ソロモンの偽証(韓国版)を見て

アマゾンプライムで、ソロモンの偽証(韓国版)を見つけ、全12話を2日間で一気に見通しました。文庫本で全6巻、映画でも2部制にもなる長編ストーリで、このボリュームのある作品が1話60分の12本で完結しているのは納得ができます。やはり、文庫で読んだ時の印象が強く、一番楽しめたのですが、邦画よりも韓国版ドラマの方が圧倒的に面白い作品に仕上がっていました。韓国ドラマは本当に面白いものが多いですよね。

圧倒的な敵と対立する構図で、主人公を中心とする登場人物が立ち向かっていく、戦っていくストーリー展開は、韓国ドラマや映画を見ていると、よく出てくる手法ですが、この適役や悪役が本当にすごい!これでもか!という程に、また想像し難い方法で主人公たちを追い詰めていく様は、見ている私をどんどんとストーリーに引き込んでいきます。素直に身を任せておきたくなる心境で、展開されるがままに流れるように見守っていました。

ソロモンの偽証のストーリー自体は、既に多くのサイトでも紹介されていますので、内容についての解釈は避けますが、この小説の中心となっている権力という構図が、韓国の作品に非常にマッチしていると思います。韓国の作品は権力に対する抵抗、権力と戦う民という構図が多く、これは韓国が持っている歴史観が物語っています。英語タクシードライバーでも、軍と市民という対立構造、またドラマでも裏社会に通じる権力者と主人公などの対立構造などの対立軸で展開するものが多いと感じています。ソロモンの偽証では、自殺した高校生とその友人に対する教師という権力、親と子、教師から見た学校という権力、民と官、学校組織であったも財団という経営母体との対立など、物語の各所に対立構造が組み込まれていて、ワンパターンではありますが、その悪行に奥行きがあり半沢直樹のような明快さとは程遠い、幾重にもレイヤーが重なりながらストーリーが展開していきます。そんな原作と韓国という文化の相性が良かったのでしょう。邦画でみるより、あっと言う間に完走していました。

邦画も面白かったのですが、裁判の進行を中心に物語が展開していたとう印象で、どうやってその偽証を暴いていくのか?という観点で見ていました。今回の韓国版は、偽証を暴くことは変わりないのですが、裁判が話の中心ではなく登場人物それぞれが権力と戦っていくというショートストーリが点在していたように感じます。同じ原作でもここまで違う見せ方になる、超長編なので大変ですが、本、邦画、韓国ドラマの3つを見比べる楽しさもあったと思います。おすすめの作品です。

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