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成長期における足関節捻挫

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成長期の発育段階にある小学生や中学生などでは身長などの発達が個人差が大きいため、相手とのコンタクトや衝突による、転倒や着地の失敗などが怪我の原因となることが多くなっています。

怪我の中でもバランスを崩して手や足をつくことによって、手関節(手首)や足関節(足首)の捻挫や骨折などが多いことが特徴としてあります。

足首の足関節の捻挫は下半身で特に多い怪我であり再発してしまうことが多い怪我です。

捻挫を繰り返してしまう場合には軽い着地でもバランスを崩すことで再発してしまうため、捻挫をした場合には早急に予防をすることが重要になります。

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成長期でも捻挫の対応は発達に対して重要な側面を持つため、これまでも足関節の捻挫に関しては取り上げてきましたが、今回は改めて成長期に起きる捻挫におけるポイントについて紹介していきたいと思います。


足関節捻挫はバランス感覚を低下させる

成長期は人間の発達段階の中でも神経系の機能が最も発達すると言われています。

神経系機能とは身体のバランス感覚やリズム感覚など身体を意識的に動かすために必要な機能や、ジャンプやダッシュなど力をタイミングよく発揮するようなものがあります。

そのため小学生や身長が伸びはじめる中学生などの筋力の発達というのは筋肉が大きくなるのではなく、神経機能が向上することが要因の一つだと言われています。

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またバランス感覚は平衡感覚とも言われ、姿勢を維持するために前庭系、視覚系、体性感覚系という3つの機能によって支えられています。

この中でも体性感覚系は筋肉、腱、靭帯、皮膚などに感覚を脳に伝えるセンサーのようなものがあり、固有感覚受容器と呼ばれています。この固有感覚受容器が外部からの刺激に反応することによって、脳を介して筋肉などに指令を送り身体の動きをコントロールすることが可能になるのです。

固有感覚受容器は足関節の靭帯などにも存在して、足関節捻挫などによって靭帯が損傷してしまうことによって固有感覚受容器の機能が低下し、着地やステップなどでバランスを崩した際に姿勢を維持することが出来ずに、再び怪我をしてしまう恐れがあるのです。


身体のバランスとるためには足関節と股関節によるコントロールが用いられます。

足関節捻挫などによって足関節の機能が低下してしまうと股関節でのバランスを取る必要があり、この股関節での支えるパターンでは頭から身体が大きく傾くためバランスを崩しやすくなってしまうのです。

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これがいわゆる捻挫癖になった状態であり、避けていきたいポイントの一つでもあるのです。


捻挫をしてしまった時にできること

小学生は神経機能の発達が著しいゴールデンエージ(9~12歳)という時期を迎え、この時期に運動の習得をすることはスポーツを続けていくうえでは非常に重要になります。

小学生や中学生などの発育期には運動による筋肉からの活動刺激によって神経回路の発達も促されるため専門種目にとらわれない様々な動きを身につけることが肝心です。

しかし、足関節捻挫などによってスポーツや運動が制限されてしまうと、発達のピークにある神経機能を向上させるための運動などができなくなってしまいます。

特にジャンプやダッシュなどは伸張反射という神経機能を利用した反射により効率よく力を発揮することが出来ます。

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伸張反射には下腿三頭筋という筋肉が関わっており、この筋肉を刺激する運動を行うことができますが、足関節捻挫をしてリハビリやトレーニングが不十分になってしまうと下腿三頭筋の機能が十分に発揮できないと考えられます。

そのため足関節捻挫後には適切なトレーニング行い、バランス感覚と筋力を発揮できるようにすることが非常に重要と考えられます。


捻挫をして出来ることは?

足関節の捻挫をしてしまった場合には、必ず病院を受診して医師の診断を受けて適切な治療やリハビリテーションを受けることが第一優先になります。

損傷してしまった靭帯を修復させるために足関節を安静に保ち、修復に合わせて徐々にトレーニングを開始することで足関節の機能を回復させていきます。

足関節のトレーニングについてはこちらの記事に詳しく解説しているので参考にしていただけたらと思います。


安静期間中にも足関節に負荷をかけないで行う上半身やバランストレーニングなどを行うことは、成長期において重要なポイントになります。

最後にスポーツ復帰までもう少しかかるけど、日常生活では痛みなど問題ないという選手向けのトレーニングをご紹介していきたいと思います。

※トレーニングを痛みが出てしまう場合には無理せず中止しましょう。

上半身トレーニング




バランストレーニング





まとめ

今回は成長期におきる足関節捻挫の注意点について解説させていただきました。

成長期に痛みを我慢してスポーツに復帰してしまうことは発達するはずのバランス感覚などの発達を妨げてしまう可能性が潜んでいます。

たかが捻挫と思わず、ジュニアアスリートの将来を見据えて丁寧に対応することが非常に大切だと考えています。

日頃のスポーツ活動の参考にしていただけたら幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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