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【後編】那覇で暮らす。地元んちゅと巡る&探る、沖縄都市モノレール各駅周辺の住み心地

5月に入ってから、東京と沖縄の気温があまり変わらないと聞いて驚いた。いやむしろGWの数日は、東京のほうが気温が高く暑かったらしい。

今年のGWは、多彩なジャンルのイベントがオンラインで開催されていた。ネットを介せば、地域を問わず誰でも参加できる。テレワーク同様、どこで暮らしているかは、あまり重要ではない時代になってきた。

満員電車に乗らず、自宅で仕事ができ、自宅でイベントに参加できる日が、コロナとともにやってきた。まさしく、Withコロナだった。


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沖縄出身のウチナンチューたちと沖縄移住したナイチャーたちが、2019年に「沖縄で暮らすこと」を題材に記事を執筆しました。

ビフォーコロナの沖縄で暮らす記憶。改めて「暮らしのあり方」を考え直すヒントになったら幸いです。楽しく読める暮らしのエッセイに新たに編集を加えて、noteでお届けします。

Produced by OKINAWA GRIT


[1点だけ補足]この記事は、2019年7月に公開。沖縄都市モノレールの終着駅「てだこ浦西駅」開通前に取材・執筆した記録となります。

2019年10月1日、新しく4駅が開通。2020年3月には、交通系ICカード(suicaやpasmoなど)のサービスを開始しています。

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沖縄に移住したいと話す友人夫婦に対し、「モノレール沿線なら、車のない君たちでも快適に暮らせるかもしれない」とアドバイスして始まったモノレール沿線を巡る旅。

前編では、那覇空港駅から牧志駅までの9駅とその周辺を紹介した。


「モノレール駅の周りが魅力的な環境だってことは分かったけど、私たちは結局、どこに住めばいいの?」と友人夫婦に質問されて、私はこう答えた。

「私のおすすめじゃなくて、まずはモノレール沿線の町を知ってほしいな。働く場所や暮らし方をイメージしてから、住むところを考えても遅くはないと思う」


この記事では、友人夫婦とともに沖縄都市モノレール沿線を1日で踏破し、各駅の周辺環境を学んだ様子をお届けする。

<WRITER / なかそねことみ>


沖縄都市モノレール「ゆいレール」の旅路、後半へ

今回は後半の安里駅から首里駅までの6駅と、2019年10月以降に開通予定の石嶺駅からてだこ浦西駅までの4駅(2019年10月1日開通)を巡っていこう。

[備考]各駅の1日乗車人数は、沖縄県の公式サイト(2019年6月現在)から引用している。


10. ノスタルジックな社交街「安里駅(あさとえき)」

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安里駅の1日の乗降者数は2,336人。(2019年6月現在)
15駅中、11番目に多い。

安里駅の周辺は、パっと見て「住宅街」だとわかる。駅近で営業するスーパーマーケットの栄町りうぼうは、モノレール通勤であれば帰宅ついでにスーパーでお買い物、という黄金の動線が組める。


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栄町りうぼうの隣には、レトロな雰囲気の商店が軒を連ねる栄町市場と、スナックや居酒屋がひしめく「栄町社交街」がある。

栄町社交街は名前の通り、夜になると大人たちがにぎわうストリートだ。サクッと手軽に飲める敷居の低さもあり、安里駅周辺は、お酒が好きな方にとって誘惑の多い街だろう。


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11. 那覇市の新しい商業中心地「おもろまち駅」

安里駅を出発すると、車窓からの風景は都会的な雰囲気に変わる。この付近は那覇新都心と呼ばれるエリアで、那覇空港駅、県庁前駅に次ぐ乗降者数を誇るおもろまち駅がある。

おもろまち駅の1日の乗降者数は5,753人(2019年6月現在)。

那覇新都心はもともと、米軍の牧港住宅地区だったエリア。返還後、2000年に「天久りうぼう楽市」、続いてサンエー那覇メインプレイスといった商業施設が次々にオープンした。


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駅直結の立派な建物は、免税店のTギャラリア沖縄 by DFS

シャネル、グッチといったハイブランドの製品を、国内のデパートより安く購入できる。Tギャラリア沖縄 by DFS自体は、観光客向けの施設だが、県外行きの航空券を持っていれば、誰でもショッピングを楽しめる。

沖縄在住の方も県外へ出発する前に、お買い物ができるのだ。


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買い物目的の地元民が訪れるのは、サンエー那覇メインプレイス」「コープあっぷるタウン」「天久りうぼう楽市などの商業施設だ。ユニクロ、無印良品などのメジャーな店舗が連なるほか、スポーツデポ、家電量販店 EDIONなどの専門店もある。

商業施設以外にもお出かけスポットが充実し、休日には、おきみゅーの愛称で知られる沖縄県立博物館・美術館で文化に触れたり、那覇新都心公園で爽やかな汗を流してもいい。ワンオアエイト」や「サクラカフェといった、センスのいいカフェも揃っている。


米軍から返還されて再開発した、おもろまち駅付近の物件は、比較的新しい建物が多い。便利な立地から、家賃も少々お高めだが、バスやモノレールによる那覇市内各所へのアクセスの良さ、買い物の便利さは群を抜いている。


12. 沖縄本島中部への移動に便利!幹線道路そばの「古島駅(ふるじまえき)」

古島駅の直下には、那覇市から沖縄市までを結ぶ「国道330号線」が通っており、終日交通量は多い。

古島駅の1日の乗降者数は2,683人(2019年6月現在)。15駅中、9番目。

駅に隣接した「古島駅前」バス停には、国道330号線を経由し中部エリアへ向かうバスが停車する。このバス停から、アーティストのライブが開催される沖縄コンベンションセンター」や、県内最大のショッピングモールイオンモール沖縄ライカムにも向かえる。

普天間飛行場や嘉手納基地などの広大な米軍基地があり、お店の英語率がグッと高まる「宜野湾」と異国情緒ただよう「コザ」へのアクセスが可能だ。


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国道の両脇は住宅地で、タウンプラザかねひで」や「マックスバリュ」といったスーパーマーケットが充実している。タウンプラザかねひでの隣には、出雲大社の沖縄分社が建立されており、縁結びの神様に日がなお参りできる。

また、2010年に甲子園を連覇した興南高校も駅から近い。興南高校は、伝統的にスポーツが盛んな高校として知られ、ボクシングや空手の世界チャンピオンを輩出している。


13. 癒しのオアシス「市立病院前駅(しりつびょういんまええき)」

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古島駅から首里駅方面へ向かう線路は、坂道に沿って上昇していく。

市立病院前駅の1日の乗降者数は972人(2019年6月現在)。15駅中もっとも少ない。

古島駅から首里駅までを結ぶ県道82号線は、那覇の中心地に向かう主要な通勤通学ルート。この道路の特徴は、何といっても「渋滞」だろう。特に市立病院前駅周辺の道路は、ラッシュの時間帯には驚くほど交通量が増加する。

だからこそ逆に、この付近で暮らすモノレールの民は、渋滞と無縁でラッキーかもしれない。


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渋滞に加え、もう一つの特徴は「坂道」だろう。

古島駅〜首里駅のエリアは、道のアップダウンが激しく、市立病院前駅から住宅街を眺めると、高低差があるのが分かる。坂の街として有名な、アメリカのサンフランシスコもびっくりな急勾配なのだ。


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坂道が多い分、歩くだけで心地よい筋肉への刺激を味わえる。徒歩通勤ならいい運動になるだろう。

駅から最も近いスーパーマーケットは、古島駅近くの「タウンプラザかねひで」だから徒歩10分以上と移動が大変。ときどき、買い物袋をさげなからベビーカーやママチャリを懸命に押す人を坂道で見かけるため、電動アシスト自転車があるとより快適だ。


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市立病院前駅から徒歩5分強で、街のオアシス末吉公園(すえよしこうえん)」にたどり着く。子供向けの遊具は少なく、どちらかといえば、林を散策して自然を楽しむスポットだ。

園内には滝や川があり、夏場にはホタルを鑑賞することができる。


14. 城下町で悠久の歴史と暮らす「儀保駅(ぎぼえき)」

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さらに坂を登ると、見えてくるのは儀保駅だ。

1日の乗降者数は1,804人(2019年6月現在)。市立病院前駅の次に少ない。

儀保駅周辺は、学習塾や内科、歯科、眼科といった医院が目立つほか、歴史を刻む小さなショップがぽつぽつと点在し、住宅街が広がっている。


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儀保駅でモノレールを降り、儀保十字路を南方向に進むと、現れるのはまたもや急な坂道だ。坂を登りきると、視界がひらけた先に、世界遺産の首里城公園が待っている。

近くには緑豊かな「龍潭池(りゅうたんいけ)」があり、ちょっと散歩するだけで世界遺産もマイナスイオン豊かな水辺も楽しめる。首里城周辺の地域は由緒正しい城下町。景観が美しく静かな町並みが広がる。

休日には、昔ながらの手づくり菓子を扱う榮椿(えいちん)、地元の人と観光客が和気あいあいと談笑する、アットホームなカフェ「木箱」に立ち寄るのもいい。どちらのお店も、作り手のあたたかい雰囲気を映したような、手仕事を感じる場所だ。


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首里城公園の周辺には、私の母校「首里高校」や、そのほか県立芸術大学」「城西小学校」などが建つ。首里高校は、2020年(12月9日)に創立140年を迎える歴史ある学校で、2019年7月現在は校舎の建て替え工事中だ。

工事に際し、グラウンドの下から琉球王朝時代の遺跡が発掘された。

「もしかしたら、私の家の下にも歴史的な何かが埋まっているのかも…?」そんなときめきを味わえるのが、儀保駅エリアだ。


もっとも近いスーパーマーケットは、首里駅寄りの「Aコープ首里城下町店」のため、市立病院前駅と同様、歩きでの買い物には少しだけ不便な点は注意したい。


15. 線路は続くよ、那覇から浦添へ「首里駅(しゅりえき)」

2019年7月現在、沖縄都市モノレールの終着駅が首里駅だ。

線路下を通る国道82号線を南下すると、南風原町豊見城市といった、沖縄本島南部エリアに到達する。モノレールの線路は鳥堀交差点から左に急カーブし、V字を描いて北へと向かう。


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首里城に訪れる観光客の需要が多く、首里駅の1日の乗降者数は3,671人(2019年6月現在)。15駅中6番目に多い。

駅から首里城までの道沿いには、観光客向けの洒落た飲食店が多く、カフェ「CONTE」や沖縄そばの首里そばは特に有名だ。


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首里駅の北側には、首里中学校市営住宅を含む住宅街が広がり、児童館、コインランドリーなどがあって子育て世代に優しい環境が整っている。

また、那覇市役所の支所である「首里支所」で住民票や年金などに関する手続きを行えるから便利だ。さらに、スーパーマーケット「かねひで」や商業施設の「りうぼう」も並ぶ。

りうぼうには、衣料品や食品売り場はもちろん、「TSUTAYA」「ダイソー」のほか、ドコモショップや飲食店、フィットネスクラブまで揃っていて日常の暮らしが完結するといっても過言ではない。


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だめ押しでつけ加えると、高台からは海が見える。天気がいい日は、東の水平線にうっすら渡嘉敷島が浮び、物件をお探しの際には、ベランダからの風景もチェックすることをおすすめする。

首里駅、いいエリアである。


モノレールの線路はまだまだ続く。石嶺駅から終点てだこ浦西駅までは、2019年10月以降に開通する見通しだ。(2019年10月1日に開通)

遠く坂の向こうにうっすら見える石嶺駅を指差して、友人夫婦に「ここからは歩きます」と高らかに宣言した。首里駅〜てだこ浦西駅までを結ぶバスの路線は存在せず、自家用車か徒歩以外の交通手段はない。否、モノレールの旅路を行く我々に、車という選択肢はなかった。


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(完結編に続く)



文字数多すぎ、3話に分けました。明日「完結編」をお届けします。

施設名に、公式サイトや私が執筆した記事、または観光系メディアの記事をリンクしました。気になるスポットがあれば、クリックしてご覧ください。

2019年7月執筆
文・撮影:なかそね ことみ 編集:みやねえ


沖縄で暮らす。地元んちゅと巡る&探る、沖縄都市モノレール各駅周辺と那覇の暮らし(前編)

那覇と浦添市で暮らす。地元んちゅと巡る&探る、拡張された沖縄都市モノレール4駅周辺の住み心地(完結編)

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