見出し画像

リスク管理に鼻を利かせる (vol 161)

ダイビングキャッチ

日本のプロ野球やメジャーリーグの試合をあまり見ない私ですが、「ダイビングキャッチ」と言われると、どのような情景なのかは目に浮かびます。

一見、カッコよく、Play of the Dayとして「スゲーッ」と思うプレーも多いのですが、ミスの発生と紙一重、逃せば大きなリスクにもつながりかねません。
今回の内容は前回のリスク管理の続編です。

いくつかのシナリオを作ってリスクに備える」ことも大事ですが、起こさなくてよいリスクを発生させないように対処することはもっと大切です。右に動くか左に動くか、すぐに決断して行動することで防げるリスクが数多くあります。

神経を研ぎ澄ました名プレーヤーはバッターがスイングした瞬間、最初の一歩を踏み出しています。球の方向を見極めてからでは遅すぎるのかもしれません。
あるいは、球の方向を見たら、落下地点を瞬時に予測してそこに向けて走り出します。球の行方を見ながら走ったのでは間に合いません。

ビジネスでも同じことが言えそうです。日々の中での異常の兆候に、
   「鼻を利かせて」
   「第6感を働かせて」
「ヤバい」と思った時にすぐに手を打ち始める
そんな対応のできる会社が理想だと思っています。

一朝一夕にそんな行動ができるものではありません。だからと言ってそれを理由に「そんなことできない」と言っていたのでは、いつまでたっても鼻を利かせたリスク対処はできないでしょう。
毎日の仕事の中で「どうすればもっと感受性が上がるだろう」と自分自身に問いながら、神経を研ぎ澄ませながら、日々発生する事象を観察し、次に起こることを予測する「練習」することが求められます。

素晴らしいビジネスリーダーの行動が「直観を信じた結果」、と言われることもあります。私はそうは思いません。
毎日を真剣勝負として生き抜いた結果、「瞬時に判断」する習慣が身について「直観」と呼べる領域まで研ぎ澄まされたのだと思うのです。
   「練習の賜物」
と考えています。

もちろん、能力を鍛え上げる努力も必要です。思った所に速く走れなければ、結局は追いつけず無様な結果になるでしょう。ビジネスでは問題解決に関連した知識吸収ロジカルシンキングで自分を鍛えることがこれに相当します。

能力を鍛え、感受性を鍛え、リスクに素早く反応して、ギリギリ対応ではなく涼しい顔でリスク対処できるマネジャーになろう。そんな思いを込めています。

I have heard that the true great players in baseball make less fine plays.
Players have to make a diving catch because they don't anticipate the batted ball well enough.
If great players predict the hit ball quickly and take the first step quicker, they can catch the ball right in front of them, so there is no need for giri-giri (last-minutes) actions like diving catches.
We are a group of professionals for manufacturing.
Let's aim for risk management that allows us frontal catches instead of diving catches so that we can be called great players.
野球の真の名プレーヤーはファインプレーが少ない、といった話を聞いたことがあります。
打球の予測が甘いからダイビングキャッチをしなければならない。
打球の予測を早くして、最初の一歩を早くすれば、正面で捕球できるのでダイビングキャッチのようなギリギリの行動は不要になるというのです。
私たちも生産のプロ集団です。名プレーヤーと言われるように、ダイビングキャッチでなく正面捕球のできるリスクマネジメントを目指しましょう。

ビッグネームのビジネスリーダー程ではないにしても、「私は鼻が利くと言えるトップを目指したい」といつも思っています。
現場を見て、事実を把握して、環境変化を感じ取って、スーパーコンピューターとは行かないまでも脳みそに汗をかいて、答えを出す。答えを出したら、躊躇なく行動。これができるには権限委譲も進んでいることが必要だし、パフォーマンス向上はリスク管理だけにはとどまらないでしょう。

私一人が「なれたらいいな」ではなく、マネジャー達みんなが「目指す」気持ちを持ったら、結構いいいい線行くんじゃないでしょうか?

最後までお付き合い、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?