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通信制高校と私立とお客様と

顧客と販売店は同等であるべき、そんな話題が一時よく目にしていました。「お客様は神様です」という時代から、顧客の過剰なサービス要求に対して、できないものはできないと言い切る姿勢が評価され、また求められ、今では車を買いに行くと過剰な値引き交渉をしかけると、お帰り下さいとまで言われることもあるようです。
サービス業の最高峰と言われる航空業界やホテル業界でも、できないことはできないと言う、コンプライアンスとのバランスがサービス提供側だけではなく、顧客側にも求められるのが現在の暗黙の了解ではないでしょうか?

通信制高校も私立ですので、ある意味ではサービス産業です。
顧客=生徒獲得のために、ある程度のサービスは行いますし、ある程度の個別対応は行います。1つサービス業に違う味が加わっているのが、教育というスパイス。
教育とは聖域のようでもあり、この子の将来のためにとか、学費は遅れてもとか、行きたいくないと言っているので休ませます、でもテストはよろしくお願いします・・・など、単位を学費で購入しているという感覚で学校に入学している人もいるように感じています。

このサービス業としてやるべきことと、教育としてやるべきことのバランスが通信制高校には求められます。
精神的な理由で学校に行きたくない、いけないからテストも別の日にやて欲しい、教育としては対応しますがサービスとしては営業時間外ですので対応しきれませんという判断になります。
先日も豪雨で学校に登校できない生徒がいました。
レポートの締め切り日でもあり、どうしても今日中の消印が必要でした。
雨でレポートを出しに行けない→コンビニでも郵便局でも最寄りの窓口に持込んで→命よりレポートが大切なんですね。
これは比較するルールが違います。
自分のためだけを考えると、確かに命を守るのは正論であり、それ以上言えることはありません。
しかし、コンビニであればまだ8時間はあります。
今日の締切なのに、なぜ今日だそうとするのか?という教育的な観点もあります。
豪雨で休校にしていた期間もありますが、なぜその時にやっておかなかったんですか?という切り替えしもあります。
しかし、サービス業だから、そこまでは言いません。

正論であれば正論で切り返すのもテクニックですが、単位認定に必要な取り組みです。
学校として国で定めたルールに基づいて行っている締め切り日を変更するのは、数千人の生徒にも影響が出てきます。
避難している、床上浸水でレポートがすべて水没しているなど非常事態では話が別ですが、自宅待機の状態であれば諦める前にやるべきことはあるはずです。
教育として許されることと、許してはいけないことの境界線。
保護者と学校の見解の相違はよくあることですが、これがお客様は神様ですではない成熟した市場経済の形です。

通信制高校も私立の場合は、過剰なサービスはお断りしてもいいと思います。
それができるだけの人間関係と日ごろからの信頼関係が大切なんは言うまでもありませんが。

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