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美容でも意識したい。女性のなりやすい病気と微生物の多様性の関係

男性と女性とでは、なりやすい病気に違いがあります。例えば、男性は脳梗塞、脳血管障害、胃がん、十二指腸潰瘍、尿路結石になりやすいですし、女性は片頭痛、認知症、関節リウマチ、貧血、骨粗しょう症になりやすいと言われています。近年、こうした病気とマイクロバイオームとの関連性についての研究が多く報告されています。

マイクロバイオームとは「微生物叢」のことで、私たちの体内に存在するあらゆる微生物全体を表す言葉です。代表的な部位は小腸・大腸(腸内環境)ですが、皮膚や他の部位にも、マイクロバイオームは存在します。このマイクロバイオームが、女性特有の病気とどう関連しているのでしょうか?今回は、「全身性強皮症(SSc)」という病気を基に考えていきたいと思います。

男性の10倍以上なりやすい病気「全身性強皮症」

全身性強皮症は「全身性硬化症」「強皮症」とも呼ばれ、日本国内の推定患者数は約3万人いるとされています。男女比は1:12と、女性が圧倒的に多く、30~50代で発症しやすい病気のひとつです。「発症しやすい」とはしているものの、発症率自体はまれです。

この病気は皮膚の硬化が一般的な症状ですが、症状が進行すると他の臓器や組織(血管、関節、筋肉、消化器系、肺、心臓、腎臓)への影響も心配されます。

全身性強皮症の原因は、完全には解明されていません。ただ、この病気は主に3つの症状が複合的に発症しているのでは?と考えられています。

①線維化
皮膚の健康を保つコラーゲンの生成・分解のリズムが崩れ、コラーゲンが蓄積され皮膚が硬くなってしまいます。

②血管障害
強皮症患者に診られる特徴として、レイノー現象が挙げられます。レイノー現象とは、手足の血行が悪くなり、皮膚の色が蒼白または紫色(チアノーゼ)になり、痛み、冷感、しびれ感を自覚し、次いで血液の流れが回復すると、逆に充血し赤くなる現象です。

③自己免疫
体内の免疫システムが、本来細菌やウイルスといった外敵から自分の身体を守るために働くのではなく、正常な細胞や組織を攻撃してしまいます。これにより、体内で炎症や臓器への損傷が引き起こされてしまいます。

全身性強皮症は、症状の現れ方によっていくつかの種類に分けられます。例えば、手や足など局所的に皮膚が硬くなる「限局皮膚硬化型」、手足だけでなく、胸部・腹部とまんべんなんく広がる「びまん皮膚硬化型」です。前者に比べて、後者の方が症状が急速に進行し、腎臓・消化管・心臓など内臓の機能低下が起きやすいです。

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