたちとスキーを楽しんだ。夏は高山植物の珍しい野花も咲き、オールシーズンで気持ちよく暮らせる町だった。もちろん千曲川は雄大で大きくゆったりと流れ、そこから吹き上がる川の水で冷やされ冷気を含んだ風は、避暑にはもってこいだった。

東御市に隣接する上田市の上信電鉄の鉄橋が流されたという一方に続き、本海野の東端にできた比較的新しい橋が車ごと流されたというニュースには耳を疑った。たしかあの辺りは川とは標高差があったという記憶があったからだ。

台風から1週間後、現地に行ってみた。それが下の写真。写真で見る右が千曲川で、本流から分かれて左にも支流のような流れができていた。当然侵食が進んだ結果だろうが、現地ではまさに河川工事の真っ最中だったことを表す工事の標識がそのまま設置されていた。そこには工事完了時期が10月末とあったので、もう少し早く工事が終わっていればこのようなことにならなかったのだろうか。この道沿いに観光客用に駐車場もあったが、そこも使えなくなってたいので、これからの観光シーズンに与える影響は大きい。

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この現場のすぐ隣りが海野宿。かつての北国街道の宿場町で、今でも保存地域に指定され、かつての古い町並みが整備保存されていて、知り合いも何人かこの町に暮らしている。

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ワイナリー、リュー・ド・ヴァン。

この東御市に今から10数年前に小山さんが移住してきて、ワイナリーを作るために畑の開墾を始めた。もともとこのエリアは養蚕地域で、もとは桑畑だった畑がその後りんご畑になり、さらにぶどう畑へと風景を変えてきた歴史がある。10年くらい前までは「東部(旧町名)の巨峰」としてブランド化され、美味しい巨峰をいつもたくさん送っていただき食べていた。広い空と長い日照時間、南面傾斜の緩い丘陵地帯がぶどうの栽培に適していると小山さんは移り住み、農家さんから畑を借り、ぶどうの樹を植え始めたのが10数年前だ。

それ以来小山さんとのお付き合いも始まり、東御に行った時には寄らせていただいた。毎年この季節にはぶどうの収穫作業があり、多くのボランティアが集まる。そこで知り合った友人もたくさんいる。しかし、今年は台風の影響で上信越道が一部通行止めだったり、地元の人も災害復旧の作業で忙しく、ボランティアもなかなか集まらない状況だった。今年は5月が猛暑で夏に雨が多く、台風もいくつか来て、気候変動の影響も大きく、収穫のタイミングも例年より遅れていた。そして今回の台風19号。流された橋からわずかの距離にあるが、幸いにもワイナリーには直接的な被害はなかった。

「テロワール」という言葉がある。その土地でできたワインにはその土地の環境すべてが含まれた味がするという意味だが、このようにこの地でしかない味がこうして作られていくということがよく理解できる。そして、その年でしかない気候や温度などによっても毎年同じワインはできないということもよく分かる。何年にできたワインかを「ビンテージ」と呼ぶ所以だろう。


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写真の真ん中を左右に千曲川が流れている。

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去年から新しくリリースされたテーブルワインの「Vin Mignonヴァンミニヨン」
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