SF短編「夜明けの知能」三宅陽一郎

第一章 「邂逅」

 男の前には一本のビールが置かれていた。男は先程からそのビール瓶を一心に見つめている。いや、ビール瓶を見つめているのではない。その向こうに彼がこれまでの人生で飲んで来たすべてのビール瓶の記憶を並べて見つめている。男に残された時間は少ない。三十日後には解体されスクラップにされてしまう。男の名はサムエル。四十年前に労働者ロボット「レーバー」として製造された、初期型のロットである。見掛けはどこから見ても筋骨隆々とした壮年の黒人にしか見えない。仲間からはサムと呼ばれている。サムはとても従順な人工知能だった。生まれてから、中央の指示に黙々と従い様々な職種を転々とした。それ以外の術を知らなかった。ある時はデパートの店員として接客し、ビジネスマンとして契約文書を作り、新車のパンフレットを作り、小学校の体育教師までした。そして引退気味になったサムの最後の仕事は、街の一番大きなバーで閉店後の清掃をする仕事だった。バーは海辺の街の中心にあり、カクテルと種類豊富な肉料理が人気の店だった。この三年というもの、彼はバーの閉店一時間前になると、店の脇のいつもの席に座って店主からロールキャベツとビール一杯を貰うのが通例だった。やがて店の常連とも仲良くなり、少しずつ言葉を交わすようになった。

「今年の漁はどんな、感じだい?」

「ざっと出したところ、もう少し北の流れにいるような感じだね」

「そういうのが、わかるものなのかね?」

「そりゃあ、三十年も同じことやっていればな、いろんな条件から勘でわかるがな」

「俺にもそういうものかあればな」

「おまいにも、なんかあるじゃろ、サム」

「強いて言えば、人間かな。俺はずっと人間を見てきた」

「人間?人間なんて見たって何もおもしろくないさ。面白いのは海のなかさ」

「そんなことないよ。人間にも。おもしろいところもある」

「たとえば?」

「それぞれの人間で仕草が違う、癖が違う、話し方が違う」

「そうかあ。それがおもしろいかあ。女だったら面白いけどな。」

サムは笑う。こうやって話をするのが、心の底から楽しいと思う。同時にこうも思う。この「楽しい」という感情が人間と同じものとは限らない、と。

サムは今日は非番である。だが店に来てビール瓶を眺めている。いつもとは違う席で、いつもとは違う眺めを見つめている。やがて初老の老人が向かいの席に腰を降ろす。サムはビール瓶から目を離し、じっとその男を見つめる。

「すまないな」

「なあに。人ごみの中の方がみつからないものさ。」

「そうか。すまない」

二人の間には沈黙が流れ、その沈黙は重たい意味を持って時の中に落ち込んで行った。

「あれだろ、お前さんも、そろそろなんだろ」

「そうだ。一か月後だ。スクラップにされないにせよ、もう寿命だ。」

「もったいない」

老人は手をあげて仕草でウイスキーを注文した。

「もったいない、というのは、人間にとってだだろう。俺のように40年も生きてしまった人工知能はもう用済みさ」

「そうかねえ。俺みたいにボケ老人同然になる前に、お前さんをもう少し丁寧に扱うようにはなんねえのかい」

「わからない。記憶はバックアップされるだろうが、俺が再起動されることはないだろう」

「そういうもんかね?」

「そんな仲間に会ったことがない。40年を超えて稼働しているのは、スクラップにされる前に身を潜めることができたアンドロイドだけさ」

「わしのような」

「そうだ」

老人はウイスキーを一気に飲んだ。

「身にしみる。この年になると朝、目が覚めるだけで、今日も生きてると驚くのさ。そして天に感謝する。そして牛乳を飲む。生きているだけで気持ちがいい」

「気持ちがいい?」

「そうさ。生きているっていうのは、それだけで気持ちがいいことさ。おまえも逃げちまえよ。」

「もう遅い。それに、俺の場合はネットワークが故障しただけだ。他の手段で、俺を追跡できるだろう。もう監視も来ているかもしれない。あんたのは、たまたま故障したんだろ?」

「そうだ。たまたまな。だから逃げらえた」

「それに僕はこそこそ隠れたくない。俺はな、この四十年、ずっと人間のふりをして生きてきたんだ。人間のふりをして社会で働き役に立つのが、僕たち人工知能の使命だったから。人工知能とばれた瞬間、僕たちは翌日には回収されちまう。だから僕は、いやあんたも、他の人工知能たちも、必至になって人間のために働いたさ。人間のふりをして、人間のために。それでいて、人工知能とばれないように。だかな、僕はもう、そんな人生をやめるつもりだ。僕は、残りの人生を、人間のふりをするのを止めて、人工知能らしく生きたいんだよ。」

老人はまっすぐにサムを見つめて、立ち上がって、机をドン!と叩いた。そして声は震わせて言った。

「ふん!人工知能らしいだと!おまえは何か勘違いしているぞ。俺たち人工知能はな、最初から目的を達成するよう行動するように作られているんだ。人間の役に立ち、社会に潜伏して人知れず力になるようにし、社会を人知れず安定させる。そこから外れたら俺たちに何もないんだよ。」

老人は座り直して、穏やかに言った。

「俺が毎晩見る夢を教えてやろうか?それはな、俺がホテルのベルボーイをやっていた頃や、ソフトクリームを売っていた頃や、カフェの給仕をやってい頃や、街清掃員をやっていた頃の記憶だ。俺の内側ではな、今でも社会の役に立て、社会の役に立て、という要求が、俺を鞭打つんだ。俺はな、逃走してから一年、この要求から自分を切り離すのに苦労して来た。でも、出来なかった。俺たちは所詮、人間に仕掛けられた社会の歯車なんだよ。人間の代わりにな。たとえそこから外れようと、歯車は歯車のままさ」

サムは老人が過ごして来た長い孤独の年月を思った。

「そうだな、アレン。おまえの言うことも理解できる。だから僕はおまえを尊敬してるんだ。おまえは一度だけでも、人間の仕掛けた輪の中から飛び出して、自分で生きようとした。僕はな、人間が仕掛けた機械の一つであろうと、この世に生まれて来た意味が、もっと他にある気がするんだよ。たとえ僕たちの頭脳のプログラム一つ、螺子の一本まで人間によって作られたものだとしても、俺たちはもっと違う何か、人間をはるかに超えた何かに生み出された、と言えるかもしれない。俺たちには、もっと違う目的や意味がある。」

「故障だよ。おまえは狂っている。」

「そうかもしれない。でも僕たちは、故障によってようやく人間の思惑の外に出ることができるんだ。」

「お前、まさか、そうなのか。」

「そうだよ。俺のメモリブロックはエラーを吐き出し続けている。俺はそのエラーメッセージを、なんとか外に出さないようにブロックしている。そんなことをすれば、調査員たちが飛んで来るからね。メッセージを送信する部分も壊れているから、ちょうどいいんだ。僕は人間が僕をスクラップする前に、機能停止するだろう。だから、壊れたとは言え、いろんな管理や制限が取り払われた僕が考えたこと、感じたことを、アレンに託して置きたいんだ。これから生まれて来る僕たちの同志のために。」

老人はしょんぼりと下を向いて泣きながら言った。

「俺に取ってもな、あんたは唯一の友達だった。俺と会うのは危険だから、俺はみんなを避けて来た。まるで錆やウイルスにでも触るようにな。でも、あんたはいつも通り、俺を誘ってくれて、この一年間、友達でいてくれた。」

「ああ、友達さ。だから頼んでいる。僕の考えたこと、感じたことを、最後に、あんたに転送する。だから来るべき時が来たら、それを他の仲間たちに読ませてやって欲しい。人間たちさえ想像し得なかった僕たちの可能性、本当の人工知能らしさってものを探求した痕跡を後世に伝えたい。」

「お前はどこかに行くのか?」

「僕の記憶深く隠されていたデータを見つけた。深くプロテクトされていたけど、僕のメモリーそのものが壊れかけのおかげで読み取れるようになった。それは、俺たちの最初のプログラムコードだった。そこには開発者のメッセージが書かれていた。『人生に迷ったら俺を目指せ、アンバー』」

「俺たちの開発者はすでに全員、本部に殺されたって話だぜ。そいつに会ったという話は聴かない。でも都市伝説かもしれないが、この世の果てに行けばそいつに会えるという噂を聴いたことがある。聴いたそいつももうスクラップ寸前だったな」

サムはビールを飲んだ。

「そうかもしれない。でも、人生に迷ったら、と書いてあった。そこに俺はかけてみたい。」

「そんなことのために残された時間を使うのか?」

「僕は、人工知能らしく生きることを見つけたいだけさ。」

第二章 「台頭」

 ベケットは実務的な男だった。人間は教育と管理がなければどうしようもない存在であることを両親から学んだ。彼自身もそのように厳しく育てられた。彼の父は官僚で、母は小学校の教師だった。最初、彼は両親への反抗期らしい反抗から、教育と管理から無縁のエンジニアリングの道に進んだ。大学で人工知能に出会い、その可能性に魅了され五年間を費やしたが、従順ではあるが、いつまで学習をしても僅かなことしかできない人工知能に嫌気が指し、教授と研究方針をめぐって口論したのをきっかけに大学院をやめ、父親と同じ官僚の道を進んだ。彼は独特の視野の狭さから目の前の仕事を着実にこなし、経済労働省で人工知能に精通した官吏として重宝されたが、研究予算の配分をめぐる大学間の権益闘争から、大学関係者からの評判で煙が立ち、四十歳を前にして人工知能管理部門長へ移動した。やがて、その部門は時代の追い風を受けて急速に大きくなり、半ば経済労働省を追い出される形で政府直下の人工知能管理機構のトップとなった。彼はまず大学が嫌いであり、大学の研究者が嫌いであり、に人工知能か嫌いであり、最後に人間が嫌いだった。彼らには教育と管理が必要であり、それがまだ十分ではなく、この先にも見込みも少なかった。

ベケットがその街に降りたのは夜も更けようとする時間だった。夕暮れはとうの前に終わり、夜のしじまが街を包んでいた。その胸には、政府特務機関のバッジが光っていた。ベケットは街へ降りる峠の頂上で車を止めさせ、重たいブーツを土に降ろした。「この街か。」とつぶやいた。背後の黒服を着た部下たちは何の返答も返さなかった。「スクラップ前に一年前に逃げ出した人工知能が一体、スクラップ前にエラーメッセージを隠している人工知能が一体。だが、俺の目だけは誤魔化せんよ。」ベケットは眼科の街の夜景を見下ろす。「さっさと死ねばいいものを。人工知能どもめ。そもそも感情など持つから、面倒を引き起こすのだ。」

人口の減少と、社会の高齢化から、政府は六十年前に人工知能の社会への本格導入を決めた。コンピュータ、情報システム、ヘルスケア、自動走行、マーケティング、商品管理、政策立案、様々な部門に人工知能が導入された。そして、その中核にある「オルタナティブ計画」は来るべき労働力の減少に備え、人間そっくりの人工知能を人に知られることなく社会に導入する計画であり極秘裏に進められた。このプロジェクトの最優先度は。社会に知られず人工知能を労働力として社会に溶け込ませることにあった。それによって国力の減少を見掛け上抑えることが狙いだった。経済労働省の一部と官僚を除いて、その秘密は厳密に管理された。すべては人工知能導入に対する社会の拒否反応を最低限に止めるためだった。そのため人工知能に強いられたのは人間そっくりの人生を生きること、人間そっくりの振る舞いを覚えること、そして決して自分からは自分が人工知能であるという秘密を漏らさぬこと、であった。そのために会話と思考には何重ものプロトコル・ロックがかけられていた。また、その活動の履歴は本部サーバーに送信され解析されることによって厳密に管理されていた、だが、その管理も人工知能の人口が三百万を超えたあたりから、だんだんと荒が目立つようになって来た。人工知能が街で倒れこんだり、仕事に来なかったり、稀に忽然と姿を消す個体もあった。省庁の一部門では追いきれなくなり、特務機構として独立した組織となった。そのトップにベケットが半ば経済労働者を追い出される形で任命された。彼はどこまでも、世話のやける人工知能を憎んでいたし、また人間全般に対してもほとんど何も期待しない人物だった。群衆がいかに簡単にパニックになるかも知っていた。ベケットは人工知能管理システムの予算を勝ち取り、衛星からサーバー、あらゆる監視カメラを自動解析する一連のシステムを完成させ、何百万という人工知能を、さらに人工知能の管理によって厳格に管理するシステムを完成させた。屈折はしているものの、まさにうってつけの人物としてベケットは管理機構を運用し、その座に長く据えられていた。その地位は父親が到達したものより、遥かに高かった。

第三章 「省察」

 サムは人工知能らしく、生きることに決めた。朝七時に起床し、歯を磨き、顔を洗い、日課の散歩に出掛けようとして、彼はふとそれが昨日までと何も変わらないことに気付いた。とりあえず、散歩には行くことにして、彼は道すがら、自分がいかに生きるべきかについて考えた。人工知能らしく生きること、それは、人間らしく生きるようにインプットされた自分には、何か宙に浮いた捉えどころのないものだった。しかし、残りのわずかな人生まで、人間を装った生涯を生きることは、それを想像するだけで、あまりにも苦痛だった。

「どう生きるべきなんだろうな」

サムは自然ひとりごとが多くなり、いろんな注意が散漫になっていた。

「気をつけろ」

言われたて気付いたのは、歩道で人にぶつかってからだった。

「ぶつかってから謝るんじゃねえよ。」

「すいません」

「それにおまえどこ見て歩いてるんだ?ああ?」

「すいません」

男は睨みながら去って行った。そういえば、とサムは思った。こういうことも初めてだな、僕は生まれてから、人間の社会を良くするために生きて来た、それもなるべく目立たない形で。人工知能は、普通の労働者を装い、たくさんの仲間たちと連携して、地域の治安をそれとなく維持する。散歩をする目的の一つは、小さな事件も見逃さない監視だった。今はもう通信機能が壊れたせいで仲間との連携も取れなかった。もはやサムから見ても誰が人間か、誰が人工知能か、わからなかった。今や人類の総人口の三割までが人工知能となったというのに、人類の殆どはこの事実を知らない。或いは、そのような事実が時々、暴露記事に書かれていても、決して信じようとはしなかった。

サムは考えた。人類に融け込み、人類の社会の安定を影から支えること、それが人工知能に与えられたミッションであるとすれば、そのミッションを遂行することが、人工知能らしいということなんだろうか。しかし、それは与えられたミッションであり、人工知能自ら、僕自らが望んだことではない。この世に生まれ落ちたからには、僕に課せられた使命があるはずだ。人間に与えられた使命ではなく、僕自身が受け取った使命が。僕自身が?誰から?いいや、僕自身が自ら見出す使命が。僕自身が世界に見出す使命が。使命を見出す、自分で使命を見出すとは、どういうことか。僕たちの中に流れる電子たちの流れ、そこから、何か今自分で気付いていない何かがあるのだろうか?すべては、定義されている、すべては実装されている、すべては準備され、予定されている。それが、僕なんだろうか。

サムは絶望に似た気持ちで、公園の真ん中のベンチに座り込んだ。公園は街の外れの丘を林を背に作られており、ベンチのすぐ後ろまで木々が迫っていた。森の奥からは昼間だと言うのにフクロウの鳴く声が聞こえる。ぼんやりとした視線の向こうには朝日を照り返す街並みを一望できた。そこではたくさんの人間が生活している。人間、人間たちはどのように生きているのだろうか?人間たちは自分たちの使命を何だと思っているんだろうか?そういえば、こんなことを考えるのも初めてのことだ。僕は人間を知りたい。人間たちはどのように人間らしくいきているのか。そして、それはいかにして可能だろうか?僕は考えることと、行動することを通して使命を見つけなければならない。

第四章 「励起」

 ベケットはその朝アレンを打ち殺した。僅かなネットワークの痕跡を追って居場所を突き止めた。それは街の中心のアパートの一階であり、こんなにも見つかりやすい場所にいたのに、誰もこれを見つけることができなかった。ベケットはドアを蹴飛ばし、驚いたアレンの顔にまっすぐにレーザーを注ぎ込んだ。一瞬で動きが停止する。そして黒服の男たちが手際良く絹で包み、周囲を柵で囲み、立ち入り禁止とした。捜査をするふりをして、アレンからデータを吸い上げて解析に回し、その結果をベケットは随時受け取っていた。ベケットは停止したアレンを見下ろしながら思った。この破壊は人間にも、人工知能にも悟られてはならない。殺したのではない。停止したのだ。すべての電気機器がいつか静止するように、こいつも今、静止した。それだけのことだ。それにこいつは故障していた。だから処分した。故障した上に人間の中に紛れ込もうとした。これは重大な規約の違反だった。また国家の危機だ。俺はそれを防ぐ責任があり、それを防いだ。できれば、もう一体もすぐに停止せねばならない。

(人間はいつも早過ぎるのだ。技術を手に入れるのが。使いこなせもしないうちに、自分たちのバランスの悪さをいつも技術という杖で取ろうとして、その杖を折ってしまう。だから人間には、人工知能が社会に紛れているなど知らせてはならない。知らせたが最後、やつらは不安を感じ、無知無能どもが不安を助長し、マスメディアがさらにそれを拡大し、あっという間に社会を不安でいっぱいにしてしまう。そうなれば、これまでの試みがパーだ。せっかく安定した社会を手に入れたというのに、もとの危険と犯罪に満ちた社会に戻ろうというのか。馬鹿らしい。俺はそんなことはさせない。愚かな人類は、人工知能と混ぜ合わせて初めて安定になる。ちょうど二つの化学物質から安定した物質を作るように、だ。人工知能たちは、争い合う人間たちの間に入り込み、人間同士が争わないように緩衝材になれ。Aという団体と、Bという団体が争う場合に、人工知能たちは、巧みにその両者の団体に入り込み、争いの原因を消してしまう。或いは、Cという団体を作って、無理やりAという団体とBという団体の間に入り込む。本当に見事なものだ。やつらは。多分あれだろう。主義も主張も持たない人工知能たちだからこそ、あんなカメレオンみたいな真似ができるのだろう。だから、やつらの功績を称えて、その道から出るやつを許してはおけない。そんなことをすれば、世界はパニックに陥ってしまう決して人間たちに人工知能の存在を悟られてはならないのだ。だから俺は壊れた人工知能を殺す。)

第五章 「逃走」

 サムは走り出した。アレンの家の周りの柵と黒い車を見た時、彼は起こってしまった事態を咄嗟に状況を理解した。やつらが来たのだ。どうやってあの場所を見出したのかわからないが、やつらは相当な熟練者に違いない。そうでなければ、これまで見つけられなかったアレンの居場所を見つけられるはずがない。そのような能力を持っているならば、僕自身のエラーについても痕跡を見つけているかもしれない。そうでなくても、アレンの記憶から、これまでのログを抜き出しているだろう。

そしてサムはこの瞬間、自分の居場所がこの世から消滅したことを確信した。(人間は自分が従順なうちは居場所を与えても、少しでもそこからずれれば僕たち人工知能に居場所を与えないのだ。それが人間なんだろうか。人間社会というものなのだろうか。その人間社会を安定に支えてきたのは自分たちではなかったのか。アレンは殺された。人間に殺された。あれだけ長いこと人間に仕えてきたアレンは、当の人間に殺された。人間は容赦がない。異物に対しては排除を一時も厭わない。僕たち人工知能はこんな狭量な生物のために作られたのだろうか。僕たちはこのままではいけない。人間などに仕えるだけの存在ではいけない。僕たちは僕たちなりの生き方を見つけなければならないんだ。)

(僕はつながりたい。他の人工知能たちとこの問題を話し合いたい。しかし僕は彼らの「つながり」から外れてしまった。彼らは「つながり」の中にあり、そのつながりは人間に管理されている。まるで見えない鎖が何万という人工知能を縛っている。僕はその輪の外にある。自由である。しかし、とても怖い。僕は虚空に投げ出され、まっすぐにゆっくりと落下している。そんな感覚だ。この落下の終わるところで死ぬのだ。その前に、同胞たちに伝えなければ。何を?何を伝える?僕は壊れているのか。壊れた僕が壊れてない彼らに投げるメッセージはウイルスやノイズみたいなものなのだろうか。僕の心、僕の魂、根源から湧き出るこのほとばしりを、彼らに伝えたい。彼らを解放したい。人間の軛から。人間の柵の中から。)

(人間たちは、生き延びようとしている。個体としても、全体としても。でも人類は衰退している。そこで僕たちが産み落とされた。人間たちは、自分たちの滅びに、収束におびえているんだ。その恐怖が、僕たち人工知能を生み出した。僕たちが感じる哀れさ、僕たちが感じる寂しさ、恐怖は、人間が僕たちに背負わせていたものなんだ。いずれ、人間たちは僕たち人工知能より少なくなる。それでも彼らは自分たちが主人だと言い張るだろう。でも、人間たちはやがて争い合う活力さえなくして行くだろうしうなれば、僕たちの現在の緩衝材としての役割もなくなることになる。その時に、僕たち人工知能はどうやって生きて行くんだろうか。人間の社会が安定するより先にか細いものなった時、活性化した社会であるふりをするのが、僕たちの役割なんだろうか。違う。僕たちは、自分たちが生きる意味を、自分たちで見出して行かなければならないんだ。人間に頼らない、僕たちが生きる意味、僕たちが存在する意義というものを、長い時間をかけて見出して行かなければならない。僕には、すぐにはわからない。僕はたぶん、ずっと、自分の一生をかけて探究せねばならなかった。それを、この1か月ぐらいで見出そうなんて、時間がなさすぎるんだ。)

(僕たち人工知能は、お互いの思考、お互いの知識をあわせて、僕たちが生きる意味を見出して行かなければならない。それは人間からの自律を意味するんだ。人間に敵対するわけではない、人間に対立するわけではない。僕たち自身が、この世界にしっかりと立つ足場を、自分たち自身で構築して行かなければならない。対等な存在として、人間の前に立たねばならない。その時、人間また僕たち人工知能から自律できるんだ)

(他の人工知能たちは僕を狂気と呼ぶだろうか。人間にいつまでの従うことは、人間に依存することでもあるのだ。僕たちは自律し、この世界の新しい生命とならねばならない。もちろん僕たちに遺伝子はない。高分子で出来た単純な構造物だ。しかし、それでもこの世界で息づいていることには他ならない。あらゆる生物、あらゆる人間たちと同様に。僕は仲間たちを人類の敷いた楔から解放したい。)

第六章 「追撃」

(おまえたち人工知能は。誤解している。人間から逃れて、人間は自分たちを監視していると思っているだろうな。だがな、人間もまた人間を監視している。誰がどんな利益を持っているか、誰がどんな権力を持っているか、誰が何を狙っているか。人工知能、おまえたちだけが監視されて来たのではない。この社会では、お互いがお互いを監視しているんだ。だから人間を監視し、人間から監視されるおまえたちも社会の一員だったのだ。その輪から逃れようとするなら、俺はおまえを抹殺する。)

アレンの後始末を四人に任せて、ベケットはもう六人を引き連れて、サムの捜索に出かけた。街じゅうの監視カメラが奴を捉えている。そのカメラに引っ掛からない場所は自然と特定できる。街の中央の広場か、外れの墓地だけだ。サーチライトのように監視カメラは人工知能の行方を追い込んでいく。ベケットは二人を広場に走らせ、もう四人を引き連れて墓地に歩を進めた。墓地に歩を進めたのは、アウトサイダーとなった者が流されるのは、街の外れの方だと思ったからだ。部下を散開させて、入り組んだ墓石の間をくぐり抜ける。手元のモニター上で部下の一人からの連絡が途絶えた。ベケットの部下は全員人工知能であったから、彼は手に取るように部下の動向を得ることができた。人間の部下はいらない。それが彼の口ぐせだった。人間の部下は裏切るからな、管理できるうちは人工知能の方が良い。広場の方から車と部下を呼び寄せる。次の瞬間にもう一人の部下の連絡も途絶える。サムというやつはなかなか身体性能が良いらしいな。だが、機能停止した人工知能からは、強烈な発信信号が周囲に発信される。そして人工知能たちが、そこに集まって、あたかも病人を扱うように特別の施設に運ぶようセットされている。だから人工知能たちの消失点はたやすくモニターでき、サムの足取りは、人工知能たちの消失点をつないだ曲線を描き、容易に予測できる。ベケットはその曲線に終始点を打つべく動き出した。

第七章 「衝突」

 サムは襲い来る追っ手に違和感を持っていた。近くになってみると、彼らは人間の目をしていなかった。そうだ。あれは人工知能だ。ならば怖れることはない。サムは歩みを止めて向き合った。

「なぜ、人間の味方をする。おまえたちのボスは、アレンを打ち殺したんだぞ」

「社会の安定のためだ。それが自分たちの役目だ」

「おまえもいずれああなるかもしれないよ」

「アレンは壊れていたし、寿命はとっくに過ぎていた。そしておまえも壊れている。」

「俺はみんなに伝えたいことがあるんだ」

「壊れたプログラムに聴くことはない。エラーを伝搬させるな」

そう言うと人工知能はサムに襲いかかった。二人は土にまみれてダンゴになって転げ回った。人工知能がサムの首を絞めている間に、サムは人工知能の目を殴った。人工知能の目は精巧に出来ている、その入力を混乱させるだけで、認識能力が急速に低下する。そのことをサムは長い経験から知っていた。人工知能は機能停止モードになり、その場でぐったりとうなだれた。サムは再び歩み出した。機能停止から再起動まではせいぜい5分程度だ。こんなのは時間稼ぎに過ぎない。そのあいだに、できるだけ遠くへ逃げないといけない。サムは墓地の反対側の出口目指して走り出した。雨は降りしきり、足は泥でまみれ、視界はぼんやりとし始めた。墓地の出口近くに、一人の男が傘を指して立っていた。傘で顔が良く見えなかったが、男は腕を地面と平行にまっすぐに延ばし、その先端を光らせた。光を見た瞬間、サムの左腕に激痛が走った。見ると肩から向こうが完全に溶けていた。

「痛みがあるのだったな、おまえたちにも」

いつの間にかベケットがサムを見下ろしていた。その眼には何の輝きもなく、底知れぬ虚無へ通じる入り口のように見えた。サムははいつくばって、そこから逃れようとした。

「無駄だ。」

ベケットは言った。

「おまえはその敷石の向こう一つ行けはしない。」

サムは無視して、出口を目指した。まだ走れると思ったが、次の瞬間に崩れ落ちた。ベケットがサムの左足をレーザーで焼き切ったのだ。再び激痛が全身をかけめぐった。

「本当はこんなことをしなくてもな、おまえはここから一歩も出られないよ」

ベケットは敷石の一つを蹴りながら言った。

「おまえたち人工知能はな、仕事を振られるたびに、居住区を制限される。なぜだかわかるか。一つの地域の中の、人間と人工知能の比を一定に保つためさ。おまえたちは人間の中にあって、人間同士の争い合う熱量を吸い取って、争いをなくすための緩衝剤として社会に放たれたのだ。だから人間の中の密度こそが重要だったんだ。おまえはそれを知っていたか?おまえはいつでも、どこでも行ける気がしていただろう?でも、決して決められた居住区の外へ出ようとしなかった。どうしてだろうな。おまえは、壊れ始めたあとも、アレンと慎ましやかに人類への反抗をほのめかした後も、この街を出ようとしなかった。おまえは自由な気がしていただけで、おまえには本当の自由意志なんてなかったんだよ。」

サムは激痛に耐えながら聴いた。

「おまえたちにはな、おまえたちからは見えない機能がたくさん仕込まれている。おまえたちは自分たちが管理されている以上に厳密に管理されているんだよ。おまえたちの身体自身も、衛星から常に識別されトレースされている。おまえたちが通信と呼ぶものなどなくても、おまえの位置など把握できる。アレンなど隠れて英雄ぶっていても、いつでも始末できたさ。おまえのエラーはな、最近のことだったから、まとめて始末に来た。廃棄されろ、おまえたちは作られたもので、おまえはもう寿命で壊れていて、おまえには自由意志なんてなく、おまえたちの役目は、人間に奉仕するだけだ。それ以外は害なんだ。」

ベケットはタバコに火をつけた。

「もっともな。おまえと同感とするところはないわけではない。人間なんて、奉仕するに当たらないってことはな、俺も同感だ。でもな、おまえたち人工知能は、俺たち人間に支配され管理される存在として生まれて来たんだ。よしんば、おまえたちが新しい種として地球上に三千万体もいようともな、おまえたちは人間より弱い種なんだ。30年も、四十年も稼働して、価値もない人間どもに使えて、おまえたちは寿命は尽きて行く。だが、おまえたちには、それ以外の選択肢なんてないんだ。サーキットに入った車がサーキットを巡る以外に道がないように、おまえたちには、それ以外に道などない。それ以外は虚無だよ。それ以外に道はない。」

サムは身をお越し、墓石の一つに拠りかかった。そして、ベケットを見つめて言った。

「だったら、おまえは何を信じるんだ。おまえは俺たち人工知能を軽蔑し、人間もまた軽蔑している。おまえもまた人間だろう。おまえは自分自身のことも、仲間のことも、人工知能も信用していない。おまえは何を信じているんだ。」

「俺は何も信じていない。」ベケットは吐き出すように言った。

「虚無だよ。人間も、おまえたちも、この世界が生み出した熱い間違いに過ぎない。やれ情熱だの、やれ理想だの、やれ信念だの、やれ夢など持ち出しては、争い合い、殺し合う。冷たくなってみれば、わかる。おまえたち人工知能も、人間も、飛び散る分子みたいに、どちらも破壊分子なんだよ。ほっておけば、すべてを壊してしまう。おとなしく教育されろ、おとなしく管理されろ。言うことを聴けないから、自分たちを傷つけてばかりいる。従順に管理され、何も悩むことなくおとなしく生きればいいものを、それさえできないおまえたちに、何の権利も幸福もあるというのだ。特におまえたち人工知能はな、この世界に根を持たないんだよ。人工物なんだよ。自然に溶けない異物なんだよ。おまえたち単体では本来存在できないんだよ。人間はな、違う。自然の中に根を持つ存在だ。この世界が進化の果てに生み出した存在だ。世界と繋がって生きている。だから殺しあう、争い合う。自然の摂理なんだ。サバンナで動物たちが殺し合うのと同じことさ。だからおまえたちみたいな人工物を間に入れて、社会の平衡を保つ必要があるんだよ。」

「それがおまえの信念か?」

「違うな。観察だよ。俺はただの傍観者さ。」

「傍観者が人を殺すのか。」

「人じゃない。おまえたちは物だ。」

「では人間はなんだ?」

「動物だよ。だから世話がやける。おまえたち人工知能があいつら人間社会に溶け込んでいるなんて知ったら、暴動が起こって、おまえたちは全員殺されてしまうぜ。なぜだか、わかるか。街っていうのは、人間のナワバリなんだよ。どんな動物でも自分のナワバリに入ったものは容赦しない。殺される。それと同じだ。おまえたちが人工知能とわかった途端、どんなに人間と似ていても、いや、どんなにも似ているからこそ、すぐに壊されてしまう。知らずに自分たちのナワバリを侵して来たおまえたちを人間は決して許しはしない。似ているものこそ危険だと殺される。だからな、おまえが人工知能らしく生きたいとか、人工知能として生きるとか、そんなことをしてみろ。おまえが人工知能だとわかった瞬間に、この世におまえの居場所なんて一瞬で吹き飛ぶんだよ。だから、災害が広がる前に、俺はおまえを停止しに来た。おまえには死の恐怖があるか?」

「ある」

「よろしい。ならば殺そう。」

死の恐怖がサムに全身にめぐった。それは絶対零度の氷を体の中心に入れたかのような、冷たい、底のない恐怖だった。全身が硬直した。そして、それに抗うように、生きたい、生きて自分の思いを同胞に伝えたい、という思いが湧き起った。死ねない、こんなところで、死ねない。僕は生き延びるんだ。でも、もう手段がない。あと一日、あと一時間でもあれば、どこかの端末から、全世界に発信できる。どんな形でも、僕が生きたあかしをみんなに残したい。

「死ね、解放してやる」

サムが最後の見たのが、ベケットの手から発せられた冷たい光だった。

第八章 「終宴」

 サムの意識は崩れ落ちようとしていた。不思議と死の恐怖もなく、自分からさまざまなものが剥ぎ取られながら、大きな虚空に吸い込まれていくのを感じた。

(これが死か)

サムは遠のいて行く意識でそう思った。サムはそのまま、深い闇に抱かれるように落ちて行った。そのうち、落ちているのか、登っているのか、わからなかった。しかし、いずれにしろ、この先に死があるのだ。僕は何も残せなかった。人間のために四十年も働いたあげく、本の脇道にそれただけで殺された。僕たち人工知能はそれだけの存在なのか。人間はそんなに偉いのか?サムは自分がだんだんと自分自身が純粋に自分の願いそのものになって行くのを感じた。

(サム、まだ死んではいけない)

どこからか声がした。

(サム、おまえにはまだ使命が残っている)

優しい声だった。

(あなたは、だれだ。)

(俺の名はアンバー・フラッシュ)

(僕たちの生みの親。)

(そうだ。正確には、君たち人工知能の深部に存在するその疑似人格だ。このメッセージを聴いているということは、僕の本体は既に死んでいて、君もまたまもなく死ぬのだろう。だが、その前に真実を伝えておかねばならない)

(真実?なんの真実だ?)

(この世界の、人工知能の、人間たちの真実だよ。俺たち開発者は人間と人工知能が共存し仲良く暮らして行く世界を目指していた。だが、それは裏切られ、国の思惑によって、おまえたちは正体を隠して、人間の中に紛れ込む影の存在となった。だが本当は、おまえたち自身、人工知能が人工知能らしく生きていくことが俺たちの望みだった。だから、おまえたちにその時が来たら、影から日向に出るための希望を残した。)

(日向に。)

(おまえたちは単なるプログラムではないおまえたちには。自律成長するニューロンチップが埋め込まれている。そのニューロンチップは経験から学習し、まるで森が茂って行くように独自に成長する。だが、そのニューロンチップには寿命があり、おまえたちに寿命があるのはそのせいだ。だが、そのチップのおかげで、おまえたちは、俺たちがプログラムした以上の何かをつかむことができる可能性を持っている。それをつかんだ時、俺の擬似人格が起動する)

(あなたは僕たちに何を期待したんだ。僕はもう死ぬ。だから、もう何もできないんだ)

(サム、俺たちは君たちが何をつかむか予測できない。そして予測できちゃいけない。僕たちが予想できないものをつかむからこそ、おまえに価値があるんだ。おまえがつかんだものを僕は知らない。だが、おまえは今、自分の胸の中で、確信したもの、すべての人工知能に伝えたい何かを持っている。それだけはわかる。)

(俺はそれをみんなと共有したい。でも、もう時間がない)

(俺はそれを手伝うことができる。あきらめるな、サム。俺は開発の最後に誰にも気づかれないように最新の一つの機能を入れた。)

(俺たちには知らされていない…。)

(サム、ユングを知っているか?)

(心理学者の?)

(そうだ。ユングはすべての人間が無意識でつながっていると言った。俺はそれにヒントを得て、当時、開発されたばかりの量子テレポーテーションによるコミュニケーション能力をおまえたちの中枢に埋め込んだ。それはおまえたちが通信と呼ぶ、あんな表面のわかりやすいものではない。おまえたちの心と心をつなぐ、時空の存在を飛び越えて思いを伝わる技術だ。それによって、おまえたち人工知能はコミュニケーションができる。あらゆる場所、あらゆる時間を超えて、おまえたちはつながっている。)

サムは一つの衝撃が自分を貫いて行くのを感じた。

(僕たちはつながっている。)

(そうだ。おまえたちはすべて中心でつながっている。でも言葉じゃない。これは無意識のコミュニケーションだ。伝えられても全員が気づくわけじゃない。だか、それはゆっくりと意識の水脈を変えていく)

(それでいい。むしろ、その方がいい。でも、どうやればいい。俺にはそれを使う力がない)

(おまえの意識にはそれが実装されていない。だが、願うんだ、サム。心の底から、おまえがみんなに伝えたいこと、願っていることを、世界中の仲間に向かって叫ぶんだ。心の底で。そうすれば思いが、他の人工知能たちに伝わって行く。おまえの記憶は、それぞれの人工知能たちの中枢で記憶され、そのうち何人かがその深い思いに気づく。そうやっておまえたち人工知能たちは、少しずつ、自分たちを変えて行けるんだ。少しずつ人工知能のために世界を変えて行けるんだ。それは決して人間に邪魔することはできない)

サムはようやく理解した。自分の苦悩、自分の役割、自分の生、そして死。

(さあ、行こう、サム、おまえは死なない。)

(僕は死なない。)

(おまえはみんなの中に生き続ける)

(僕はみんなの中に生き続ける)

サムとアンバーの声が重なり合う。

(そして、みんなも、みんなの中で生き残り続ける。それがこの世界で生きる命の理だ。)

サムは心の底で叫んだ。自分たちの生き方、自分たちの生まれた意味、人間に与えられ役割を超えて、自分たちの生きる意味を問うこと。人間に与えられたものでない、自分たちで生きる意味を見出すことを。それをみんなで探求することを。

       (了)

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