透明な幸せは割れると危険物で

窓の外を眺めるのが好きだ。電車でも、飛行機でも、お店でも。時を忘れる。知らない家の庭先のあじさいや鉢に植えられたビオラ、サンバイザーをつけたおばちゃんに連れられて歩くパピヨン、自動車工場の広大な倉庫、赤と黄色の点滅信号。人よりも植物や建物などに目をうばわれることが多い。とくに植物のあざやかさやみずみずしさに胸が躍る。

植物に惹かれるようになってから、花屋に寄ることが年々好きになっている。わたしは芍薬を勝手に自分の花だと思ってるのだけど、こないだあざやかなむらさきピンクの芍薬を花屋で見つけておどろいた。ざっと見て直径10センチはある。まだ買い求めていないけども、そのうち買うかもしれない。あれが部屋にあったらそれだけで人生がすこしましになりそうだ。それくらい綺麗だった。

窓の外を見るのをやめて鏡を覗いてみると、右側のフェイスラインにだけこまかい吹き出物ができている。マスクで擦れたのか、化粧落としのときに力を込めすぎたか。つぎにあのひとと話せるときまでに、治しておきたいと思う。

友達ときのうテレビ電話をして、わたしの恋の話を聞いてもらった。見込薄なことに変わりがなくても、聞いてもらえるだけでよかった。とにかくいまは、単純に彼に利益を齎す相手になろうと思った。もうすこし話さないとどんなひとなのかわからないし。
でもいくら惚れてても与えるばっかりなのは自分の性に合わないので、アプローチして駄目だったら潔く諦めようと思う。誘うのはわたしの自由だ。そして断るのも受けるのも、相手の自由。

伝えかたは、相手の反応をみながら考えよう。わたしが伝えたいことを話すだけがコミュニケーションじゃない。とくに知り合ったばかりだし。仲良くなれたらなれたとき。なれなかったら、それまで。

(今日のBGM)
東京スカパラダイスオーケストラ「黄昏を遊ぶ猫(vocal:中納良恵)」
https://youtu.be/LjoHb9PMoT4

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