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「ワタシマチメソッド」完全マニュアル

「ワタシマチメソッド」完全マニュアルへようこそ!

地域で生活を続けるためには、どうしたらいいんだろう。
そういう思いからスタートした構想も約20年。そして、思い切って自分の住んでいた町にデイサービスを作ってから3年経ちましたが、ようやく自分のイメージするような町づくりが動き始めました。
町づくりや共生社会づくりといっても、今、町の人が悩んでいるのはもっと奥深い根深い問題だったりします。

助け合いたくても、自分が高齢化していたり、周囲が皆施設へ行くので、いざというとき頼れる人がいつもそばにいない。といった見えそうで見えない様々な問題が水面下で悲鳴を上げています。

長年活動をする中で、これまでのやり方だけではなかなかうまくいかないなあと思う事も増えてきていて、自分なりにできるやり方で町づくりをしてみたいと思ったんです。
そして、3年前に私はデイサービスみやこやを作り、今ある制度や、仕組みを使いながら自分なりにイメージする自治会(町)単位の地域包括ケアシステムを作ってみました。

実際に完成に近づくにつれて、連日のように色々な人が色々な相談を持ってきてくれたり、町に住む人やスタッフ達が町に溶け込みながら次第にゆるいつながりを作り始めました。
これは、大きな組織で何かをしよう!というような話ではありません。自分たちのできる範囲で自分のできることをしながら、気づいたら皆がゆるゆるとつながり支え合う仕組みになっていくという不思議なメソッドです。

これから、アウトカムや達成手段、ちょっとした理論を書きながら、誰もができるようなメソッドを書いてみます。このワタシマチメソッドは現在進行形ですので、まだまだ修正しながら更にいいものになっていくのではないかと思います。まずは、このメソッドを見てもらって後は自分の得意な事や町の姿をイメージして、アレンジしてもらえたらと思います。

ワタシマチメソッドを作るにあたって

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町で何かしたいなあと思っていました。色々な活動をする中で「自分の生まれ育った町でもワクワクすることやってみたいなあ」と思ったんです。

だけど、いきなり町の中で「やりたい!」というにはどうしたらいいんだろう。まず、そこで躓きました。

「何といって人を巻き込めばいいのよ。突然やりたいことを宣言したって、相手に変な目を向けられることだってある」

自治会にも入ってみました。でも、若い人がいない。自分のこういう思いをいきなり宣言するには気が引けるなあ。

長年、福祉の仕事をしたり社会活動をしてきたのですが、それは外向きの活動というか、地元の関係性の中でやっていたわけではなくて、なんとなくオンとオフを変えて活動をしてきたような感じがしていました。

実際、生まれ育った町ではかわいがってくれた叔父さんおばさん達が高齢化を迎え始めていて、なんとかしなくちゃという気持ちもわいてきたのですが、小学校時代から偉大なおじさんおばさんを見ていると、いきなり私みたいな人間が舵取りするなんて大それた事はできない。そんなモヤモヤだけが続く毎日でした。

本当は、生まれ育った町で色々とやりたい。両親のことも心配だし皆で支えあえるような町づくりがやりたい。お世話になった町の為に何かやりたい。
 
だけど、その「やりたい」をするためのハードルが高くて、何となく途方に暮れていたんですね。でも、ある日母の「やってみれば?」の言葉ですっと色々な物事が動き始めました。

物事を始めるのに、色々考えても仕方がないなあと思ったんです。

母が「やってみれば」と言ってくれたのは、二人でランチを食べに行った時の事でした。これからの母との将来や町で住むという事について語り合っているうちに、なんだかウキウキしてきたんです。母も福祉の仕事をしていたので、私のお話をいつも面白がって聞いてくれていました。

そして、二人で色々な夢を語り終えた後、やはり町の中で見守る仕組みを作ってみたいなあと思ったんです。

私は、市民活動を約20年間やっています。最初は子育てのフリーペーパーを作りました。ママ達のネットワークを作ってそこからママ達の口コミを使って様々な事業をやっていたんです。気が付くとそのネットワークはとても大きなものになり、最終的にはNPO法人化をしました。
その後は理事長を後任に任せ、介護施設の立上げを手伝ったり、色々な流れで市民活動センターを運営することになりました。そして、色々な縁が繋がって団体やネットワークも数多く立ち上げてきました。本当に色々なタイプのものを立ち上げてみたんですね。そして、ちょっとだけおもしろい事を発見したのです。

もしかすると、これまでの色々なスキルをアレンジしたら、おもしろい町づくりができるんじゃないかしら。そんな感じで始めた様々なことを3年目になったのでまとめてみました。それが「ワタシマチメソッド」です。

ワタシマチメソッドの全体概要

一番最初に、総菜やを始めました。

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私はとにかくお料理が大好きで、いつも「食」に囲まれる人生を送りたいと思ったんです。毎日10品くらいのお料理を母と作りべランダに並べておくんです。するとお昼くらいに町の人がやってきます。人が人に伝える感じで次第に人がみやこやに集まって来ました。

そして、色々な介護のお話や家での生活の話を聞くことが増えてきます。私も来てくれる人には「こういうことをやってみたい」と伝えてみると、またその話を聞いた人が別の人を連れてきてくれるようになりました。そうして、わらしべ長者のようにゆるゆると色々な人がやってくるようになりました。

まずデイサービスを作ってみた

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みやこやは、自治会の中で「よろずや機能」を持たせようと思って作った地域密着型デイサービスです。

「町の中で一つ拠点があれば、そこを起点に色々な物事が動き出すのではないか」

そういう仮説を立てて動き出したものです。

私は元々障がいを持つ方の施設で働いていました。施設での生活はメリットもデメリットもあります。管理された中で自由がない代わりに必要最低限のサポートはあるので、生活は維持できるんですね。利用者は「施設を出たい」と言っていました。私も地域で生活ができるようにしたいと思っていました。しかし、ある日職員に聞いたことがあったのですがその時に地域で生活することの大きなハードルを感じて途方に暮れたことがあります。

「Aさんは自立もできているし施設を出て生活をしようと思ったらと思うんですよ。なぜ施設から出れないんですか?」
「てんかん発作があるから、家で倒れたときに危険だから」

これくらいで施設を出れないの?
と思うかもしれませんが、これは本人にとって見たら大変な話です。
一人暮らしをしているときに、てんかん発作が起きたとき、誰がそれをすぐに見つけ対応できるか。

実はその当時は私にはそれを解決する手立てを持っていませんでした。

時代は変わり自立をするのが当たり前になってきましたが、それでも障害を持つ人が問題なく生活できるかというとまだまだ課題はあります。

これは児童虐待の場合においても、高齢者支援の場においても同じです。地域でできるのかを考えたとき、解決できていない課題があるなあと思いました。

施設で働く人間として、地域での生活に移行していくのは願いでもあります。しかし、実際にできるケースというのは一握りだったりします。少し現実的なお話になりますが、施設だといつも職員がいて、その職員は福祉だったり医療の専門家だったりします。いつも栄養バランスの取れた食事が提供されて困ったときにはすぐに相談できる人がいます。

しかし、その環境は一歩施設を出るとすべて自分でやらなくてはいけません。
いきなり外に出たとして、ご飯はどうするか。仕事はどうするか。てんかん発作が起きたときどうしたらいいか。

施設で完結していた様々な事というのは、地域に出るとそれぞれが別の支援になります。今まで施設で受けていた全ての支援を自分でチョイスして生活をしていかなくてはなりません。

一人でできない場合は相談員やソーシャルワーカーという人がいて、サポートをしてくれますが、全てをしてくれるわけではありません。

例えば、御飯が食べたい場合、食べる為には稼がないといけません。年金や生活保護をもらったとして、そのお金を管理していないとあっという間にお金はなくなります。皆が管理できるわけではありません。あと、ご飯を作れないといけませんね。でも、自分で作れなかったら人に頼むことになります。そうなると誰に頼むのかを考えなければなりません。そういった一つ一つの行程を地域に出たらやらなくてはならないんです。

自分で頑張っていかなければならないことがたくさんあるんです。

これは、障がい、高齢者、児童すべてに言える事です。
私自身も、施設の職員として関わりながら「ここに生活をしている人が地域に出ようと思ったときに、本当にできるだけのサポートはあるのだろうか」何度も考えました。

児童養護施設に勤務をしていた時に、子どもが親に手を引っ張られてうれしそうに施設を去るのを見たときに「ああ、この親子がずっと安心して生活できる社会にしたい」そう思ったことが、地域に飛び出した一つの理由です。

さて、私は施設の職員を辞めて地域で支える仕組みを作ろうと、NPO法人を立ち上げました。もう、在宅支援や地域支援の活動を続けて約20年近くになりますが、やはり困りごとを抱えている人が一人で生活をするには、まだまだハードルが高い。

現実のお話なのですが、

高齢者の場合は、「こけて怪我をした」「救急車で運ばれた」という状況になって初めて支援が入る。

子どもの場合は、「虐待の通報があった」「事件を起こした」などという状況で初めて支援が入ります。

障がいも同じです。訪問をしたら家の生ごみから蛆が沸いていて、目からドロドロの目やにが出ていて、聞くと体調を壊していたというじゃありませんか。慌てて近くの関係機関に連絡を入れたこともあります。

こういうケースは、連日たくさん起きています。これらの問題を通していつも思うのが、

「いつでも見守りそっと寄り添える仕組みができていない」

これは長年活動をしていてもなかなか解決できない問題でした。

世の中にはたくさんの支援がありますが、どうしても制度の狭間で零れ落ちる人たちがいて、そういう人たちをサポートするのは町の力になってしまいます。

しかし、大変な状況になっていた場合、素人の知識やスキルでは対応できないことも多くあります。そういう時に、もう少し身近でそういった問題を把握しながらサポートできるやり方はないか。そう思って作ったのが、「ワタシマチメソッド」でした。

町全体の人たちを巻き込みながら、支援をしあう仕組みを作れば何か困ったことがあっても、ある程度は救う事ができるのではないか。そう思ったのです。

みやこやというのは、デイサービスと併設で厨房設備を整えており、「デイサービス&お惣菜や」として事業をしています。

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みやこやの特徴の一つは、今、町の人の半分くらいが町の人です。
宅配弁当をお願いしたりしながら、町内の高齢者の見守りや話し相手をしてもらっています。

そうすることで、町内の高齢者の様子が毎日把握できるのでちょっとした変化が見えるとすぐに関係機関へつなげることができるんですね。

また、スタッフ自体はもともと素人なのですが、デイサービスの職員が、看護師、管理栄養士、生活相談員といった医療・介護のエキスパートなんですね。

ですので、常に介護や医療の話が飛び交います。スタッフ自身も高齢の親を抱えている方もいて、都度、相談を受けてはアドバイスをするという事をしますので、次第に、介護の仕組みや認知症、高齢についての知識が分かるようになってくるんです。

すると、町内でふと介護の話になったときにちょっとした豆知識であれば即座にアドバイスができるようになります。
また、宅配弁当先というのは困窮家庭も多いため、スタッフがその現状を目の当たりにする機会も多くあります。当然宅配時に亡くなっていて、警察がいたり。お弁当をお届けした次の日になくなっていて警察から電話が来たり。ある日はベッドの横に包丁が転がっていたこともあります。

通常では出会う事のないケースに時折遭遇するんです。すると、テレビなどで見ていた「どこか他人事だけど、結構大変な人がいるんだね」という話が、実は身近にこんなにもたくさんあることを知るきっかけにもなり、他人事だった問題が自分事として感じ取れるようになります。

うちのスタッフさんはタフですし、感受性豊かです。

いつも、こうした方々と接しながらどうしたら町で長く生活できるかを、いつも考えてくれています。

ここからがすごいのですが、気になるケースは地域包括センターや関係機関につなげる事ができるということです。これは、デイサービスという機能があるからこそできる業ですね。どういう状況でも専門家がある程度の判断をして、しかるべき機関へつなげることができるのがとても大きな強みです。

こうして、じっくり、ゆっくりとみやこやというのは、町の中で支える存在として認知をされ始めました。

そのうち、デイサービスとは別に総合事業で町内の居場所カフェを作らせていただけるようになり、ますます町の拠点としてみやこやは存在するようになります。

私の考えた「ワタシマチメソッド」はとてもシンプルではありますが、やればやるほど奥が深くなります。

これから、アウトカムをお示ししますので、参考に眺めていただき、自分たちの町、自分の得意分野でカスタマイズしながらアレンジしてもらえたらと思います。

ワタシマチメソッドのアウトカム

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まず、一番最初にみやこやを中心としたサポートの仕組を作ろうと、アウトカムを作りました。

自治会の加入率の低下や、町づくりに関わっている人たちの高齢化、仕事を持つ家庭といった社会背景を考えたとき、自然発生的にコミュニティを作って行くことは限界なのではないかと感じ始めていたんですね。

そこで、仕組としてコミュティを起こしながら、支え合える仕組みを作ってみようと思いました。

このアウトカム表は、約20年間の活動の中で導いたものであり、今の地域包括ケアシステムとはまた違った視点から作っています。実はこれを完成させたときに、私は総合事業の存在を知りませんでした。

しかし、改めて見てみると正に今の制度に合わせてきちんとアウトカムが整理されていることに気づきました。

何が言いたいのかというと、長年必要だと思っていた解決策は、しっかりと制度化されているということです。これから書く2点を出されると驚くかもしれませんが、私にとっては「やはりこういう流れがあったんだ」という感動をしました。

これからは、少しずつ解説を入れながら町内での包括の仕組を作る一つのメソッドを紹介したいと思います。

今回はみやこやの事例をもとにアウトカムを作っていますが、それぞれの町でやることやできることも違うのではないかと思います。

実践の中心になる人によっても内容が変わってくるかと思いますので、状況に合わせてカスタマイズしてもらえたらと思います。

【最終アウトカム】

まず最終アウトカムです。これは一番達成したい目的は何かというお話です。


最終アウトカム:「地域全体で見守り支えあう社会(高齢・児童・障がい)」


これは地域包括ケアシステムの考えと同じですね。私は元々障がいの方の施設に勤務していました。重度と言われる方を支援する施設でしたが、家を出たいという利用者様もたくさんいらっしゃいました。当時は施設を出て地域で生活をするなんて想像もできない時代でしたが、次第に地域移行への流れになり始める中で、いざ地域での生活が可能なのかを考える事がとても多くなりました。

その後、児童養護施設に勤務しここでは児童虐待児を見守ることになります。施設の中で生活した方がいつも温かいご飯が食べれてお風呂に入れて当たり前の生活ができるのに、それでも子供たちは親といたいんですね。施設を出て親子で暮らす中で施設のような衣食住が充実した生活を送ってもらうにはどうしたらいいんだろう。そう考えた私は、約10年の施設勤務を辞め地域支援をするためにNPO法人を立ち上げました。

思うに、福祉は一つの側面だけ見ていても解決はしません。すべての福祉が連なっている事の方が多く、どれもが解決されないと当たり前の生活ができないのです。

それを考えたとき、すべての福祉を支えることができる社会(町)づくりをしよう。そう思った私はこれを最終アウトカムにしました。

【中間アウトカム】

最終アウトカムを達成するためには以下の2点を目標にしようと思いました。

1.介護保険(社会的支援)では埋めれなかった隙間支援
2.自治会のコミュニティ活性化

これは、今でいうと正に地域包括ケアシステムのテーマです。
「介護予防」「地域の居場所」を両立すれば町内の包括の仕組ができるのではないか。

そういう理論はもう、20年近くも頭の中にありました。介護保険が施行されるときに、私は「ああ、国の制度だけに頼らずに一つのサービスとして支援ができたら、きっと施設と利用者はwinwinの関係で生活ができる」と思っていました。

この辺りは、自分の想像とは違う方向に行き始め「介護保険というのは元々こういうつもりでできた制度なんだろうか?」とずっと思っていたのですが、やはり時代は変化をし始めます。
2025年問題や超少子高齢化問題など様々な背景が重なり、いよいよ介護保険サービスだけでは支援ができない時代に突入することになりました。

そして、国の制度は「介護保険をなるべく使わない=介護予防」という流れになっている事が分かります。

色々な介護サービスがありますが、実際にそれらを使っていくことには限界も起き始めています。そういった問題を乗り切る為にも介護サービスに頼らない仕組みを作っておく必要があると長年思っていました。

そして、この中間アウトカムに行き着いたわけです。

【初期アウトカム】

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初期アウトカムは、誰でもが使えるように少し、まとめなおししました。自治会単位で共生社会づくりや支え合いといったものを自然発生的にするのは、難しくなっていたりするのでこのアウトカムを使って、ひとつずつ仕組化していこうというのが「ワタシマチメソッド」です。

「介護サポート」「見守り支援」「情報発信」「外部機関との連携」「居場所づくり」が町の中で仕組化されたらある程度の自治会単位での地域包括桁システムは完成するかと思います。上記の図にまとめているのでご覧くださいね。

初期アウトカムから、具体的活動に向けての説明をしてみます。

・食事サポート(栄養アセスメント等)
在宅で一番大事なのは「食事」だという観点から、栄養面においてのサポート体制を作ろうと思いました。実際、介護予防にも「栄養」は項目にありますね。
・弁当宅配ボランティアによる支援(見守り・把握)
見守り、把握するツールが必要だという考えから、宅配弁当サービスを行いました。町内の方にボランティアで配達をしてもらったりしながら、町の人たちの様子を把握してもらっています。
※ここは「見守り」という役割がある業種であればなんでも可能なのではないかと思います。

・紙媒体による、情報交換(紙媒体上で地域のコミュニティを作る)
町内でどういう事が起きているのかといった、情報収集ツールを作りたいと思いました。支援の中で気づいたのが「情報格差」これは、生活困窮の場面でもよく出てくる課題なのですが、貧困状態に陥るときの問題に「情報収集ができない」というのがあるんです。子育て支援をしているときも、ずっとこれが課題でした。私の周囲にいた、情報収集能力が高い人は色々な情報や支援を駆使して育児ライフを謳歌しているのに、児童養護施設に来ている事の親たちは常に毎日が一杯で、情報を知らないという事もあったのです。

情報を取る事が上手な人と上手ではない人というのは生活の質に差が出てしまいます。そう言ったことを防ぐためにも気軽に手に取れる広報媒体を作ろうと思いました。
今、不定期ではありますが「みやこや通信」を町内に発行しています。

・子ども達の見守り
ここは町づくりをする中で欠かせない視点です。子供たちが学校から帰ってきてまた外に遊びに行くときに、安心・安全な街にしたいと思ったんです。町の皆で子どもたちを見守る。そういう事ができたらいいなあと思いこれをアウトカムに入れることにしました。

・デイを拠点としたコミュニティ形成(デイを媒介として自治会内に済む人たちの交流の場となる)
コミュニティを作る為のハブ機能として、「居場所づくり」は欠かせないと思っていました。ただ、何で居場所を作ったらいいかが長年の課題でした。いつでもそこが開いてないといけないのです。しかし、何もせずにそこが開いているという状態を作るのはとても難しいですね。そこで、何か別の事業をしながら居場所を開設できる仕組みはないかしらと思ったんです。私はここで「デイサービス」を選びました。

デイサービスに人が来るような仕組みを作れば、おのずと人の輪が広がっていくのではと思ったのです。

このアウトカムにそって、デイサービスを立ち上げ今約3年目を迎えるのですが、まだ3年目にも関わらず、色々な事が見えてきました。それに合わせて軌道修正も行いました。
その中で、代替できる仕組みも色々とある事が分かっり。

最近の介護保険の流れでは、このデイサービスのよろずや機能は「総合事業」やるのがいいことにも気づいていきます。
そうです、色々と考えて手弁当でやっていたものは既に制度化されているものばかりだったんです。

今のタイミングというのは、自治体においても色々な実践力を待っている時期なのを、県内の動きを見ながら感じます。

私自身が、この1年間は地域包括ケアシステムに関しての色々な事業をさせてもらうことになりました。

自分がいいと思ったものが、総合事業でできるのは、とてもありがたいです。

この辺りも、こちらのページでは省きますが、随時公開していきますので参考に見てください。

【具体的行動】

これらが機能し始めると以下のような事ができるようになります。

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1.みやこやを拠点にして、見守りの仕組(宅配弁当)が広がる。
2.機能訓練や相談の場所としてデイサービスが存在し、そこに町の人が出入りすることで「プレスタッフ」みたいな感じで町の中に広がる。
3.みやこやのスタッフが、民生委員や自治会役員、福祉協力員を兼ねている為、ダイレクトに町内の情報が入るようになってくる。

こんな感じで、ジワジワとアメーバーのようにみやこやを知る人が増え始め、色々なところから色々人が、みやこやを繋ぎ利用してくれはじめる。
利用をしなくても、「困ったときはみやこやさん」という認識は広がるので、相談があるときにはみやこやにつないでくれる人が増え始める。

みやこやに来るケースは、どちらかというと自力で動けない人が多いです。自力で動ける人は、困った人をみやこやに連れてきてくれます。何かの拍子に見つかりそのまま支援につながるというケースがとても多いんですね。

これでワタシマチメソッドの全体概要は終わりです。

このワタシマチメソッドを使ってから出てきた様々な事例あるあるを、別のページで書きますので参考に見てみてくださいね。

さて、このワタシマチメソッドをするにあたり、少し技術的なことも書いておきます。
このアウトカムを見ただけで「私には無理」と思ってしまったらもったいないので、まずは自分でできる範囲から広げられるやりかたを書いておきます。

これは、最初から大きな仕組みを作るというよりは、、まず自分の得意な事ややりたいことから初めて、次第に周囲を巻き込んでいくという手法です。

私自身のこの仕組みも、スタートはシンプルです。
お惣菜を作っているうちに次第に人が集まり始めて、輪ができた。

という感じでスタートしています。

最初の「ワタシマチメソッドの全体概要」と「ワタシマチメソッド実践」を読みながら自分のイメージする町づくりをしてみてくださいね。

ワタシマチメソッドについて概要

いきなり自治体とかサークルといった大きなものを作るんじゃなくて、自分のできることをしながらゆっくりじんわりと人を巻き込むスタイルで町づくりができないかしら。

きっとこのやり方なら私もできるんじゃないかという気がしてしたんです。

そして、私は、小さなお惣菜やを始めました。
家のベランダに総菜を10種類くらい並べるんです。

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毎日、母と二人でワーワー言いながらお惣菜を作り、お昼になるとベランダに座ります。春はぽかぽかと気持ちよくなり眠くなるのですが、ちょうどいいころに近所のおじちゃんやおばちゃんがやってきてお惣菜を買っていってくれるんですね。

そのうち、近所の方が介護の相談をしてくれたりします。
入居をしているけれど、家で生活をさせようと思っているという相談だったりするわけです。ああ、これなんだなあと思いました。近所の人たちの何気ない会話から町に眠る困りごとを掘り起こす。そして、自分のできることをできる範囲でやりながら助け合いのできる仕組みになるといいなあと思ったのです。

そして、次の年に私は「デイサービスみやこや」を立ち上げました。

ワタシマチメソッド実践

私は自分の作った町づくりの仕組を勝手に「ワタシマチメソッド」と呼び、アウトカムを作って、それに合わせて色々な物事を進めているのですが、これがあれば、どんな人でもできる気がしています。

例えば、私はリーダータイプではありません。人と話すのはあまり得意ではありませんし、どちらかというと一人で黙々考えながら、自分の好きなようにやりたい人です。それでも、気が付いたら色々な人が巻き込まれていて、なんだかんだとみやこやに訪れてくれるんですよ。今まで全く接点のなかった人さえもみやこやに訪れてお野菜をくれたり、悩みを相談に来てくれたりします。自分でやりながら「なんじゃこりゃ?」というくらい、色々な物事が動き出しました。
特別な事は何もしていません。ただ、できることをやっただけなんです。

そこには、ちょっとしたメソッドがあるみたいなので、その辺りを書いてみます。

このワタシマチメソッドを活用すれば、どんなタイプの人でもきっと町を巻き込みながら自分の理想の町づくりができるのではないかと思っています。

まず、このワタシマチメソッドの3つのポイントを書いてみます。

1)自分のできる範囲でやれる。
2)自分のやっている事に共感してくれる人が集まり始める。
3)その人たちがまた更に面白い人を連れてきてくれる

そして、
町の人達の「やりたい」を掘り起こし、気づいたら町全体で支え合う仕組みに変化する。

スタートは私と母からなのですが、今では、町の人、自治会、地域包括センター、行政様々な方が巻き込まれています。

ちょっとしたきっかけからスタートした町づくりなのですが、いつのまにか市内外から色々な人が集まり、ゆるゆるなネットワークすらでき始めているんですよ。

私はこの「ワタシマチメソッド」を説明するときに、

ゆるゆるふわふわな自治会単位の地域包括ケアシステム

というようにしているのですが、「ゆるゆるふわふわ」が鍵です。

最初からがっちりした組織ではないんです。自分のすることに周囲が巻き込まれて渦になる感じです。

それでも数年たつとしっかりとしたネットワークができ始めます。これは、市民活動や組織運営をしていると共通の理論があり、それを町づくりに応用したものです。ですのでこの「ワタシマチメソッド」に沿ってやるといつのまにか、渦になって巻き込まれて大きな仕組みができてしまいます。

これまで手掛けてきた様々な組織やプロジェクトもこうして形にしてきたので、自分のやりたいことで人を巻き込む人にも使える理論です。

今回は町づくりをテーマにしているので、お伝えするターゲットを書いてみます。ここに乗っていないジャンルの方でも応用が利くので、試してみてください。

【ワタシマチメソッドを活用できるジャンルの方々】
・町に住む人
・自治会の人
・民生委員
・自治体、行政関連
・地域包括センター、介護関連
・子育て関係
・市民活動団体

結局は誰でもOKということです。

これらの説明については、全てをマスターしなくても大丈夫です。人にはそれぞれの役割がありますから。

このワタシマチメソッドはそれぞれの人が持つ「役割」がとても大事になります。

同じ「やりたい」でもやる人は皆違いますから進め方だって、やりたい理由だって違いますよね。そういった全ての思いを丁寧に集めながらゆるく繋がっていく、それが「ワタシマチメソッド」です。

どのジャンルの人でも活用できるようにしていますが、若干職種によっては違ったアプローチや手法を取り入れたほうがいいものもあるかと思います。今回は全体的に活用できるバージョンとしてかいてありますので、気になる方はまたお問い合わせ下さい。

質問が増えたら、また追記していきます。

ワタシマチメソッドについては、全体的な仕組みや手法の説明を重点的に書きますので、そこに至る経緯や事例あるあるについては、NOTEを参照していただけたらと思います。ほかにも、講演活動やオンラインサロンでも具体的な話をしていますので、ご活用いただけたらと思います。

ワタシマチメソッドの原則

今すぐ実践したいんだ!という方は読み飛ばしてください。
「ワタシマチ実践編」から読んでください。

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ワタシマチメソッドの基本的な構成はイラストの通りです

1.恒常的な居場所
2.口コミ力(渦巻を起こす)
3.コーディネーター的役割

もしかすると、中間支援などに関わったことがある方は、これを見るだけでイメージが沸くかもしれません。
これは、自治体、生活支援コーディネーター等、仕組みや組織を作って行く人たちが理解しておくとやりやすい理論じゃないかと思います。

色々な活動や組織、町づくりに関わったり調査をする中で見えてきたものがあります。こちらは、少し組織的なこととプロモーション的なお話になるので、サラッと見て頂けたらいいかと思います。

1.恒常的(定期的)な居場所
コミュニティができる過程を見てみると、恒常的に出会える場というのが必要であることが分かりました。全国での好事例を見てみても、何かしら居場所がありそこが常に開いているという状況があったりします。これは、周囲にとってみると一つのプロモーション効果もあります。「この場所はいつも開いている」そういう認識を持ってもらう事が次へのステップへつながっていきます。一番いいのは恒常的な居場所なのですが、定期的な居場所でも効果があるようです。「ここに来れば誰かと会える」そういうつながりを作れる場所があれば次第にコミュニティが広がっていくのではないかと思います。

2.口コミ力(渦巻を起こす)
簡単に言えば、口コミの理論です。今風に言うと「インフルエンサー」を6人集めると渦が重なり大きな渦になるというものです。

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自分一人で巻き込むにはとても大きな労力がいりますので、協力してくれる人を探す。そこに一つのテクニックとしてインフルエンサー的な役割の人を協力者にするというものです。

3.コーディネーター的役割
色々な物事を動かしていくためには、調整役が必要になります。インフルエンサーを見つけてくる人も必要になりますね。自分が交渉が苦手な人はこのコーディネーター役を探しておくことが必要となります。
大きなネットワークを作ったり、巻き込み型の仕組を作る際にはこのコーディネーターというものはとても重要な存在になりますので、意識をしておくといいかと思います。

業種としてもすでにありますね。地域包括ケアシステムでは厚労省より生活支援コーディネーターが配置されていますが、こういう方もこのジャンルになってくるかと思います。町内においてもこういったコーディネーター的なスキルを持っている人とを見つけることが、このワタシマチメソッドの重要なポイントになってきます。

4.オーガナイザー的役割
イメージ図にはありませんが、町づくりを実践してみて、もう一つ作っておいた方がいいものがありました。それはオーガナイザー的役割の必要性でした。
通常は、コーディネーターがいれば完結するのですが、町づくりにおいては、コーディネーター的要素とオーガナイザー的要素を両方持つ人はあまりいないのではないかと思ったのです。仕事としてならば両方できるんです。しかし、町づくりというのは日常生活の延長なので、無理せずゆるゆるとが原則なのでやはりどちらのスキルも求められると辛い気がしました。
様々な心理やコミュニケーションの中で、性格をカテゴリ分けされることがありますが、コーディネーターとオーガナイザーはもともと性格や性質が違うんですね。なので、自分の得意分野(居心地のいい分野)をやろうとすると、分けておいた方がいいかと思います。

ワタシマチメソッドでいう、オーガナイザーとコーディネーターの比較を書いてみます。

・オーガナイザー…町づくりや組織について助言をする人。新しい仕組みを考える人。行政や地域包括センターなどの外の機関とのつながりを作れる人
※これは町内に住む人に限りません。数か所の団体を調整する人もこの役割

・コーディネーター…町内において、物事が円滑に行われるように,全体的な事や人の調整をする人。

ワタシマチの原則を理解しておくと、これからの説明の意味がより深くなるのではないかと思います。

では、これから実践編を書いてみます。

ワタシマチメソッド実践

ワタシマチメソッドの大原則は「無理せずゆるゆる」なので、まずは、自分ができないことはやれる人にお願いするという考えを持っておくこと。
しかし、そうなるとできる人を見つける必要がありますね。

そこで、どうやって見つけていくかなども含めて具体的な実践編を書いてみます。

初級編はどちらかというと、町の中で何かやりたい人が少しスタートするための、実践的なものを書いてみます。
このセクションは、どんな場合でも使えるスキルや知識なので、一度整理しておくことをおススメします。

そして、この初級編がしっかりと自分の中で理解できたら、次のステップ「応用編」へと行きます。
ここは、少し難易度が上がりますのでまずは初級編を理解していただき、自分のできるところからやってみてくださいね。

1)あなたの考える居場所を考えてみる
原則の中に「1.恒常的(定期的)な居場所」とありました。これは、いつでも集える場所があると自然に人が集まるという流れがあるようです。そこで、どういう居場所ができるかを考えてみます。

私の場合は、デイサービスがあります。こちらは月~金まで開いているのと、ほぼ毎日誰かがいるので、どの時間帯に来ても対応できるというメリットがあります。

これまでで、いいなあと思う居場所を書いてみます。居場所の定義とすると「恒常的(定期的)に行ける場所」これで考えてみます。

・カフェ・喫茶店
・病院のスペース
・公民館
・体操教室
・子ども食堂
・サークル
・井戸端会議
・自分の家

これらを見て、拍子抜けしたかもしれませんね。堅苦しいことは抜きにして人が定期的に集まる「場所」を考えてみたらいいかと思います。私の中でのおすすめはカフェ・喫茶店です。ここで、週1~月1のペースでサークル活動や勉強会をスタートさせると、次第に人が集まり始めます。数回集まると主催者(自分)を通して顔見知りになってきます。何度かやっていくうちに、主催者の趣旨に合う人だけが集まるようになってきます。そこからがコミュニティを広げるスタートになります。
体操教室もいいですね。同じ「健康になりたい」という目的で集まっているので、それだけで十分共感力があります。私の知人は、シニア向けのサークルで毎回顔を合わせるメンバーとランチに行き始めたと言っていました。今までの市民活動の仲間とは全く違う仲間ができておもしろいんだと、嬉しそうに話してくださいましたよ。

子ども食堂もいいですね。「子供たちの為にご飯を作ろう」という同じ思いで繋がった人達が定期的にその場に集まります。初めは一人で初めても次第に協力者というものが出てくるものです。これは、とても不思議ですね。どんな場合でも続ける(=恒常的、定期的)ことで活動が周囲に認知され協力者が増えていくことになります。

こうして、自分がやろうと思っていたことが、次第に人を巻き込み結果町全体を巻き込むという事につながっていきますので、まずは焦らずにゆっくりとスタートしてみてください。

そうなると、人の集め方はどうするのよ?という疑問が出てくるかと思います。
人の集め方というのは色々あります。
一番いいのは、ポスティング。自分の作ったチラシを町の人の受付ポストに投函。FacebookなどのSNSでもいいですね。どういう人に関わってほしいかにもよりますが、まずは、仲間集めをしようと思えば、手段は色々あります。

町内という事を考えると、ポスティングが一番効果的です。
恥ずかしくても最初の1回か2回は頑張ってみてください。

集める人に関しては、ここでは、町の人限定にする必要はありません。もちろん、町内の人が多いに越したことはありませんが、他のエリアの人でも参加してもらってやっていると次第に町内の人が巻き込まれていきます。まずは、何かの居場所を見つけてみることからスタートします。

2)6人の協力者を見つけよう(町内、自分の考えるエリア内)
居場所を作らなくても、この行程は可能です。居場所を作る前に協力者を募ってから居場所を作るという手もあります。

私は活動柄、色々な活動をしたり、自分の企画やイベントで人を呼びたいという相談がとても多いのですが、その時にするアドバイスは「少なくとも6人の協力者を見つける事」と言います。
これは、自分がやりたいことを広げるために一番やりやすい人数だからです。多くなりすぎても把握が難しくなりますし、少ないと広がりません。可能な限り6名を集める努力をします。無理な場合はまず3名集めてください。そして、その3名に残りの3名を見つけてもらうのです。

ここでポイントがあります。協力者は誰でもかまわないのですが、できれば以下のポイントを意識して見つけておくと展開が早くなります。


1.口コミ力を持っている人を見つける
2.自分の思いを代弁できる人を見つける


これは、できればということなので、無理して見つける必要はありません。長く活動を続けていると次第にそういう人が集まってきますので、それまでは気長に自分のペースで活動をしてみるといいかと思います。

あと、気を付けてほしいのが、協力者はお友達とは違うということを意識しておくことです。お友達でもかまわないんですよ。ただ、自分の思いに共感して協力してくれる人を見つけてくださいね。


町づくりや市民活動をする人へのアドバイスでよく話すのがここなんです。
お友達からスタートをしてしまうと、その後の動きに難しさが出てきます。初めはお友達のサークルで楽しいのですが、町づくりという視点を考えたとき、どうしてもそれは次第に仕組だったり事業という方向になっていきます。

このワタシマチメソッドはゆるふわではあるけれど、やはり町づくりの仕組のメソッドなのでそこはちゃんと考えます。

最終的に、町を巻き込む仕組みにするという目標があるならば、この段階でちゃんと「共感をして協力をしてくれる人」を意識して見つけておく方がいいです。

3)自分の思いに共感してくれる人を探してみよう(エリア外も含む)
「2)6人の協力者を見つける」でのお話にも似ていますが、とても大事なのがこの辺りになります。共感をしてくれなければ、誰も協力はしてくれません。
「私はこういう町づくりがしたい」と伝えて「お!それいいね」って一緒に活動してくれる人が増えないと、物事は動きません。そういう人が自分の周りにちゃんといるか。そういうことを考えながら仲間を見つけていきます。

6人の協力者を見つけるときに、この共感力はとても大事な要素です。時間をかけてもいいので、じっくりとこの6名を考えてみてください。

町内でのキーマンを整理してみよう

自分の町にはどういう人や組織、機関があるか知っていますか?

 a)自治会長又は自治会役員
 b)民生委員
 c)介護施設又は医療施設
 d)地域包括センター
 e)町(エリア内)の住民
 f)自治体(市町村)の職員、関係者

町づくりをするにあたって、最終的にはこの方々に協力をお願いすることになります。自分がするのが苦手ならやらなくても大丈夫です。それは、6人の協力者からわらしべ長者のようにこのキーマンたちにつながっていく流れができていくからです。自分が好きな分野で巻き込んでいくことがこのワタシマチメソッドのおもしろいところなので、無理なことはしなくてもいいんです。
ただ、町内にいるa)~f)の方のお名前だけは把握しておきます。

最後に書き込める表を添付しますので、活用してみてください。

貴方は何タイプ?

さて、いよいよ本題です。
これまでの1)~4)というのはどちらかというと、準備段階と思ってください。これからが本当に町で動きを作る為の次なるステップです。
得意なことをやりながら、できないことはできる人に任せる。それを実現するためには、まず自分がどういうタイプかを理解しておく必要があります。

組織マネジメントにおいては、かならず3タイプの人がいると言われています。そして、この3タイプのいずれが欠けても組織というのはうまくいかなくなると言われています。私が様々なプロジェクトを立ち上げるときには、このタイプがバランスよく配置されるように協力者を募ります。
組織の立ち上げが慣れてくるとこの3タイプどれでもこなすことができるようになります。3人が揃うまではもちろん、言い出しっぺが全部やらないといけないわけですから、ある程度の事は何でもやれるんですね。ただ、長くそのプロジェクトを続けようと思ったときに、自分のタイプがどのタイプかをしっかりと把握しておくことで、組織においての役割を明確にできるメリットがあります。

Qあなたのタイプはどれですか?

タイプ1・・・企画タイプ
色々なことを考えて企画するのが好き。色々な人と話したり、考えて企画書を作ったりすることが好きな人
タイプ2・・・コーディネートタイプ、調整タイプ
企画は得意ではないが、人や物事、スケジュールの調整をすることが得意。
タイプ3・・・実践タイプ
おもしろいことや、人の考えたことを実践するのが好き。

組織ではこの3タイプがお互い協力し合えると、とてもバランスのいい組織が出来上がると言われています。立ち上げをする人というのはタイプ1「企画タイプ」が多いのですが、実は2「コーディネート、調整」が好きだったりする場合もあります。一番自分がやっていて楽しいのはどれかを考えて、自分のタイプを把握しておきます。

3種のタイプの人を見つけよう

組織での役割をはっきりとしておきます。
今自分の協力者はどのタイプの人かを、整理して書いてみてください。後半にテンプレートを用意しておきますので、そこに記入されるといいかと思います。

タイプ1・・・企画タイプ
タイプ2・・・コーディネートタイプ、調整タイプ
タイプ3・・・実践タイプ

「ワタシマチメソッド実践編_初級」はこれで終わりです。

これだけの理論を抑えておくと、あとは、それぞれの土地や一緒にやる人たちでどんな風にも変化していくんですね。

まずは、この「ワタシマチメソッド実践編_初級」を一度、整理してみてください。

恐らく、これをリストにして実行するまでの道のりは、これを読む以上に長いかと思います。町づくりというのはそれくらいゆっくりとしたものだからです。

自分の思いを伝えながら動いてみる

では、自分なりにイメージする6名のメンバーを記入して、自分のタイプが分かったら動いてみましょう。関わるメンバーがどういうタイプかは、友達でない限り分からないかと思いますので、また後日でも構いません。まずは、6名のメンバーに声をかけることからスタートです。
いきなり知らない人に話すのが苦手なら、自分の友人に話をしてみます。ここで、自分の思いを伝えることができるように、テクニックを書いてみます。

活動やプロジェクトを始めるときに、必ずやるのが「語る」「企画書作成」です。
色々と口で話しても、相手には伝わりにくかったり、話したとしても相手はさほど印象に残っていない場合がよくあります。ですので、必ず自分の思いを分かりやすく書いた企画書を持参し、色々な人に説明できるようにしておきます。

6人がはっきり見つかるまでは、友人たちから話をしてみます。「この人だ!」と思う人に出会うまで話してみるのもいいですよ。
慣れてくると「あのプロジェクトのこの役割は〇〇さんにお願いしよう」とひらめき、企画書をもって説明にいけるようになります。

最初のうちは、やはり勇気が持てずにうまくいかないことも多いので、知り合いを辿りながら徐々に、核心へと向かう方がやりやすいかもしれません。

事務局機能(核)を作る

6名の協力者が見つかるころには、タイプ3が全員そろっているとやりやすいです。
というのは、6名の人たちが皆、自分の思うような人ではない場合もよくあるからです。メンバー同志でバトルになることだってあります。そういう場合はタイプ2の力が必要となってきます。調整役ですね。6名が皆知り合いなら、ある程度理解をしてもらえることも多いのですが、6名というのは集めるにはなかなかしんどい作業でもあります。一人で把握して調整するにはとても困難だったりしますので、まずは3名見つけてそこからタイプを分けながら核を作る。

最初の3名を作り上げてしまうと、あとは比較的やりやすいです。
色々な物事のプロセスをまず3名で話し合いながら、6名と共有していく。そういうやり方も可能となります。

もちろん、スキルが上がってくると一人で6名の協力者を見つけそこから自分のイメージする組織にしていくことができるようになるのですが、最初のうちは難しかったりするのでそういうためには3名での核を作っておくほうがいいかなあと思います。

私の場合は、色々な人に語って回ります。そして、本当に共感してくれる人を見つけていきます。ここは6名にこだわらずに8名でも9名でも確保していくのですが、同時に一緒に実働部隊として動いてくれる人を2人見つけておきます。私はタイプ1なので、タイプ2と3の人を見つけておくんです。場合によっては2、3ではなくタイプ1の人がいるので、そういう場合は自分がタイプ1のポジションをせずに他のタイプへ移ります。

そして、最終的に本気で共感をしてくれて協力をしてくれる人を6名決めます。
私の場合は3層くらいにするのですが、まずは核になる人を3名(私を入れて)そのサポートを3名。この段階で計6名になりますね。そしてその周囲に更に協力者を作ります。
まずは6名を中心に話し合いを進めていきます。スピード感の必要な場合は3人で話せるように最初から3名での話し合いのスタイルを取る場合もあります。
実現までの期間が短い場合は、この3名体制でまずスタートすることも多くあります。

どちらにしても、最終的には6名体制になるように意識してチーム編成をするといいかと思います。

巻き込む

6名のメンバーが決まったら、丁寧に説明をしながらゆっくりと進める事です。
それぞれの温度感にばらつきがある場合は、そこを微調整しながらゆっくり、ゆっくりとです。こういうことが苦手な場合は最初から6名にせずに3名体制からスタートしてみてください。
そうするうちに、6名の方が広告塔になってくれるようになります。

巻き込むためには一種の口コミの理論が大事になってきますが、私はそれを「渦巻きの法則」と呼んでいます。

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小さな渦がたくさんできると、そこから共鳴しあって更に大きな渦になるんですね。その法則を利用するんです。
人からの口コミ力は半端ありません。上手に協力者を巻き込みながら渦巻を作ってみてください。

理想は、この「巻き込む」コミュニティが町内に多く発生することです。
例えば一つの団体や組織だけが盛り上がっていてもダメなんですね。

色々なコミュニティが、自分たちの好きなことで広がりを見せる。これが一番の理想です。

今、みやこやでも色々とやってみてる中でおもしろいのが、自治会、婦人会、育成会(子供会)という組織に交じり「みやこや会」みたいなコミュニティができていることです。
子供会には入らないけど、みやこやのするのは関わる。みたいな人もいるんです。コミュニティのおもしろいのは、そのメンバーの中に必ずかけもちしている人がいるということ。もっといえば、みやこや会のメンバーなんて、自治会の役員だったり民生委員だったり福祉協力委員だったりするわけです。PTAの人もいますし、色々とかけもちしているんですね。すると、それぞれのコミュニティがゆるやかにつながるという事になります。

自治会に入っていないから…という、枠を作ることなくゆるくつながっていくことが理想ですね。そういう媒介ツールとして色々な自主コミュニティができていくといいなあと思うのです。

次は応用編です。こちらは、少し仕組構築の話になります。
町づくりをしていく立場の人…生活支援コーディネーターや社協、自治体の人たちが町内をどうコーディネートしていくかという部分を、ロジックを分けながら説明していきたいと思います。

町内あるあるなのですが、例えば施策上の業種として存在していても、経験値の問題や本人の得意不得意で、うまく機能しない事が多々あります。
そういう場合、町に住む人がその業種を上手に立てつつその人のやるべきことをサポートするという手法があります。これは、私自身が他の町の方に伝授してもらったものなのですが、機能していないことを嘆くよりも、自分が代わりにやってあげつつ、された人が気持ちよく対応できるようにサポートすることも大切だと教わり、目からうろこだったんですね。
町を住みやすくしようと思えば、今ある資源を最大限に活用しながら、町内のそれぞれの力で解決する方がいいに決まっています。役割をきちっと決めるのではなくて、ふんわりした部分は皆で支え合う事で零れ落ちない体制づくりができるといいなあと思うのです。

応用編は、より具体的な実践を書きます。合わせて代替できる機能やツールも書いておきますので、それぞれの得意分野に落とし込んでもらえたらと思います。


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