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95歳”久しぶりに会って、この体たらくww”

先日、入院から久しぶりに復帰された利用者さんの話をスタッフから聞きました。

Aさん・95歳・女性。
都内でご家族と一緒に生活されているおばあちゃんです。
車椅子で移動、家の中ではほとんどの時間をベッド上で過ごされています。
”介護されているおばあちゃん”
おそらく世間から見ればそういった感じに見えるのだと思います。
でも、なんというか、小綺麗な感じで、老け込んでいないというか、お上品な雰囲気のAさんです。
軽度の認知症(加齢による認知機能の低下という側面が大きいと思われる)はあるものの、物腰はとても穏やかで、冗談もよく言われるAさん。
僕やスタッフは敬意を込めて、「可愛い」と思っています。娘さんにもよくそうお話しします。
おじいちゃん・おばあちゃんになるなら、Aさんみたいになりたい。
ウチの若いスタッフはよくそう話しています。

そんなAさん。
数ヶ月ほど前に身体機能の低下などから、短中期での入院(正確には長期のショートステイ利用でした)を余儀無くされました。

こういった場合、僕たち在宅関係者は何を思うかというと、
「戻ってこれるかなあ。。。。」

つまり、退院し自宅に戻っての生活ができる可能性がどれくらいあるのか、ということです。

年齢や身体状況、ご家族の介護の状況を考えれば至極真っ当な意見じゃないかと思います。
多くの場合、数ヶ月入院ののち、老健や

老人保健施設:介護老人保健施設:自宅で生活できる状態に回復することを目的に、心身の機能回復(リハビリ)訓練、食事・排泄・入浴・就寝・健康管理などの日常生活の介護、心身の機能維持、通院への付き添い、急性の病気・負傷時の病院への搬送・付き添い、介護保険が適用されるサービスに関する相談などを行ない、できる限り、自宅での生活に復帰できることを目標にする施設

や施設(有料老人ホームや特別養護老人ホーム)などに入所し、穏やかな最期を迎える準備をする、という事例が多いです。

Aさんについても、僕たちは「大丈夫かなあ。あの日が最後の利用になったかもしれないなあ」

そんな心配は無駄に終わることになります。

まさかの復帰!!

本当にびっくりしました。

復帰日、僕は残念ながら外出予定だったのでお会いできませんでしたが、夕方にスタッフから様子を聞きました。

ー僕:Aさんどうだった?

スタッフ「久しぶりだったからね〜止まらなかったw」

ー何が?

「便が」

ーあーwなるほどw

「お風呂前にお手洗い行かれてたから、油断しちゃったw」

ーまあそうなるよねwどうだったの?

「シャワーチェアーで身体を洗っている間3回くらい出てたね〜w」

ーそうか〜

「でも、元気そうだったよ。”久しぶりに〇〇さん(スタッフの名前)に会ったのにこの体たらくww”って笑ってたし」

ーそうか、元気そうだねwよかったw

生きるパワーが半端ない

95歳で歩くこともできなくなったAさんでしたが、復帰したこともびっくりだけど、便が止まらないほど内臓が元気!、しかも入浴中(洗体)に失禁をしたことを「この体たらくww」と笑い飛ばすくらいに明るい。

みなさんはできるでしょうか?

自分の身体なのに、自分で動かせない。

弱っていることを感じているはずです。

入浴するだけでおおごと。

ひ孫くらい若い女の子にお世話(介助)してもらう。

せっかく入浴前にトイレに行ったのに、失禁。

出ることも、止めることもできない。

大好きなスタッフさんと久しぶりに会ったのに。

まだ26年しか生きていない僕には、耐えられない経験かもしれません。

でも、Aさんは、「この体たらくww」と笑い飛ばしています。


人が生きるパワーの本質は、明るいとか元気とかではなく、
「情けない自分を笑い飛ばすこと」なのではないかと思います。

それは、単に長生きとか長寿の文脈だけでなく、
日常僕たちが向かっている挑戦・壁・ピンチを目の前にした時にもとても生かされると思います。

みなさんも僕も、誰しも、失敗します。
失敗の上に成功や歴史が生まれてきました。


SNSを見ても、ニュースを観ても、日常の生活でも、


僕たちの周りにはあまりにも「失敗」が沢山存在しています。


その時に、「情けない自分を笑い飛ばして」みませんか?



<終わり>


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