通所介護事業所は新型コロナウイルスとどう戦うのか?考えてもわからないので、戦ってみた。(デイサービス・ショートステイのコロナ対策)
世間にあまり語られていない、「新型コロナウイルス禍での”通所介護施設(デイサービス)”の対応」について、
「どうしていいのかわからない」
「休業したい」
「利用者さんのために休業したくない」
「助成金・補助金・手当欲しい!」
と様々な声が上がっていて、実際僕のところにも通所介護・訪問介護の管理者さんや経営者さん、施設系のマネージャーさんから連絡を頂きました。
そして皆さん一様におっしゃることが、
「どこの何を、どう見ていいのかわからない!不安なの!」
僕たちの施設で実際に起こったことをもとにしながら、ほぼノンフィクションで2ヶ月間(2月中旬〜4月20日)を振り返ってみたいと思います。
*
動画版はこちら!
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「今日、僕たちはデイサービスを【休業】にした。」
2020年4月20日月曜日。
僕のデイサービスは静まり返っていた。
午前11時。いつもなら、利用者さんの声とスタッフの声が入り乱れ、誰が話しているのかもわからない時だってあるくらいだ。
それが今日は全く違っていた。
事務業務と諸連絡に追われる管理者とメンバー一人のもとへ、僕も合流した。
「明日、どうしよっか?」
誰からともなく口を開いた。
いつもと変わらず元気な3人だったが、利用者さんのいない施設内に漂う空気は、これまでに感じたことの無いような、重たい重たいものだった。
*
これまで、
・台風
・豪雪
・コアメンバーの緊急手術入院
を除いては、僕たちは休まず働いてきた。
昨年の夏に日曜日の営業を始めてからは、年末年始と社内行事以外は休まず営業を続けていました。
ありがたいことに、採用の応募が沢山頂けていることもあり、メンバーは役職年次関係なく、決まった年休を取り、有給休暇の消化も順調(若手常勤スタッフで月一回程度消化)でした。
ーすいません!夕方から熱っぽくて、、誰か代わってもらえませんか?
「いいですよー!私行けます!」
「私も出れますよ!」
ーわー!ありがとうございます!!
「いえいえ!こちらこそいつも無理言ってすいません〜!」
いつもなら、こんな会話が交わされるグループLINEも、今日は昼過ぎまでほとんど稼働しませんでした。
*
今日、僕たちはデイサービスを【休業】にしました。
*
※読んで頂く前に
大前提①:コントロールできることに適切にフォーカスする
この記事は、「介護で働く人」「介護施設を運営・経営する人」向けに書いています。
もちろん、僕もその一人です。
僕たちは、「介護」という仕事を通して社会に少しでも貢献することが最大の使命であると考えています。
今回の新型コロナウイルスに関連して、
・政府、行政の対応への言及する
・叶わないトレードオフについて言及する
などの発言が、SNSを中心に上がっています。
こうした発言の中には、”なるほど”と思わされるものもありますが、やはり多くは、「自分にできることを棚に上げて、他人を批判しているだけ」といった内容が多分に含まれています。
自分がただ関心を寄せるだけのものについて、この記事に書くつもりは毛頭ありません。
僕たちが、自分たちの手で影響を与えられること、「コントロールできること」について書いていきます。
大前提②:「正しいこと」「100%のケア」を維持せず、「最低限」を丁寧に実行する
今回を記事を書くにあたって、「介護のみ」をただ近視眼的に見ながら、ポジショントークを繰り広げても意味がないと思いました。
僕たちの「社会」は今、「有事」なんです。
「介護が損をしている」「介護が大変な想いをしている」のではないのです。
先日こんなツイートを拝見しました。
岩田健太郎先生は、この新型コロナウイルスの発生当初から警鐘を鳴らし、方々で活動してこられた方です。
もう馴染みになってきた「COVID-19」という言葉を、テレビ会議のインタビュー越しに聞いた方も多いと思います。
そんな岩田先生のツイートを拝見して、「ああ、僕たちのやってきたことは、少なくとも”間違いではない”んだなあ。」と勇気を頂きました。
もう一度言いますが、
僕たちの今いる「社会全体」は「有事」なんです。
”戦争状態”なんていう恐ろしい言葉を使うつもりはありませんが、
「通常考えられる状態ではない」ということです。
そんな状況にあって、
・利用者さんのケアが変わってしまう!
・いつもの勤務体制じゃない!
・2月と比べて登録利用者数が減った!どうしてくれるんだ!
などと、呑気でお花畑なことを言っている場合ではないということです。
”じゃあ、どうすればいいんだ!お前は答えを持っているのか!?”
僕に答えなんてわかりません。
というか、誰にもわかりません。
誰にもわからないことくらい、テレビのニュースや専門家の文書を読めばわかるはずです。
みんな少しずつ違うことを言っています。
その理由は、
「間違っていることはない」が、「正しいことがない」からなんです。
・利用者さんのケアの内容が変われば、ADLに影響がでる
これは「間違っていること」ですが、
・利用者さんのケア内容を変えないために、きちんと出勤しろ!満員電車でもなんでもいい!出勤しろ!
これは、「間違っていること」ではありませんが、「正しいこと」ではありません。
「有事」においては、僕たちが学校や研修所で学んできたことが「正しいこと」ではなくなります。
「有事」である自覚を持って、「最低限」何を守っていればいいのかについて考えながら、この新型コロナ時代を乗りこなしていきましょう!
休業における事実確認(4/18〜20)
まず、あまり多くの介護事業所が経験していないであろう「自主休業」における事実の流れを書いておきます。
・職員からの報告
18日(土曜日)夜。一人の職員からのLINEで事態が動き始めました。
「夜分に申し訳ございません…
夕方あたりから少しだるい感じがあり、熱を測ったら37.2度でした。
今は37.5〜37.7あたりを行ったり来たりです。
新型コロナ特有の症状、、嗅覚や味覚の異常等は全くありません。
咳、喉の痛み、鼻水、息苦しさ等も全く無く、ただ熱と寒気のみです。
インフルエンザの予防接種は昨年末に接種してます。
今夜解熱剤を飲んでゆっくり寝て熱が下がったら、明日出勤して大丈夫でしょうか?それともグループLINEで代わってくれれそうな方を今から探した方が良いのでしょうか?
こんな時期なので迷っております。。
ご連絡の判断遅くなってすみません!!!」
・夜22時。「翌日の営業をするのかしないのか」の判断
すぐに管理者をテレビ会議をし、
「当該職員の出勤停止」
気になさらず!!
とにかく今はゆっくり休んでくださいね!
ご主人も〇〇ちゃん(娘)もいて、気を回らさないといけないこともあるかと思いますが、とにかく身体をお大事にしてください!
Aさん(当該職員)の身体が何より大切です!!
そして、重要だったのは次の日の営業をするのかしないのか。
結論は、「営業する」でした。
理由としては、
・当該職員の話の内容と日常生活から、感染者との濃厚接触の可能性が無いor低い
・18日の出勤時、翌日出勤する職員との濃厚接触の疑いがほぼなかった
・最悪、18日一緒に勤務していた職員無しでもギリギリ営業できる体制だった
・今後の緊急休業のロジックを組み立てる(1日のみ or 2日間 or 1週間以上)
翌19日。
午前中は通常通りの業務をこなしながら、午後からヘルプをお願いできる職員・社員を募った。
午後から1名3時間だけ来てもらい、業務をお任せ。
その間に、僕と管理者で会議と対応をした。
まず、どんな状況があるのか。
①当該職員が今日中に熱が下がり、体調が開放に向かう場合。
ー新型コロナウイルスの要件を満たしていない可能性が高いため、「明日20日は通常営業」
②当該職員が今日(数時間のうち)に体調に変化がない場合。
ー新型コロナウイルスの一定基準(:37.5℃以上の発熱が3日以上)に当てはまる可能性があるので、「明日20日は休業」
③そして、当該職員が「明日20日も」体調に変化がない場合(発熱あり、当てはまる症状あり)
ー「21日は休業」
※21日夕方時点で37.5℃以上の発熱から三日以上経過
④最後に、「21日も」体調に変化がない場合(発熱あり、当てはまる症状あり)
ー「当該職員が最後に勤務した翌日から1週間以上を目安に休業」
新型コロナウイルスの罹患の可能性が高く、「4日目〜1週間以上」の休業は意味が同じ(新型コロナウイルス罹患の可能性があると過程した場合)
【結果】:
当該職員は②までが当てはまったため、「20日」のみ休業。
保健所、管轄区役所の部署(介護保険課)の判断もあり、「21日から通常営業再開」
・当該職員への対応、緻密な”気遣い”
ここが一番重要!!
休業の場合、「誰が」「どのような」「気持ち」なのかを想像する。
利用者さん→”利用できないのは嫌だが、仕方がない。”
感染の怖さもあるが、可能性が低いことと事実を伝える。
他職員→当該職員が心配。
自分が感染していないか心配だが、可能性が低いことは事実からわかるように説明する。
経営、マネジメント→対応は緊急なので大変だが、想定しておいた(三月中旬までには)ので、粛々と動く。
そして、
当該職員→自分のせいで迷惑をかけた。
コロナだったらどうしよう。気をつけていたのに。。
コロナじゃなかったとしても、緊急で対応させてしまっている。
申し訳ない。
もし、自分だったらこう思いませんか?
実際、当該職員もこういった内容のLINEを何度も送ってきてくれていました。
日頃から、業務中も日常生活でも気をつけていたに違いありません。
ご主人はテレワークで可愛い一人娘はまだ小学校低学年。
さぞかし不安だったし、心配だったでしょう。
自分が体調を崩したせいで、皆を巻き込んでしまっている・・と感じたでしょう。
一番辛いのは、「体調を崩してしまった」本人です。
そこを一番気を使って包摂しなければなりません。
間違っても「自己責任論」を持ち出して「責任感がない」とか言うなよ。
どこまで気づかったかと言うと、
「休業の連絡」は当該職員以外のメンバーに先に報告し、当該職員が入っている急造のグループLINEメンバーに個別でフォローをお願いし、慎重に報告しました。
ここまでやらないといけません。
ここまでやらないと、管理者とも経営者とも言えません。
これも、「職員を(精神的に)守る」ために不可欠なことだと思っています。
===
対新型コロナへの対応5選
さて、ここからは、僕たちが3月中旬〜4月20日に休業するまでに行ったことをカテゴリー別に整理してみたものを公開します。
1.情報収集
ー厚労省の最新情報を収集・翻訳し共通する
基本的に知識・情報の出所を統一しました。
まず、介護保険最新情報です。
独立行政法人福祉医療機構の「WAM NET」が公開しているものです。
基本的に厚労省の声明を載せていて、網羅性と速報性も高いので常に見るようにしています。
次に、厚労省の「介護・高齢者福祉」の公式HPです。
最新情報はあまり掲載されませんが、ガイドラインや基本となる指針が載っているので、最低ラインをはみ出さないように逐一確認しています。
これらの情報ですが、一つだけ問題点があります。
「全てテキストでまあまあ読むのが大変」という点です。
最新情報を一か月分読み返すなんてもってのほかで、中には1日分だけでも量が多い時もあります。
例えば、これらのページのURLを職員のグループLINEに貼って、「読んどいて〜」だとどうなるでしょう?
日中は一生懸命働いてくれて、家に帰れば家族のために働いて、子供と遊んで、彼氏と話して。
そんな長い文章を読んでる暇なんてありません。
それでも、みんなに読んでもらうためにウチの管理者が「翻訳」を行いました。
例:
小難しい言葉で書かれていく公式文書よりも格段に読みやすくなりました。
内容について、日本語の解釈の違いなどのツッコミが入るかもしれませんが、「本当に伝えたい重要なこと」は全て書かれているんじゃないかと思います。
2.採算計画策定
経営計画の根幹である「採算」です。
弊社では、介護事業部を「独立採算」(一施設=一会社として考える)で管理しているので、採算の細かな内容についても僕たちで考え実行します。
新型コロナと戦うために大きく三つのシナリオを策定しました。
ベース=このまま営業するが、外出自粛ムードの影響から利用数が減っていく。
バッド=大規模な外出自粛になり、通常の稼働率を維持することが困難になる。
ワースト=休業要請、活動自粛などにより、健全な施設運営がほぼ不可能になる。
or 施設内、関係者周辺で感染者が出る。
それぞれのシナリオについて、
ー過程する状況
ー対応策
について書いていきます。
ベースシナリオ
利用者数減の場合
ー過程する状況
利用数の伸びが悪くなり、不安も高まってくる。
施設の閉鎖、などは現実的にありえないが、利用者さん=一般市民なので、不安から通所の需要が一時的に落ち込む。
ー対応策
大きくは、通常の稼働率上昇の施策と変わらないが、
「マイナス」な雰囲気を打開させる企画やプランが必要。
新しいサービスを始めたり、ニーズに合わせた自費サービスを検討・実施。
バッドシナリオ
利用者数”激減”の場合
ー過程する状況
大規模な外出自粛になり、現実的な経営の見通しが悪くなる。
通常の稼働率を維持することが困難になり、固定費・変動費が売上を上回る時期が出てくる(一時的な赤字経営が余儀なくされる)。
新規の引き合いも極端に落ち込み、既存の利用者数も2割〜3割程度落ち込む。
ー対応策
健全な経営体質を維持できなくなるため、
・固定費の削減
:家賃等の減額交渉
:送迎車の維持費(ガゾリンなど)
・勤務時間、残業時間の見直しをはかる
:利用者減になり余剰になる人件費の削減(休業手当などで賄う)
:残業をゼロにする(もともと限りなくゼロに近いが、数分単位で削り出す)
・一部休業にする
:利用曜日をまとめることで営業日を減らし、遠方から出勤の職員や家庭事情のある職員に優先的に休んでもらい、休業手当で対応する。
:稼働曜日が減ることで固定費・人件費を自然と抑えられることができ、見た目の稼働率を上げることができる。(ジリ貧には変わりない)
この段階から「休業」という選択肢が出てくるので、「雇用調整助成金」の活用を視野に社内調整を始めました。
その他、活用できる補助金や助成金も調べました。(現時点ではあまりない)
重要なのは、
健全な体質が崩れたことを通常のような施策で解決しようとしないこと、
です。
この曲面になると、「生き残ること」が重要になってくるので、一年スパンあるいはそれ以上の期間でどう沈み込んで立ち上げるのかを考えなければなりません。
ワーストシナリオ
休業の場合・訪問へ転換する場合
ー過程する状況
休業要請、活動自粛などにより、健全な施設運営がほぼ不可能になる。
つまり、事実上の都市封鎖(日本風ロックダウン)の状態になることです。
利用者数は通常時の半分以下になり、職員の半数が休業を余儀なくされる状態です。
休業要請なのか、自主休業なのか、ここまでくれば曖昧ですが、もはや「通所介護事業所」としての機能をうしなかけている状態です。
また、施設内、関係者周辺で感染者が出る。
など、感染拡大が間近に迫っており、運営そのものが大きなリスク(利用者さんへの感染はなんとしてでも抑え込まなければなりません)になっている状態です。
ー対応策
まず、そもそも「周辺で感染が確認された場合」、これまでの全国での動きを見る限り、「保健所」「行政」の介入により、営業休止の指示が出てくるはずです。
なので、「身近で感染=自動的に休業」になるので、経営側での意思決定が減ります。
単純に、
・関係者(利用者さん、ご家族、ケアマネ、その他チームケアの関係者)に連絡
・休業の対応:休業手当・助成金の申請
次に、「計画休業」です。
計画段階で2通りの休業を考えました。
①大事を取っての休業
ーまさに今回のような休業です。職員や利用者さんの体調不良などにより、「感染決定」「陽性反応」でなくても、リスクを最小限にするための休業です。
ー短期間
②1週間程度の「職員向け休業」
ー日々感染予防に努め、家に帰れば家族を守る職員さんたち。
ニュースを見れば「コロナ、コロナ・・・」精神的にも参ってしまいます。
日々業務に当たっていることで、社会の変化に心が追いついていない印象もあります。
そこで、1週間程度の「ひと休み」を設けることで、「意識変容」「行動変容」を促し、心身ともに私生活にリフレッシュしてほしいという思いがありました。
必ずしも全員にとって100%の対応とは思っていません。
ただ、できうる範囲での余暇活動に身を置くことで、これまでの1か月・2か月間ではなかった感覚が芽生えてくるのではと思いました。
ー期間:1週間程度(コロナが長引けば数ヶ月に一度休むイメージ)
==
ここで、「雇用調整助成金」について解説します。
※雇用調整助成金とは
・一年前の◯月と今年の◯月を比べて、生産性が5%以上下がっている
・アルバイトやパートも適用
・中小企業は休業手当の9/10(解雇するなら4/5)助成
・計画書は後で提出してもいい
・支給限度期間:一年100日、3年150日 + 2020年4月1日〜6月30日
・一斉休業じゃなく、一部営業してても休業扱いになる(中小企業の休業規模1/40でOK)
・残業して休業をしなかったことにする、みたいなやつも無し
・教育訓練、研修などの補助も出る
<5/15追記>
雇用調整助成金申請のポイント!
・「休業協定書」の準備を!(ミヤケはプロではありませんが、相談乗ります。)
・「労働条件通知書(従業員人数分)」or「就業規則(該当従業員群に対し一部)」の準備を!(ミヤケはプロではありませんが、相談乗ります。)
・賃金台帳(休業申請対象月を含む過去4ヶ月分)の準備を!
・様式7・8・9は難関だけど、あとか簡単!
・様式9からやろう!(ミヤケはプロではありませんが、相談乗ります。)
・次に様式8、最後に様式7!(ミヤケはプロではありませんが、相談乗ります。)
・事業所ごと?法人ごと?
→雇用保険事業所番号を事業所ごとに発行していれば「事業所ごと可能」
→”本社で勤怠管理を一括でやっている”とかだと法人で一つの番号だと思うので、法人全体での申請になります。
詳しくは、厚労省or各都道府県の労働局に問い合わせてみてください!
ミヤケにDMしてもらったら専門家ではないですが、お話しすることはできます。
==
さて続き。
ー休業条件の策定
改めて整理すると、
・強制休業:感染などによる指導
・大事取って休業:発熱要件による(上記参照)
・ひと休み休業:1か月前くらいから計画
となっています。
会社としてコンロトールできるものなのか否かについては冷静に判断しなければなりません。
ー必要なものを「最低限ベース」で確認
最後に触れておくのは「訪問型への転換」についてです。
基本的に現実性が乏しいので実現する可能性は低いですが(リスク高い、オペレーションが煩雑など)、実行の手前までの計画は策定しました。
・最低限何を担保すれば成立するのか(入浴→清拭 など)
・オペレーションをどう回すか
・完全に訪問へ転換ではなく、一部転換などの対応は取れるか
・地域ごとに担当スタッフを区切ることで、感染が起きた際に地域ごと利用停止する
・基本的に直行直帰
といった感じです。
*
ここまで全ての計画について書いてきましたが、
やはり重要なのは、「全てをやろうとしない」ことです。
有事であることを自覚し、時には頭を下げながら対応してくことも、利用者さんと職員を守ために必要なことです。
3.感染予防
感染予防について、基本的なことはこちらを参照ください。
以下では、弊社独自に考え・取り組んだことについて書いていきます。
ースタッフ
・通勤経路、方法の変更
3月下旬時点で、職員の公共交通機関使用の通勤を停止しました。
県外から通勤の職員も例外ではありません。
法人内のリソースをどうやったら使えるのかを考え、役員も総出で職員の送迎を行っています。
また、一部職員は希望により家族の送迎、自家用車での通勤も行っているので、それに合わせて就業規則や賃金規定を再度確認しながら進めています。
・業務上の「やらないこと」を決める
基本的に外出等の活動は早めの段階で無しにしました。
一部契約やADLの確認は直接でのやり取りでしたが、最小限に抑え、不要な外出はしないこととしました。
また、業者の出入りも宅配ボックスを購入するなどして対応しています。
ー利用者さん
特別なことはやっていません。
制度とガイドラインを粛々と実行するですが、
「怖いから休む」とのお声も上がっているので、ご家族やケアマネさんと連携しながら、休める方はできるだけ利用しない方向でお話ししています。
あと、施設としてどんな対応をしているのかについては、何度かに分けてご家族やケアマネさんに報告しました。
安心してもらう&正確な情報のもと、判断してもらう、ことを考えていました。
4.初動対応
ここについては、今回の実例をもとに今後追加しながら策定していきます。
ースタッフ発熱
出勤停止。発熱期間を観察(今回のような対応)
ー利用者さん発熱
利用お断り。
ースタッフ家族の発熱
出勤停止を提案。
生活状況に応じて、判断。
ー利用者家族の発熱
症状をヒアリング。
場合によっては利用お断り。
ースタッフ感染
即休業。
ー利用者さん感染
即休業。
ースタッフ家族の感染
当該スタッフの出勤停止。
→その後休業判断。
ー利用者家族の感染
当該利用者さんの利用お断り。
→その後、利用状況に応じて休業の可能性あり。
ただ、「感染」での判断はほとんど無いものと見られます。
そもそも、症状から数日間は検査ができない状態にあるので、まずは初期症状を観察しながらの判断になるのでは無いかと思います。
5.コミュニケーション
ここまでの計画策定・実行や、緊急での対応を行う上で、コミュニケーションを取る必要のあるカテゴリと内容を書きます。
経営陣と現場レベルのコミュニケーション
現場の肌感と経営レベルでのすり合わせは必要です。
「何を一番大切にするのか」:利用者さんの命
「どれくらいキャッシュが耐えられるか」
「職員は今どんな気持ちでいるのか」
「休業後の”立ち上がり”をどうするのか」
などについて喧々諤々議論しました。
結構多くの施設であると思うんですが、
経営陣の皆さん、偉そうにするなよ?
弊社の経営陣は非常に優秀かつ人格者なので、現場の声に寄り添うどころか職員の送迎を率先してやってくれますが、SNSで多く聞く声は「上が聞いてくれない」などのナンセンスな意見です。
何度も言いますが、今は「有事」です。
ふんぞりかえって、しょうもないプライドにしがみつくなよ?
経営陣は誠実にゆっくりと現場に寄り添ってください。
そうすれば、少しずつかもしれませんが、現場の本当の叫びが聞こえてきます。
近隣介護施設・ケアマネとのコミュニケーション
ー「オフィシャルな声明」と「現場の声」
訪問への転換について考え始めたとき、まずランダムに関係のあるケアマネさんにヒアリングしてみました。
仮説では、訪問への転換が結構受け入れられると思っていました。
ニュースでも大きく取り上げられていたし。
しかし、蓋を開けてみると、半数のケアマネさんが難色を示していることがわかりました。
政府や行政の声明、テレビニュースなどの声も重要ですが、何より重要なのは現場で本当にそれが大切なのか?という点です。
ー適切に、誠実に報告する
ケアマネさんや他事業者さんに安心してもらわなければなりません。
そのために、実行した対応について逐一報告しています。
その上で、今後の利用が適切なのかどうかをご家族と共に話し合って頂けるようにしています。
行政機関とのコミュニケーション
ー管轄部署・介護保険課
これまで、
・訪問への転換について:回答は、現実的に”指示”としては無い可能性が高い
・休業について
のコミュニケーションを取りました。
中には、施設内での事象を隠したがる施設もありますが、正直に誠実に対応することが重要です。
いずれ自分の身を守ることにも繋がりますので、ぜひ多過ぎるくらいでも何度も相談してみてください。
ー保健所・厚労省
「体調不良」「感染疑い」の際に、一番に連絡するのは「保健所」です。
厚労省の相談窓口がありますが、基本的に管轄を教えてくれるだけなので、殺到しないようにしてください。
保健所の指示を仰ぎつつ、管轄の介護保険課と連携することが重要でした。
現場職員とのコミュニケーション
心理的不安・物理的不安
・オンラインmtg
全スタッフでオンラインmtgをしました。
自宅からの参加でしたが、お子さんも含めて参加してくださって、
・業務上不安なこと
・利用者さんの様子
・生活上不安なこと
の話を共有しました。
重要なのは、「解決すること」ではなく、「言える環境を作ること」です。
「大丈夫かなあ」「心配だなあ」という心理的不安。
「電車通勤・・・」「買い物でスーパーに行く・・・」という物理的不安。
どちらも心に抱えるものですが、
物理的不安については、会社として対応できることも多くあるので、送迎などを活用しながら寄り添っていきましょう。
===
まだ読んでください!!
【不安な介護事業者へ】
この局面で「正しいこと」がないことを知る。
今僕たちは、大きな曲面を迎えています。
それは、「介護業界が」ではなく、「社会全体が」です。
人間を一つの場所に密集させ、効率化することで築いてきた僕たちの社会は、「僕たちの望んできたこと」によって苦しめられています。
もしも、一人当たりの面積を少しでも広く取り、もっともっとオンライン化されていれば、もしかすると「コロナショック」は起きていなかったかもしれません。
こんなふうに、今まで僕たちが「正しい」「良い」「素晴らしい」「便利」と思ってきたものが、一気に逆回転をはじめました。
今、僕たちの周りに「正しいこと」はほとんどありません。
それを認識する必要があります。
「なんとしても、利用者さんのADLのために最善のケアをしなければ!」なんて言っているほど余裕はありません。
まず、利用者さんの命が危険にさらされないように。
まず、利用者さんの健康状態に大きな影響が起きないように。
まず、それだけを最低限守りましょう。
これまでの100点からの減点方式は、もはや通用しません。
50点。
いや、10点から、1点ずつどれだけ積み上げられるのかがこれからの曲面は必要になってきます。
「なんで通常通りやってくれないの?」
と、利用者さんやご家族やケアマネさんに言われたら、こう言いましょう。
「私たちは、何より利用者様と仲間(職員)を大事にしたいからです。」
そのために小さく積み上げていきましょう。
「知識」に正しさはあるが、「情報」に正しさはない。
「正しさ」といっても、
・知識
と
・情報
によって、少しだけ違いがあります。
ー介護保険上の最低限のルールは守る
ー変更になったルールは守る
ー三密は避ける
ー消毒する
これらは「知識」です。正しいことが存在しています。
しかし、
ー人が集まると感染する
ー訪問へ転換している施設が多い
ー休業の施設が苦しんでいる
これらは「情報」です。語尾に「〜らしい」を付けてみて下さい。
この中に「正しいもの」はありません。(調べればわかりますが)
要は、「正しい」ものと「正しく無いかもしれない」ことをはっきりと分けましょう。
新型コロナの多くの情報の中には、製作者の意図が多分に入っているものが多過ぎます。
”〇〇病院で感染者が出た”
という情報もバイアス(偏見、偏った見解)にまみれています。
要は、冒頭にも書きましたが、「間違っていることはない」かもしれないが、「正しいことはない」ということです。
皆さんのやっていることのほとんどは「間違っていないんです!」
でも、「これやんなきゃ・・」「あれやってない・・」と自分を責めないでください。
「正しいこと」を追いかけ続けると、やがて神になる他なくなります。
「利用者第一主義」を隠れ蓑に使うな!〜ブラック経営者への手紙〜
「自分はブラック経営者なんかじゃない!利用者様のことを考えている!」
多分、多くのブラック経営者の方がこう思っているでしょう。
なので、ふんわりと告発します。
TwitterやFacebookで僕と相互フォローあるいは友達になってくださっている方の中で、「うちの介護施設の上司・管理者・経営者が無茶苦茶なんです・・・」と嘆いている方10名以上から相談の投稿やDMをもらっています。
僕はSNSを活発に運用していなかったですが、それでもこんなにいます。
でも、明るみにならない。
その理由は、「利用者第一主義」を隠れ蓑に使っているからなのです。
・利用者様の生活のために休業はしない
・ケアの質が落ちるから休みを取るな
・職員は自己責任で気を付けろ
・職員は、病気で休んだら利用者様に迷惑をかけたことになるんだから無給扱いな
・通勤の電車が怖いです?知らんがなww
実際の声です。
どれか一つでもやっている経営者の方がいらっしゃるなら、申し上げたい。
「あなたには才覚も想いもまるで無いので、多分この仕事は圧倒的に向いていない。仕事を変えた方がいい。」
そして、このような特徴一つでも当てはまる施設で働いている介護士の皆さん。
「あなたとあなたの大切な人たち、そして、これからの未来のために、”平和的に告発する”か、職場を変えて下さい。巡り巡って目の前の利用者さんを守ることにもなります。」
現場の介護士さんは、「大切な時間を使って、身を粉にして働いてくださっています」、決して「奴隷」ではありません。
もう、いい加減にしなさい。
さもなくば、助さんと格さんにこらしめてもらいますよ。
【計画】はそれが「来る前」に「どんなパターンで」「いつ来るのか」「来たらどうなるのか」を”全てやる”ということ。
「経営計画」をどのように立てるのか?
何を想定して、どのように動けばいいのか?
について、書きます。
ちなみに、3月中旬には今年度中の計画を3パターン(ベースシナリオ、バッドシナリオ、ワーストシナリオ)を考え尽くしていました。
のちに、パターンはもう少し増え、6パターンくらいになりました。
6個のパターンのうち、おそらく使うのは「一つ」。
それどころか、一つも使わない可能性があります。
それを前提でまず作りました。
・採算
・助成金、補助金
・市場(商圏エリア)の動き
・職員の心境がどう変化するか
計画をもしかすると、使わないor予想外の展開になるかもしれません。
それでも沢山のパターンの計画を早めに作った理由は、
「出来る限り全ての可能性を長いスパン(1年以上)で考える必要がある」からです。
”いや!違う!俺たちは目先の仕事が大変なんだ!そんな余裕ない!”
SNS界隈ではこんな声も沢山ありましたので、僕なりに「二つの回答」をさせてもらいます。
・「1年後は今である」
「目先」は”すでにきていること”なのです。
すでにきていることに対してできることは、あまりありません。
とにかく対応、対応に尽きます。
そうではなくて、一年後については「今」考えられます。
今考え、行動することで、一年後を変えられる・・・とまではいかないかもしれないですが、一年後に備える、生き残ることができます。
一年後、生き残らなければ、利用者さんのために何かをすることはできません。
目先だけを見てしまっていたら、数ヶ月後、生き残れなくなるかもしれません。
利用者さんも何もありません。
今は一年後だし、
一年後は今です。
・計画の骨子を送りますので、DMでもなんでも下さい。
メール:y-miyake@gc-story.com
FacebookでもInstagramなんでも大丈夫です。
100%は捨て、60%から99%までをどう積み上げるか。
何度も言いますが、
僕たちはもはや100%のケアをすることはできません。
50%くらいはなんとかなります。
そこから60%までは、このnoteの通りやればおそらくできます。
そして、そこからです。
99%までをいかに積み上げるかは、それぞれの施設次第です。
皆さん次第です。
本当に心から応援しています。
お願いです。
日本の高齢者の皆さんを守って下さい。
介護士さんを守って下さい。
僕たちは「介護が好き」「お年寄りが好き」なんですよね?
ここまで読んで頂いてありがとうございました!
書くのも大変でしたが、読むのも大変だったと思います。
僕の想いはただ一つ。
「大好きな介護が苦しんで欲しく無い」ということです。
考える必要のないことで悩まないで下さい。
ここまで、介護施設の中で戦う中で何より考えていたことは、
「自分でコントロールできることか、できないことか」
です。
コントロールできないことは、できないことなんです。
いくら頑張ってもなんともなりません。
しかし、
コントロールできることは沢山あります。
ここまで書いた内容がそうです。
僕たちは、高齢者・お年寄りのために何かしたいんですよね?
好きなんですよね?
だったら動きましょう。
自分のできうることを、できうる間に。
高齢者がまた、変わらない笑顔で過ごしてくれるために。
*
<終わり>
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