今の柔道選手は畳をつかむように立てているのか?〜アスリートサンダル“武王”開発の経緯
子どもの足の健全な発育を目指し、30年ほど前から『草履式鼻緒サンダル(スクールサンダル)』を販売してきたラッキーベル株式会社(神戸市)は昨年、アスリート向けに進化させた新商品『武王』の販売を開始しました。私は運動学の観点から草履式鼻緒サンダルの効果を研究し、商品開発にも携わらせてもらっています。
草履式鼻緒サンダルのメリットをより多くの方に知っていただき、もっと普及していけることを願って、多くのアスリートをサポートしている窪田接骨院院長の窪田浩二氏(全日本柔道連盟A級指導員)と窪田柔道倶楽部監督の窪田和樹氏(柔道整復師)と共に草履式鼻緒サンダルの魅力について語り合いました!今回はその模様をお届けします。
柔道倶楽部の子ども達は「浮き指」だった!?
【宮口】草履式鼻緒サンダルを紹介したのは、陸上をやっていた娘が治療でお世話になっていた関係で、こちらの柔道倶楽部で子ども達の足の測定をさせてもらったのがキッカケでしたね。
【浩二院長】宮口先生から「今の子の足がおかしい。“浮き指”が増えているけど、倶楽部の子ども達の足を調べさせてください」と言われた時は、正直驚きました。自分も昔から柔道をやっています(六段)が、考えたこともなかったので。
【宮口】学生時代、体育教員資格のために柔道初段を取った際「足の指で畳をつかむように立て」と習った記憶があったんです。そこで柔道倶楽部のこども達の足指の状態に関心を持ちまして。実際に足圧分布を測ってみたら、ほとんどの子が“浮き指”だったのでビックリしました。ただ、浩二先生と和樹先生は共にしっかりと指がついていましたね。
【和樹監督】ショックでした。ここまで子ども達の足がひどいとは。ただ、最近の子ども達は以前に比べ、技を仕掛ける時の踏み込みや防御するときの踏ん張りが弱いような気はしていました。ここに原因があったとは・・!
【宮口】他の教室も同じか気になったので、浩二先生の紹介で強豪の犀川柔道教室でも調べました。そして、横で練習していた少年空手選手(板間で裸足)でも調べさせてもらいました。やはり同じ状況でした。監督・コーチはしっかり指がついているのに。これは深刻だと、これまで幼児や高齢者の転倒予防に草履サンダルを推奨していたのですが「アスリートにも使える!」と思った瞬間でした。
【浩二院長】宮口先生から現状を聞いて、さっそく“スクールサンダル”を履かせてみました。道場での稽古前に、アップとして草履サンダルで毎回2Kmのランニングをさせました。道場に来るとき以外でも家で極力履くように言いました。そしたところ、半年後には浮き指が改善され、成績も上がってきました。全国大会で優勝する子も出てきました。
『武王』という名前の由来は
【宮口】そこで「これは行ける」といつもお世話になっているラッキーベル株式会社の巽氏(N/EC事業部長)に連絡して、新たな草履サンダルの開発がスタートしました。試作に試作を重ね、ようやく完成したのがこの『武王』です!天板の材質を変え、外側鼻緒の位置もずらしました。
【和樹監督】『武王』という名前はどこからですか?
【宮口】もちろん、武道界の王者を目指し履いて欲しいという想いからですが、以前TBS日曜劇場で放映されていた「陸王(池井戸潤原作)」のオマージュです。大好きなドラマでした。足袋屋が足袋型ランニングシューズをつくる、フォアフット着地を導くために・・・。コンセプトが一緒だったんです。さらに、サンダルを製造している町工場が、ドラマの「こはぜ屋」と似ていたのもありました。材料全て国産で、昔ながらのプレス機等を用い職人が一つひとつ手作りで仕上げているのです。商標登録した「武王」の文字は私が書いたものです。
【浩二院長】履物でヒトの動作を変える。私も「陸王」は見ていましたが、柔道整復師としてもとても興味深い番組でしたね。宮口先生から初めて武王を渡された時、これはいいなと直感で感じました!武道で大事とされる丹田(たんでん)*を意識できる。
*丹田:へその少し下、下腹の内部にある所。気力が集まるとされている。
健康増進や競技力向上に向けメリットの理解促進が重要
【和樹監督】私も履いた瞬間、アライメントが整い姿勢が安定するのを感じました。歩くと足が温まってくるのも凄いと思いました。それだけ足指を使い、血行が促進されるからでしょう。
【宮口】この草履サンダルを履くと、姿勢が安定してくるだけでなく、腰痛・膝痛が緩和し、冷え性や巻き爪が治ったとよく聞きます。
【浩二院長】当院でも扱うようになりましたが一般の方にも人気でよく売れていますよ。せっかく施術しても、クロックスやシャワーサンダルのようなルーズなサンダルを履いていたんじゃ姿勢を崩し、元の木阿弥でしょ。施術効果を長く維持するには日常生活が大事で、ケガの予防につながるという観点からも推奨していますよ。
【和樹監督】練習中にはこだわったシューズやスパイクを履いていても、練習後にルーズな履物を履いている選手をよく見かけます。リラックスしたいのもわかりますが、姿勢まで崩していたんじゃ・・・強くなれませんよね。
【宮口】実はカイロプラクターの方にも、この武王を履いてもらったんですよ。「距骨にアプローチしたのは素晴らしい着眼ですね。距骨はすねと足のつなぎ目にある骨で、ここが不安定だと膝や股関節の痛み、ひいては腰の障害にもつながります。距骨を安定させれば上半身のバランスが整い、捻挫予防にもなります。」と太鼓判を押してくれました。
【浩二院長】この武王、私もいつも愛用していますが、多くのアスリートに履いて欲しいですね。
【宮口】プロランナーの福村挙太選手(砂山商事)が、2023年金沢マラソン開催の半年前から気に入って履いてくれていました。当日、私も競技役員をしながら応援してたんですが、1位でゴール(2連覇)してくれた時には「陸王」物語とかぶって感動しました。翌日、研究室を訪ねてくれたんですが、「これまで大手メーカーのサンダルをいろいろ履いたけど、この武王が一番自分の走るイメージにフィットしていますよ」と言ってくれた時には大感激でした(笑)これからもサポートしていきたいと思っています!
【和樹監督】今後はどんな風に活用していくのですか?
【宮口】実は今、能登半島地震で避難所生活をされている高齢者の皆さんに草履サンダルを無償提供する活動をラッキーベルさんに協力いただいて進めているんですよ。スリッパで生活する方が多く、すり足になり、足腰がどんどん弱ってきていると聞いたからです。皆さん「足指が開いて気持ちいい」「しっかり歩けるようになった」「つまずかなくなった」ととても喜んでいますよ。
【浩二院長】それは素晴らしい支援ですね。避難所生活をきっかけに要支援・要介護状態になられる方も多いですしね・・・
【宮口】そして、これは石川県立看護大学との共同研究なのですが、女性の骨盤底筋ケアにも草履サンダルが有効なのではないかと研究を進めているんですよ。かなり手応えを感じているのですが・・・
【和樹監督】いろんな可能性を草履サンダルは秘めているんですね。宮口先生の熱い想いのつまった草履サンダル、私も柔道関係者だけでなく多くのアスリート、そして一般の方々に勧めていきますよ!
【宮口】浩二先生と和樹先生、本日はお忙しいところありがとうございました。日本人の健康増進や競技力向上に向けて引き続き連携しながら普及に努めましょう!
窪田接骨院 窪田接骨院 (jyuusei-ishikawa.jp)
窪田柔道倶楽部 窪田柔道倶楽部 (kubotajudo.com)
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