
美容とビタミンD・亜鉛。脂漏性皮膚炎の研究から読み解く食生活改善のヒント
パフォーマンスアップや疼痛改善、ダイエット。パーソナルトレーニングというサービスに対して、クライアントがトレーナーに求めるニーズは多々あります。そのなかで、年齢を問わず多くの人々が強い関心を示すのが「健康」と「美容」です。
特に美容については、女性だけでなく男性にとっても身近なテーマとして見られるようになってきました。肌や髪の状態というのは、単に美しさのバロメーターになるだけでなく、私たちの健康状態を映し出す“鏡”とも言われています。コスメなどのメイクとは別の方面で、栄養や運動を通じて美容を追求するというのは、健康増進と非常に重なる部分が多い分野といえるでしょう。
現代人は、カロリーは足りているのに微量栄養素が不足している新型栄養失調になりやすいとされています。そのなかで、美容面において注目されることの多い栄養素が「ビタミンD」と「亜鉛」です。今回は、脂漏性皮膚炎(SD)という病気に対して行われた研究をベースに、2つの栄養素が私たちの美容にどう貢献してくれるのかを解説します。
ビタミンD・亜鉛の基礎知識のおさらい
具体的な研究内容を紹介する前に、ビタミンDと亜鉛が人体にもたらす影響について簡単におさらいしておきましょう。
まずビタミンDですが、主な働きとして「カルシウム・リンの吸収を促進による骨や歯の健康増進」「免疫機能や炎症反応のコントロール」「角化細胞の増殖・分化を調節による皮膚のターンオーバーのサポート」 などが挙げられます。
また亜鉛は、「タンパク質合成や酵素反応」「免疫細胞の機能の維持」「髪・肌・爪などの細胞再生・分裂への貢献」といった機能があります。
脂漏性皮膚炎患者にビタミンD・亜鉛を与えて肌にどんな変化があった?
まず、今回の研究対象となった「脂漏性皮膚炎(SD)」について簡単に触れましょう。脂漏性皮膚炎とは、皮脂腺が多い部位、たとえば頭皮・顔面(特に鼻や眉間まわり)、耳の後ろ、前胸部などに生じる慢性炎症性の皮膚疾患です。フケやかゆみ、紅斑(赤み)、鱗屑(りんせつ:皮膚が剥がれて薄い皮のようになる状態)などを伴い、人によっては強いかゆみを感じることがあります。
脂漏性皮膚炎の原因は一つではなく、真菌(マラセチア)や皮脂の分泌量、免疫バランスの乱れ、ホルモン状態などが複合的に関わっているといわれています。とりわけマラセチアは、皮膚の脂質を栄養源として増殖し、炎症を誘発する要因とされています。すべての人の皮膚にマラセチア自体は存在しており、それが必ずしも脂漏性皮膚炎を引き起こすわけではありません。
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