見出し画像

『A DAY IN THE AICHI 完全版 ただいまあいち』

窮状に陥っているミニシアターやライブハウスを支援するプロジェクトとして、AV監督カンパニー松尾による #SaveTheCinema 『A DAY IN THE AICHI 完全版 ただいまあいち』という、えらく長いタイトルのドキュメンタリーの期間限定・有料配信が始まっています。4時間20分もの大長編。
「なんだそりゃ」という方のために、ちょっと解説を書きたいと思います。お付き合いください。

昨年、物議を醸した「あいちトリエンナーレ2019」の映像プログラムでは、初の委嘱製作が行われました。製作・上映されたのがこの『A DAY~』です。
カンパニー松尾監督の出身地・愛知県を舞台に、著名人から市井の人まで約30人のインタビューと監督自身の心象風景を収めたこのドキュメンタリーは、その後ちょっと短く再編集され、『A DAY~劇場版 さよならあいち』として全国いくつかのミニシアターなどで上映されました。

それからわずか数ヵ月後。世界はすっかり様相を変えてしまいました。
映画に出演した愛知のシネマスコーレ・名古屋シネマテーク・刈谷日劇・TOKUZOは、現在いずれも休業に追い込まれています。
彼らを応援しようと新たに編集されたのが、この『A DAY~完全版 ただいまあいち』。配信利益は上記4つの劇場・ライブハウスに寄付されます。
というわけで、どうぞコチラからご覧ください。

●配信期間:4/24(金)~5/17(日)¥1800

以下は、すでにトリエンナーレ版・劇場版いずれかを見ている方、または見てないけど情報としてなんとなく本作を知ってる方、に向けてのお話。
とはいえ、ネタバレが存在する類の映画ではありません。「何も起きない」映画です。

ひと足先に『完全版』を拝見し、衝撃を受けました。
映画とは、現実が変わると、ここまで変わって見えるのか。
これはどこにでもある何気ない日常風景に散らばっている、ちょっとした、しかしとても美しいものをカメラで掬い上げたような映画でした。センセーショナルなことは何もない。私もあなたも見過ごしているモノ、実はちょっと綺麗なモノたちが、日常には満ちている。そんなことを思う映画でした。

それが今回、この完全版では、まるっと反転したかのよう。
世界は、今や本当に変わってしまったことを実感させられ、一瞬のきらめきだった風景はもはや眩しすぎて、正視するのがつらいほど。
以前の『ADAY』を見ている方も、ぜひ見てほしい。具体的にいうと、追加の人物はもちろん全体にちょこちょこと編集が変わり、トリエンナーレ版、劇場版ともまったく違うラストが用意されています。カンパニー松尾監督は、彼にとっての今この瞬間を記録する人なのだなあと、改めて。

画像1

私はこの映画を実はとても気に入っていて、新しいカタチでまた見られることを、素直に嬉しく思っています。長い長い映画なので、春のステイホーム週間にはぴったりかと。
劇場公開もコロナに巻き込まれ、なんだかよく分からないまま終わってしまったので、今回はこの映画にとってもリベンジ的意味合いを持つ機会だと思います。
そして今回の支援先は私にとっても大切な場所であり、その応援は当然ありがたく嬉しいこと。しかし世界を巻き込むこの惨禍、AV業界だってもれなく窮状の真っただ中に違いないのです。自分自身も苦しい中で、こういう形でこの作品を世に出そうというその気持ちが私には嬉しく、かけがえのない行為だと思っています。
今はきっと、誰だってしんどい。明日が見えないんだもの。
けど、こんなつながりの中で生かされてるんだよなあと、心強さを感じています。

画像2






記事を気に入ってくださったら。どうぞよろしくお願いします。次の記事作成に活用します。