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#43 オーガニックの導入状況(1)


オーガニックの定義

オーガニックは英語で「Organic」と表記され、この言葉の由来は「本来の」や「源」です。そして、「有機」という意味を指します。
オーガニック製品は、農薬や化学肥料、化学物質を使わずに作られたもので、太陽、水、土地などの自然の恵みだけを頼った農業や加工を行い出来上がります。オーガニック食品は、化学肥料や農薬の影響を受けていないため、栄養価が高く、安全性が高いイメージがあり、また、オーガニック農法は、環境に優しく、持続可能な農業方法と考えられています。
近年、オーガニック食品の人気が高まっており、スーパーマーケットや専門店でオーガニック食品を買うことができます。また、オーガニックコスメやオーガニック衣料品なども販売されていますね。

オーガニックの導入状況

1人当たりの年間有機農産物の消費額を見ると、スイスやデンマークなどのヨーロッパ諸国がダントツで高く、約180~270ユーロ(120円/ユーロ)となっています。

諸外国に比べて日本は低い状況になっています。ジェトロの調査によると、欧州におけるオーガニックを志向する消費者は、価格や品質の面だけでなく、食品の安全性や環境問題などに対する意識の高まりを背景に、環境保護「エコロジカル(エコ)」や倫理的「エシカル」(例えば「フェアトレード」「動物愛護」「スローフード」など)といった新たな価値基準で商品を選ぶ消費者層が出現している点を挙げています。

有機農業の推進に関する法律(平成18年)

国は、有機農業を推進する方針を掲げています。平成18年に定めた「有機農業の推進に関する法律」による有機農業の定義は以下のとおりです。

  1. 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない

  2. 遺伝子組換え技術を利用しない

  3. 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する
    農業生産の方法を用いて行われる農業です。

有機農業についての認証制度を推進するのは、国際的なコーデック委員会が定めたガイドラインに沿った取り組みであるわけですが、では、なぜ、今、「有機農業」「オーガニック」なのでしょうか?
それは、地球環境保全が重要であるという認識からであり、SDGsの推進の一環であるからなんですね。食の循環型社会を目指すにあたっては、生産から消費、そして廃棄まで視野に入れた取り組みが求められるわけで、生産のセクターにおいても、肥料、水、土壌をいかに安全に持続可能な状態で管理していくのかということで、有機無農薬農業が推奨されるわけです。

農林水産省HPから https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/index.html

有機JAS認証を得るには

というわけで、実際に認証を得るまでには、土壌改良含め、いろんな制約を乗り越えていくことが必要です。
周辺から使用禁止資材が飛来し又は流入しないように必要な措置を講じている
・は種又は植付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用しない
・組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わない
などがあるようですが、有機JAS認証野菜として市場に出せるようになるには、3年はかかるということですよね。

有機農業取り組み面積

日本における有機作物の作付面積はここ10年間をみても1.5倍になっているようです。まあ、と言っても元々が小さい数字なので、1.5倍になったと言っても、田畑全体の中では非常に小さく、日本全体の0.4%から0.6%に上昇した、という規模です。スーパーでも有機無農薬野菜のコーナーができてきたり、ネット販売などで売ったりと目にするようになったオーガニック野菜ですが、まだまだ値段も高いし、ちょっとセレブなご家庭でないと。。といったイメージがまだまだある状況ですよね。

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/yukimenseki.pdf
「学校給食をオーガニックに」という市民運動も少しずつ盛り上がりを見せてきています。

日本で有機農業が広がりにくいのには理由がある?

まず、高温多湿の環境下では害虫の被害に遭いやすい、ということがあります。その対策として、農薬などを使うわけですが、日本においても北海道や東北の農業では、もともと低農薬で野菜を生産しているところが多いんですよね。
あと、有機無農薬で栽培すると、虫食いはもちろんですが、形や大きさが不揃いになったりして、「見た目が悪い」野菜になる確率が高くなります。日本の消費者行動の特徴として「見た目にこだわる」国民性があること、環境意識が低いことから、エコロジーやサスティナビリティにこだわった消費行動をとる層がまだまだ小さい、ということが理由だとも言われています

ここで注意しておいてもらいたいのが、有機農業=無農薬ではないということです。有機の土壌を作って栽培することで認証を得られますが、有機JAS認証をもらっている野菜が無農薬かどうかはわからないのです。
現在、農薬の使用についての規制はあるのですが、無農薬であることの認証制度は存在しません。このあたりも丁寧に議論しなければ間違った認識になってしまいますね。

というわけで、「有機」だとか「オーガニック」だとかは、いいのはわかっちゃいるけど、なかなか難しいわけですね。じゃ、学校給食としてはどう向き合っていけばいいのか?という点について次回はお話したいと思います。

SDGsとしてのオーガニック
https://www.asahi.com/sdgs/article/14954466



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