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脊柱の基本構造を理解する|カップリングモーションとパフォーマンスアップの関係

脊柱が人間の体の主軸であり、回旋、側屈、屈曲、伸展といった多様な動きに対して順応しなければいけない、最重要の組織のひとつです。

このnoteでも脊柱について何度か触れてきましたが、今回は改めて脊柱がどのように動いているのか、どういう特徴があるのか改めて解説したいと思います。

脊柱の基本構造と頚椎の特殊構造

脊柱の基本構造として、主に頚椎、胸椎、腰椎があり、それぞれが7個、12個、5個の骨で構成されています。厳密にはさらに仙椎・尾椎といった組織もありますが、基本的には頚椎・胸椎・腰椎を覚えておけば大丈夫です。

簡単な可動域の特徴を話す前に、まずは第1頚椎(C1)、第2頚椎(C2)の特殊な構造について紹介します。C1は環椎、C2は軸椎とそれぞれ言われるのですが、この2つは積み木のように重なっているわけではありません。C1は輪っかのような形状をしていて、C2は独特の突起構造をしています。そして、この突起の上にC1が乗っているのです。

その結果、C1・C2の環軸関節は非常に回旋可動域が優れています。全頚椎の回旋可動域における可動域中、約50%ぐらいはC1、C2間が担っているとも言われるほどです。

その他の脊柱の特徴として、矢状面上の屈曲・伸展動作は、主に腰椎と頚椎が得意。水平面上の回旋の動きに関しては、主に胸椎と頚椎が得意です。回旋においても屈曲・伸展においても、頚椎が非常に富んでいるということになりますね。側屈の動きに関しては、すべての部位がある程度バランスよく動けるとされています。

各可動域で大きく異なるのは回旋で、脊椎全体の回旋可動域は約90°ですが、そのうち頚椎が50°、胸椎が35°、腰椎が5°となっています。

こうした可動域の違いを生み出している要因はいろいろあるのですが、もっとも分かりやすいのが「トータルの数の違い」です。胸椎と腰椎の骨の数は12個と5個。骨の数が多ければ関節の数も多いため、回旋可動域では胸椎に軍配が上がります。

それに加えて、骨や関節の構造の違いが可動域の差異を生み出します。例えば、腰椎はトータルの回旋可動域は少なめですが、屈曲可動域は多いとされています。もちろんこれは正常可動域の話であり、全ての個人に当てはまる数字ではありません。

とはいえ、基本的な概念としてこうした知識を頭に入れておくことで、はじめてクライアント個人にアレンジしたアプローチができるようになります。

可動域の差異がなぜ生まれるのか

先ほど可動域の差異について少し触れましたが、ここからは頚椎・胸椎・腰椎の「形状」という点から解説したいと思います。

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