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一番遠くて、一番近い記憶

覚えている中で一番古い記憶はなんですか?
現世内でお願いします。w

小さかった頃の記憶がほとんどだと思います。

その記憶に見える景色がどんなですか?

何が見えますか?

誰が見えますか?

その景色は、明るいですか?くらいですか?

楽しいですか?悲しいですか?

学生時代の”青春ど真ん中”の記憶はポロポロ抜け落ちているのに、なぜかその記憶だけは鮮明に、忘れることなく、刻み込まれています。

昔のことを思い出す時、必ずと言っていいほど思い出す記憶があります。

それは、僕の生きてきた人生の長さからすれば、四半世紀にもならないくらい前の記憶です。

僕の身体の持つ時間感覚からすれば、遥か昔なのに、一番初めに思い出す記憶。

少しだけ思い出してみようかな・・・

今日、10月22日はイチロー選手の誕生日だったり、とんねるず石橋さんの誕生日だったりします。

あと、僕の母親の誕生日でもあります。

今日で52歳だそうです。(たぶん)

昨日、ある先輩と両親や家族との関わり方について話す機会がありました。
タイミングよく今日は母親の誕生日でもあるので、自分の親について書いてみようかと思います。

主役は自分ではなかった

僕の一番古い記憶は、
二歳半下の妹を出産するため、入院している母親に面会に行った時の記憶です。

ということは、僕が2歳4ヶ月〜2歳半くらいからの記憶です。

母方の実家に住んでた僕は、父親と2人で病院に行きました。

リノリウムの広ーい床の先に母親の姿が見えます。

確かちょうど昼食の時間でした。

母親の食べている昼食の中にうどんがありました。
うどんが大好きだった僕は、母親のうどんを少し食べさせてもらいました。

味まで覚えていませんが、薄めの出汁に、モチモチした麺が印象的で、美味しいといより、いつもと違う場所で食べている感覚の方が強かったです。

外食とか、ピクニックで食べるご飯って美味しく感じますよね。
そんなイメージです。

それから数日間、夜は父親と一緒に寝るか、あるいは父親が夜勤勤務が多かったこともあり、同居している祖父母と一緒に寝た記憶があります。

その後、生まれたばかりの妹を連れて母親が家に帰ってきました。

よく、
”兄弟ができてよかったなあ!”
”うん!”
みたいな親と子供の会話がありますが、現実はそうでもなくて、記憶に薄いほど理解力の低い子供にとって、兄弟ができるとかはあんまり関係がないと思います。

僕にとっては、「兄弟ができた」というより、「初めから2人兄弟だった」という方が自然な表現かもしれません。

とはいえ、一番古い記憶として残っているということは、それだけ衝撃的な経験だったのでしょう。


知らない11年間

自分と両親・家族の関係を語る上で、よく思うのが、「実家で暮らした本当の年数」です。

僕は18歳で実家を出ました。
その後4年間は関西で大学生をし、上京することになります。

つまりは、僕の実家で過ごした年数は「18年」です。

しかし、本当に18年でしょうか?

正直高校一年生くらいから、実家にいる時間といえば、「朝ギリギリに起きて、軽くご飯を食べて通学、夜遅く家に帰ってきて風呂に入って寝る」くらいなもので、それ以外で実家にいる時は大抵受験勉強をするくらいなものでした。

つまり僕は15歳くらいから実家で過ごしていないのかもしれません。

両親や家族の顔もほとんど見なくなっていたのかもしれません。

それに気づいたのは、一昨年でした。

妻との入籍に際して【両家顔合わせ】のために両親を東京に呼んだ時のことです。

顔合わせの後、一泊した両親を妻とともに東京案内しました。

どこに行ったのかは覚えていませんが(本当にそういうの覚えらんないんです・・・)、車での移動中、ルームミラーから見た後部座席の両親の姿がとても印象的でした。

「あれ?こんなに老けてたっけ?」

そういえば、がっつり顔を合わせることが今まで10年間くらいなかったので、少しだけビックリしました。


28歳 →   52歳

例えば、10年くらい姿・形を見ていない芸能人に「知らん間に老けたなあ」なんて思うことはあると思います。

でも、両親や家族にはなかなか思いづらいものです。

だって、過ごしている時間が長ければ長いほど、ゆっくりと変化しているように見えるんです。

最近よく相談に乗っている先輩がこう言っていました。

「最近父親が認知症の疑いがあるって診断を受けて、母親が少しショックを受けたみたいなんだよね。」

お父様の年齢は「75歳」だそうです。
一般的に見れば初期の認知症なら、診断されてもおかしくない年齢です。

それでも、家族には衝撃が走るんです。

家族にとっては一般論なんて関係なく、突然お父さんが認知症になったのですから。

かくいう僕にとっても、両親、特に母親は、もしかすると「28歳」、つまり僕の記憶にある一番古い母親の姿で止まっていたのかもしれません。

あの時、病室にいた母親。

思春期から10年以上”会っていない”母親。

僕が少しだけ”大人”になったあの日、ルームミラーに写った母親。

そして今日、その母親は「52歳」になります。

僕も大人になり、家族ができ、記憶の中にある「一番遠い母親」と「一番近い母親」の姿がオーバーラップしつつあります。


<終わり>

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