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夢の中の決断

凄く壮大な夢をみた。

戦争中の国で、大人も子どもも体にチップのようなものを埋め込まれて軍事工場で働かされていた。国に与えられた寮、寮の中にある高校、それに工場との往復が毎日の生活だった。その国の国民だった私も例外ではなく、毎日代わり映えなく生活を送っていた。

日々多発する街中でのデモにウンザリした私は、ある日の仕事終わりに、街のはずれにある大きな観覧車に乗ることにした。

観覧車からみた景色は頂上から下り始めるところで様子が変わった。空間が歪むような感覚になり、数キロは遠くにあるはずの寮の建物を、ベランダ側から傍で覗き込むような視点で見られるようになったのだ。

その不思議な体験を私は幼なじみに伝えたくなり、寮に駆け戻って彼の部屋に向かった。呼び鈴を鳴らしても返事がなく、ドアに手をかけると鍵がかかっておらず、そのまま開いた。と、その瞬間、私は後ろから誰かに口を塞がれ、羽交い締めにされて室内へと連れ込まれた。

「慌てるな。大きな声を出さなければ拘束を解いてやる。」

中年くらいの男性に耳元で囁かれ、私は必死で首を縦に振ると解放された。

この建物の部屋はどこもワンルームタイプのはずなのに、その部屋は拡張されて3部屋分程に広がっており、見覚えのないタイプの軍服を着た大人の男性が10人ほどその部屋にいた。敵国のスパイが私の住む寮に潜入捜索のために入り込んで来ていたのだ。

そのうち1番若い男性は、同じく高校で人気者のだった。仲の良い友達がいつもカッコイイと褒めている1学年上の先輩だ。たまに見かける、髭が特徴的な用務員のおじさんもいる。


彼らの中で1番ガタイの良い男性は私と目の高さを合わせ、今の状況を静かに説明し始めた。あの観覧車は国が国民のご機嫌取りのために設置したと言われてるけれど、実は国民生活を監視をするためのシステムが組み込まれていると。その他伝えられたものは難しく、すべてを理解されてすることはできなかった。世界情勢、私がそれまで教えられてきたものとは全然違っていた。何がなんだかわからず混乱する私に向かってその人はこう告げた。

「戦争を終わらせるため、この国で労働に従事させられている人を解放するため、この寮の中で誰にも怪しまれらずに、とあるミッションを行わなければならない。君の協力が不可欠になってしまった。どうか手伝ってくれないか。」

. . .

それからの私の生活は充実していた。なにも変わらない毎日であるように振る舞いつつ、それまで知らなかったことに毎日触れるようになったのだ。敵国の話にはビックリすることも多く、なんでも知ってる彼らが私の目にヒーローのように映るようになるのに時間はかからなかった。日のほとんどを全員がその部屋で送るため、タバコの灰は落ち、空き缶にタバコが詰め込まれ、ゴミが山積する汚い部屋だったけれど、私はその部屋ですごす時間が大好きだった。

そのうちの1人、1番ぶっきらぼうで髪も乱れていて、口も態度も悪いけれど仲間のことを誰よりも思っている男性に恋をした。勝手に取り付けた小さな約束も、渋々いいながらきちんと守ってくれる人だった。私がその人に甘えてることは彼らの誰もが知っていて、たまにその人の癖や弱いところを教えてくれたりする、なんとも心地いい時間だった。

. . .


そんな時間が私の「日常」になり始めたある日、急に私の寮でも騒動が起きたのだ。デモのような騒動自体は街中至る所で起きているのだが、今回は遂に私の寮の建物そのもので発生したのだ。しかも今回は「この国のどこかに敵国スパイがいる」との噂付きで。
彼らの予定ではまだあと2週間ほど先にミッションを開始するつもりだったけれど、デモが始まってしまった以上どうしようもない。「今日が決行日だ」と彼らは私に告げた。


私の寮には高校が併設されており、ほとんどが同学年の女子で構成されている(男子もいるけれど、体が弱い人)。その女子がデモ勃発をキッカケに寮の廊下や共有スペースに出てきて、蜘蛛の子を散らしたかのように逃げまどい、収集のつかないような状況になっている。
仲間の彼らは3階から吹き抜けのロビーを通り抜け、地下にある古いPC室に向かわなければならないという。その間、彼らはロビーにいる教員男性の目に止まるわけにいかない。私は皆のために、その教員男性の注意を引く役目を引き受けた。


スケベだと皆に噂されるその教員は、混乱する学生を再度統率するため、竹刀のようなものを握りながら声をあげている。私はいつもの作業着ではなく、ギリギリ下着が隠れる位の部屋着Tシャツに着替え(先生が好きそうな服)、怯えたフリをしながら先生に状況聞きにいった。
話をしながら先生の目がキワドイ所を見ていることを感じつつ、私は仲間が地下に向かっていくのを横目で確認した。ある人は用務員の格好で、ある人は学生姿で、ある人は目立たないデモ隊の1人であるかのような格好をして、続々と地下にむかう。私が好きなあの人が最後に地下に降りていったのを確認して、私は先生にしがみついてぶりっ子風のお礼を伝えたあと、彼らの待つ地下室に向かった。


地下の古いPC室は真っ暗で、中央だけがぼんやりと光っていた。箱型のPCが5-6台連結されているようだ。そのPCの前には、初めて会う美少女が立っていた。ゴスロリ服が似合う、無表情で目に活力がない子だ。何故かウサギのぬいぐるみを抱いている。彼女は皆と別行動でPC環境をセットすることをミッションとしていて、それぞれが合流してネットの何かにログインした後無事に撤退するのが彼らの役割のすべてだったらしい。

無事そのミッションが遂行出来たところで、ロビーと地下とを繋ぐ階段が騒がしくなってきた。仲間の皆は半地下あたりに隠してあった気球でここからの脱出をはかるらしい。気球の準備を整えた皆が籠に乗り込むなか、その女の子は私の腕に特殊なライトを当てた。左手手首にホチキスの針のようなサイズのものが入っている。
「これがチップだよ。これを取り除かない限り、あなたはこの国から脱することが出来ない。」
と静かに語る女の子は、うっすらと光るそのチップを今とるからねと言うと、持っていたサバイバルナイフを器用に使い、なるべく傷が浅くなるようにしながらその光を取り除いてくれた。


「これで私も皆と一緒に行ける」

そう思って左手を再度確認すると、血が滲むその奥にもう一つの光が見えた。
私だけなのか、私の年代からチップの制度が変わっていたのか、理由はよく分からないけれど、とにかく、私には2つ目のチップが入っていたのだ。しかも、それは手首のかなり深いところにあり、たぶん動脈に近いのだろう。その場で抉りとると死に繋がることが一目見てわかるものだった。

私はついていけない。
好きな人と一緒にいられない。
でも皆は早くここから出ないと、時期に捕まる。

一生懸命笑顔を作って「あちゃ〜しょうがないね。でも、そのうち平和になるんでしょ?そしたらちゃんと迎えに来てね。待ってるよ」と言うのが精一杯だった。


私の好きな人は暴れて私を気球に乗り込ませようと、皆に宥め、取り押さえられてた。でも無理なものは無理だ。これでいい。

最後に女の子が乗り込んだのを確認して、私は気球を繋いでいたロープを外した。


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ロープを外した瞬間、私は目が覚めた。
あまりにも鮮明でドラマのような夢だったし、その中で感じた恋のような感覚がリアルだったので、忘れるのが惜しくて文に残してみた。
20206月30日~7月1日にかけて、今年の後半戦滑り出しの夢でした。

ちなみに惚れた相手のイメージは「ウォーキング・デッド」のダリルだったし、仲間の彼らのイメージは攻殻機動隊の公安9課だったし、最後に現れた美少女はTwitter相互の真理ちゃんアイコンの実写化って感じだったので完全に夢。

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読んでいただいてありがとうございました!
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140字じゃおさまらない。Twitter:miyako_san154cmを住処にしながら、考えたことをつらつらと深めてみようか。
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