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#21【ダイエット】エネルギー消費とは?

パーソナルトレーナーの宮谷です。

気温も暖かくなって来て、夏もすぐそこまで近づいて来ましたね。
どんどん薄着になることからダイエットを意識し、ジムも新規会員さんが増えて来ています。

朝昼晩のご飯やおやつからの“エネルギー摂取量を減らす”ことや、ウォーキングやトレーニングでの“エネルギー消費量を増やす”ことがダイエットの成果を大きく左右することは、みなさんもご存知だと思います。

今回は後者の【エネルギー消費】にスポットを当ててお話をさせていただきます!


エネルギー消費の種類

エネルギー消費には日常生活を送る中でも約5種類の方法があります。

① 基礎代謝量

基礎代謝量とは日常生活において生命維持のために必要な最低限のエネルギー量です。
ただし正確な数値を出すことは難しく、年齢別/性別の基礎代謝基準値を用いて算出するのが一般的です。

[基礎代謝量]
  = 除脂肪体重(kg) × 基礎代謝基準値
[基礎代謝基準値]

    年齢                   男性          女性
15〜17歳               27.0         25.3
18〜29歳               23.7         22.1
30〜49歳               22.5         21.9
50〜64歳               21.8         20.7
65〜74歳               21.6         20.7
75歳以上                21.5         20.7
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」

※除脂肪体重の求め方ですが、家やジムなどにある体脂肪計で体脂肪率を元に算出できます。
(体脂肪を測定する際は、事前にトイレに行って水分を排出してからが理想的です。体内の水分量が多いと体脂肪率が高くでやすいためです。)

[除脂肪体重kg]
 = 体重kg −{体重kg × (体脂肪率% ÷ 100)}

基礎代謝量は性別、年齢、体表面積、体温、ホルモン、季節、女性では月経などさまざまな因子の影響を受けるため、日ごとに数値は異なります。

基礎代謝量は筋肉量に比例しており、筋肉質な人ほど基礎代謝は高くなります。
また運動習慣をつけることは体温を上げますので、基礎代謝量を増やすことができます。
体温を1℃上昇させるのに代謝量は13%増加する必要があるとされています


② 活動代謝量

通学・通勤時のための歩行、仕事や家事、スポーツやトレーニングなど日常生活のさまざまな身体活動によるエネルギー代謝量を活動代謝量といいます。

重労働、デスクワークでは活動代謝量はもちろん異なり、重労働の方が圧倒的に数値は大きいです。

ご自身の活動代謝量を知ることが、エネルギー摂取量(摂取カロリー量)やさまざま栄養素の摂取量を決める上でとても重要なことです。

さまざまな身体活動時のエネルギー消費量は、活動強度を示す指数 メッツ(METs)を用いて算出することが可能です。

[エネルギー消費量(kcal)]
= 1.05kcal × (メッツ・時間) × 体重(kg)
※1.05kcalとは、体重1kgあたりの1メッツ・時に必要なエネルギー量のこと。


      【生活活動のメッツ表】

厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」


       【運動のメッツ表】

厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」


上表で見て分かるとおり、重労働(農作業・運搬業・土木業など)は5.5メッツ以上の活動強度を示しています。 
ですがデスクワークは3.0メッツ未満と、前者の約半数以下の数値となっています。

両者には1日のエネルギー消費量に大きな開きがあり、日頃座りっぱなしのデスクワークの方には運動習慣が大切な理由がお分かりいただけたと思います。

ちなみにデスクワークの方が感じる通勤時や仕事での疲労感は、主に外的ストレスや運動不足からの疲労であり、重労働の方の肉体的疲労感とは異なります。


③ 安静時代謝量

安静時代謝量とは、寝転がったり座って安静にしてる状態で消費されるエネルギーのことです。

基礎代謝量が姿勢や行動、食事や室温などの測定条件を規定していないのに対して、安静時代謝量は安静時に消費されるエネルギーのことを指します。

通常、安静時代謝量は基礎代謝量の10〜20%増とされています。


④ 睡眠時代謝量  

安静時代謝量に似ていますが、睡眠時に消費されるエネルギー量のことを睡眠時代謝量といいます。

睡眠中は行動してるときとは逆に副交感神経が優位に働き、心拍数が低く、骨格筋は弛緩してリラックスした状態なので、身体の動きが少ない状態でのエネルギー代謝になります。

昔は睡眠時代謝は身体の活動が少ない状態という点から、基礎代謝よりもエネルギー消費量は低いとされていましたが、現代は同じと考えられています。

同じとなる理由は骨格筋だけではなく、睡眠時や安静時は臓器が活発に活動してエネルギーを消費しているためです。

鈴木志保子著「理論と実践 スポーツ栄養学」


⑤ 食事誘発性熱産生(特異動的作用)

食事をすることによってエネルギー代謝が高ぶることを食事誘発性熱産生(特異動的作用)といいます。

食事をしているとき、体温が高くなって暑くなる経験ありませんか?
特に気温が高くなって薄着で過ごせる季節に起こりやすいと思います。

食事により食物を体内に摂取すると、消化器官により消化吸収の働きが起こります。
この内臓の働きにより食後、一時的にエネルギー消費量が増加します。
発生した熱(エネルギー)は寒いときは体温維持に使われますが、気温が適温の場合には熱は体外に放出されます。
これが食事をすると暑くなる要因なのです。

一般的に食事誘発性熱産生は、エネルギー消費量の約10%といわれています。
食物中に含まれる糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素ではエネルギー比率は異なり、糖質のみ摂取した場合ではエネルギー摂取量の約6%、脂質のみでは約4%、タンパク質のみでは約30%に達します。

高タンパク食材がよいと言われるのは、この食事誘発性熱産生によるエネルギー消費が高いという理由もあります。

また唐辛子の成分であるカプサイシンや、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインなどでも食事誘発性熱産生は高まるといわれています。



日常生活でエネルギー消費量を増やすコツとは?

では日常生活において、エネルギー消費量を増やすにはどうしたらよいのでしょう?

明日から始められる一工夫をご紹介します!


① 歩く&階段を使う

オンの日の通勤・通学時や仕事の移動時などに、なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないで歩く&階段を使うようにしましょう!

太ももの筋肉は身体の中でも大きな筋肉で、筋肉量を増やして代謝を上げやすく、ダイエット目的にも効率がよいとされています。

また歩いたり階段を登ることが辛いと感じるのは、危険信号がともっている証拠です…。
なぜならその原因は、足腰の筋力低下を意味してるからなのです。

筋力が低下していると、少しの運動でも疲労感を感じます。
しかしそれが辛いから避けてばかり居ては、加齢とともにどんどん筋力低下を助長させてしまいます。

下半身の筋力低下については、厚生労働省も警鐘を鳴らしています。
みなさんは【ロコモティブシンドローム】って言葉をご存知ですか?

厚生労働省「わたしたちは健康家族!健康日本 21(第二次)」

ロコモティブシンドロームとは運動器の障害により移動機能の低下をきたし、進行すると介護が必要になるリスクが高くなる状態のことです。
運動器とは骨、関節、筋肉、神経を含めたものであり、体を動かすために必要な器官のことです。
これらのどれかに障害が生じ、自分の力で生活していくことが困難になり、要介護のリスクが高い状態ともいえます。

ロコモの発症は若年齢化が危惧されており、その原因は主に運動不足や過度な節食によるダイエットとされています。
筋肉を刺激して育てるための運動、筋肉を増やすための栄養が不足してしまったり、そもそも活動エネルギーが摂取されないために無気力になってしまったりすることが挙げられます。

このまま運動不足の習慣を繰り返していると、早い方で60代で要介護になってしまう未来が待っているかも知れません…。

明日から歩く&階段を使う習慣をつけましょう!



② 高タンパク食材を摂取する

食事誘発性熱産生でも挙げましたが、高タンパク食材はエネルギー消費が高いためです!

ではどんな食材がよいのでしょう?
過去記事に記載されていますので、併せてお読みください。

アミノ酸スコアの高い食材を摂る意識を持ちましょう!

しかし食事は栄養のバランスが大切です。
過度にタンパク質の多く含まれている食材ばかり食べても、それは逆に内臓に負担をかけてしまうので注意が必要です。

タンパク質の摂取量は体重1kgに対して最大2gまでにしてください。
下記の表を参考にしてください。

過度なタンパク質の摂取は肝臓や腎臓に負担をかけるため、疲労が溜まりやすくなってしまいます。
そのため持久系トレーニングをされてる方は、メッツ数(活動強度数)が高い割には摂取量は低めなのです。

トレーニングをされてる方でなかなか疲れが抜けないという方は、もしかしたらタンパク質の過剰摂取が原因かも知れませんよ。

国際オリンピック委員会(IOC)でも「タンパク質の摂取量について、2〜3g/日を超えて摂取しても筋合成などに良い影響を与えるという明確なエビデンスはない」として、推奨していません。

注)2020年度 厚生労働省では「タンパク質の許容上限値を設定し得る明確な根拠となる報告は十分ではない」として、耐容上限値は設定されていません。
過剰摂取による健康障害の明確な根拠はないので、数値では示していないのです。


しかし何でも過度に摂取することは身体にとって有害です。

水の飲み過ぎも水中毒といって、血液中のナトリウム濃度(塩分濃度)が低下することによる低ナトリウム血症を発症してしまいます。
脳の神経伝達が上手くいかなくなることから機能障害が見られ、最悪死に至る怖い病です。

水溶性であるビタミンCでさえ過剰摂取すると消化器官に不調をきたし、腹痛・下痢・吐き気などの症状があらわれることがあります。

身体に必要とされるものでも、バランス良く摂取する必要があります。

たとえば筋肉の新陳代謝にはタンパク質は材料として必要であることは周知の事実ですが、エネルギー源の糖質や脂質、代謝をサポートするビタミン・ミネラルが足りないと行えないことは知らない方も多いと思います。

栄養バランスのよい食事に心がけ、アミノ酸スコアの高い良質なタンパク質を摂取する意識を持ちましょう!



③ 身体を温め過ぎない

「身体を冷やさない」「冷えは万病のもと」と言われるので、厚着をして冷やさないようにされてる方は多いと思います。
実は厚着をして身体を外から温め過ぎると、代謝量が低くなってしまいます。

基礎代謝量は一般的に寒い冬に高くなり、暑い夏にはもっとも低くなります。
「夏のほうが汗をかくのに?」って思いますよね。  

寒い冬に外出しようと室内から出たとき、身体は生理的に震えて熱を起こそうとします。
これは身体が冷えることで筋肉を振動させ熱を起こそうとする生理的作用です。
この震えにエネルギーを消費するため、外気温が低い冬のほうが基礎代謝が高くなる要因なのです。

だからと言って年中薄着では風邪を引いてしまいます。
外気温や室温によって1枚着脱して微調整できる服装に心がけることが大切です。

また厚着をして身体を外から温め過ぎるのは、この“身体を冷やさない”の本当の意味ではないと思います。

冷たい飲み物ばかり飲んで身体を内側から冷やさない、じっとして暖かい部屋でぬくぬくしないで動くことで身体を温めることが“身体を冷やさない”ようにする本当の意義だと思います。


年中冷え性だという方のほとんどが、筋力不足による基礎代謝の低下や自律神経の失調が疑われます。
健康には「食事」「睡眠」「運動」は欠かせないことで、このどれかがおろそかになっても体調を崩してしまう原因になってしまいます。

運動やトレーニングで筋肉を育てることで、冷え性は改善しますよ!



④ 運動習慣やトレーニング習慣を身につける

1番オススメしたいのが、運動やトレーニング習慣です。

スポーツやトレーニングをするのになんのデメリットもありません!
「疲れがたまる」と言われる方もいらっしゃると思いますが、疲れが溜まる原因は“運動不足”“筋力低下”なのです。

スポーツにおいては日常生活では経験しない活動強度(メッツ)の運動をするため、身体が順応するまで疲労感は強く感じやすいです。
またトレーニングでは日常生活よりも筋肉にかかる負荷や強度は高くなり、普段あまり使われていない筋肉に刺激が入るため、筋肉痛を感じやすいことは事実です。

しかしそれを乗り越えれば、筋肉への神経伝達が発達して動作がスムーズに行えるようになり、疲労を感じる物質である乳酸をエネルギーに換えるシステムが潤滑に行えるようになるため、だんだん疲労感や痛みを感じにくくなります。

1番挫折してしまう分岐点を乗り切れば、身体を動かすことが楽しくなりますよ!



最後に

パーソナルトレーナーとして伝えたいことは、消費エネルギーを増やすためにもぜひトレーニング習慣を身につけましょうということです。

人は成果が見えるとヤル気スイッチが入ります!

例えば1.5時間のトレーニングを週1回、月4回で成果が目に見て分かれば、もっともっとカッコよく&綺麗になりたいと欲が出てくるものです。
続かないのは、一生懸命やっても成果が感じられないのが1番の理由だと思います。

YouTubeやSNSの動画をきっかけに、参考にしてトレーニングすることは良いことだと思いますが、同じトレーニングをしたから憧れの人と同じ身体を作れるかというとその保証はありません。
あくまで動画はその方のトレーニングのコツや方法であって、すべての人にそれが合うかどうかではないからです。

人はそれぞれ身体的特徴が異なります。
骨格や体型、身長や体重、腕や足の長さなどの身体的な特徴はもちろん、日常生活における姿勢も違います。
十人十色なのです。

身体的長所を伸ばし、短所を克服できるトレーニングを行うことが早く成果につなげる近道です。

正しいトレーニング方法が分からない、自分の姿勢のどこが悪いのか分からないって方は、ぜひパーソナルトレーナーを活用してみてください!


最後までお読みいただきありがとうございました。
励みになりますので、気に入っていただけたらハートお願い致します。

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