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仙骨の前傾をどう作るか~最重要の筋肉は「多裂筋」です

仙骨は脊柱の終着点であり、仙骨の上端部に位置する第1仙椎の上面のことを「仙骨底」と言います。この仙骨は腰椎、ひいては脊柱全体のアライメントに大きな影響を与えます。仙骨が後傾すれば脊柱はそれにつられて丸くなるし、逆に仙骨が前傾しすぎれば、脊柱も反ってしまいます(この関係性を「腰椎仙骨リズム」と呼びます)

少し話は脇道にそれますが、仙骨は人間の呼吸とも深い関係があります。私達は普段「肺呼吸」で生活していますが、この呼吸を「第二次呼吸」と呼びます。じゃあ「第一次呼吸」とは何なのかというと、頭蓋骨と仙骨で行っている「頭蓋仙骨リズム」という、脊髄における血液循環によって酸素の運搬を行っているのです。

出産し肺呼吸をするようになっても、私達の身体では頭蓋仙骨リズムが生きていて、第一次呼吸と第二次呼吸の両方が行われています。そのため、仙骨や頭を揺らすことで仙骨・頭蓋骨のポジションを矯正すると、全身の血液循環が改善されて冷え性が改善されたりします。私もたまに使う手技ですが、これを「患部に触れずに身体を治す」「痛みが緩和される」「気を送る」「奇跡」と誇張して表現する施術者がいるので、だまされないように注意しましょう。

長々と書いてしまいましたが、仙骨というのは脊柱のアライメントに欠かせない存在だということを踏まえて、話を進めていきましょう。

運動+ボディメイクどちらにとっても仙骨は前傾している方がいい

日常において、例えば左の股関節が屈曲すると、左寛骨が徐々に後傾して、屈曲角度が大きくなれば骨盤=仙骨が後傾していきます。それにつられて、背中も丸くなります。ちょうどスクワットでボトムまで下りた時、お尻や背中が丸くなりやすくなるのと同じです。

一方で、スプリンターの選手を見ていると、股関節が屈曲するたびに脊柱が丸くなったら、あれだけの記録を出すことはできません。スプリンターたちは、股関節の屈曲に伴い寛骨も後傾しますが、仙骨が後傾しない=脊柱が丸くならないようにしています。歩行やランニング、階段を登る動作においても、仙骨がいちいち後傾しないことはとても重要です。

ボディメイクにおいても、仙骨は大殿筋が付着しているので、仙骨が後傾しているとお尻が垂れて見える+短足に見えてしまいます。お尻の位置を高くして、脚を長く見せるという意味でも、仙骨は立っている=前傾している方がいいです。

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