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貧血じゃなくても要注意。女性の運動効果を最大化する“鉄”マネジメント

女性のクライアントから「なんとなく疲れやすい」「食事制限しているのに体重が落ちにくい」「運動を頑張っているのにパフォーマンスが上がらない」といった相談されたとき、その原因はさまざまですが、これらの背景に“鉄不足”が潜んでいる可能性があります。

女性は月経による出血や、ダイエット・美容を意識した食事制限などの影響で、男性に比べて鉄不足に陥りやすいとされます。さらに鉄は「貧血」というほどヘモグロビン値が低下していなくても、貯蔵鉄(血清フェリチン)の不足だけで体力面・メンタル面に影響を及ぼす可能性があるのです。

今回は、ある論文を参考に、トレーナーが女性クライアントを指導する際に活かせるポイントをまとめました。

女性アスリートにおける鉄欠乏とパフォーマンス低下を調べた研究の結果

2023年に発表された論文は、複数の研究を体系的に集めて分析・評価し、鉄欠乏そのものがパフォーマンス(持久力・最大有酸素容量・筋力・パワーなど)にどの程度影響を及ぼすのか、鉄サプリメントを用いた場合、どの程度パフォーマンスが改善するのかを調べました。

調査の対象となったのは、高レベルな運動に取り組む女性あるシートです。具体的には「最大酸素摂取量(VO2max)>45 mL/kg/min」または「週5時間以上のトレーニング」という厳しい基準を満たす女性たちが選抜されました。

研究者は、スポーツ医学系の主要データベース(Medline、SPORTDiscus、Web of Science、Scopus、CINAHL)を用いて、2023年7月までに公表された関連論文を検索。次のような条件を満たす原著論文のみを抽出・分析しています。

  • 参加者が高レベルの女性アスリートで、血清フェリチンが40µg/L未満の「鉄欠乏」と判定されたグループが含まれる研究
    ※フェリチンは鉄の貯蔵や血清鉄濃度の維持を行うタンパクで、25~250ng/mlが適正値とされています。研究では40µg/L未満をひとつの基準としており、これは40ng/mlに相当します。

  • エクササイズまたはスポーツパフォーマンスに対して、鉄欠乏や鉄サプリメントの効果を調査している研究

その結果、23件(669名の女性アスリートを対象)の研究が最終的に本レビューに含まれました。このうち7件は「鉄欠乏がパフォーマンスへ与える影響のみ」を検証した研究、残り16件は「鉄サプリメントを投与し、その効果をパフォーマンス指標で測定した研究」として分類されています。

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