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味覚(舌、味蕾、基本味)

味覚は五感のひとつで、嗅覚と共に口腔や鼻腔の粘膜に化学物質が作用することによって誘発されることから、化学感覚とも呼ばれます。

発育・健康保持には、食物・飲料の摂取行動は非常に重要です。味覚があることで、私達は食の楽しさを覚え、それにより食欲が刺激され、食べるという意欲が促進されます。

一方で、有毒あるいは危険だと感じた物質が、消化管に入らないよう、味覚に食物を弁別します。食物に対して、吐き出しや嘔吐が起こるのは、反射的な防御反応です。このように、味覚は生命維持のため、摂食行動を調節するための生理的反応と言えます。

味覚受容体細胞

味覚は嗅覚と同様に、化学的受容体に物質が結合することで検出されます。舌に多く存在する味蕾は、味覚受容体細胞と支持細胞から形成され、化学的受容体は味覚受容体細胞の先端(味蕾にある「味孔」と呼ばれる、開口部から突出する部分)に分布します。

人間の味覚受容体細胞は舌を中心に、軟口蓋・喉頭蓋・食道上部内面と、口・喉に広く分布しています。舌乳頭上には味蕾が存在し、舌乳頭には茸状乳頭(舌の前方部約2/3に多く、成人になると退化する)、葉状乳頭(舌の後ろ両側部に多いが、人間は未発達)、有郭乳頭(分界溝前部に分布)などに分類されます。舌表面に広く存在している小形の糸状乳頭には味蕾は存在しません。

味蕾

1つの乳頭に存在する味蕾の数は、33個~508個とばらつきがあり、平均は約250個。味蕾全体の数は、1万個以上とも言われています。私達は味蕾に存在する化学受容体を介し、味を感じるわけです。

しかし、化学受容体を介した後の舌咽神経、顔面神経へのシナプス伝達機構は、現在でも判明していないことが多いです。

味覚を司るのは舌という筋肉です。舌を鍛えることで、鋭敏に味を感じられるようになり、さらに料理を楽しめるようになります。

1942年、味を感じる舌の部位が味によって異なるということが発表されました。以来、これは真実としされてきましたが、2000年に味蕾の化学受容体が見つかってからは、味蕾の受容器にある味覚細胞によって、味蕾ひとつひとつがすべての基本味を感知するということが、現代の常識となったのです。

味蕾

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