完全な芝居で 信じさせてよ

エレカシのガストロンジャーなど聴きながら帰る。金曜の家路。攻撃的だな。まあつまり、元気なのだ。

いまの仕事をはじめてまる一ヶ月経った。その日その日をなんとかすごしていくのでまだ手一杯だけれども、おおむね、元気だ。うまくやれればほっとするし、まちがえると恥ずかしかったりくるしかったりする。その日が終わるとうれしくて、たいていまっすぐ家に帰る。

しかしまあ、体が楽だ。わけがわからなかったり、筋の通らないことを頼んだりおしつけたりしてくる人間が周りにいないだけで、こんなに心身は安定するものなのかと思った。

わたしが置かれていた環境をどう言っていいかわからないけど、ただ思うのは、やっぱりいらない苦労などするものじゃない、ということだった。若い頃の苦労は買ってまでしろという言葉を、もっとこどもの頃は信じていたけど、ばかものだったなあ、と思う。避けられる苦労は避けて生きていくほうがいい。避けられないものはどうやったって避けられないのだし。

でも、そういう「避けられないもの」にぶちあたったときに、一発でぺしゃんこにされないだけの胆力みたいなものは、確かに備わったかもしれない。いや、ぺしゃんこにはなるんだけど。そうなるまでに三回くらいは踏みとどまれるというか。

でも、それがいいことなのかわるいことなのかは分からない。傷ひとつない人間のほうがやっぱり光り輝いてみえるし、近づきたいと思うもの。

仕事の日、朝と帰りに赤いリップを塗るのが好きである。たとえ寒すぎて着膨れに着膨れていても、足許がスニーカーや男物のマーチンでも、そこにだけは女の矜持がのこっている。かっこつけすぎだな。ただ好きなんです、赤いくちびるが。

#日記 #エッセイ #生活 #仕事

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