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文章の癖を見直そう。新人ライターの原稿をフィードバックすることの大切さ

文法、時間軸、言葉選び… 構成力や伝わりやすさも必要なライティングの技術。追求すればするほど明確な基準がわからなくなり、迷路に迷い込むことがあります。

何が正解なのかを判断できず、思考停止に陥ってしまう。自分の成長を感じられないときは、第三者に原稿を読んでもらい指摘されることで迷路から抜け出せ、道が拓けたりもします。

編集者に原稿のフィードバックを受ける重要性のひとつに「ライターの成長に繋げてもらうこと」が挙げられます。特に基礎を積んでない人には【文章の癖】が散見され、細やかな編集やフィードバックを受けずに書き続けていると、3〜5年後に初心者レベルの勘違いに気づいて赤っ恥を書く、なんてことにもなりかねません。

自分の【文章の癖】は、人に指摘されて初めて気づけます。実際に私もそうでした。ライターとして執筆を始めた頃、『まず最初に』の「まず」と「最初に」は同じ意味だと指摘されて初めて気づいたその半年後、「〜があり」「〜がある」「〜があります」とか、『ある』が多発と指摘されて、なるほどなーと思ったものです。


私が初心者や新人ライターさんの原稿1本目を編集するときは、ご本人が気づいてないであろう「文章の癖」を必ずフィードバックしています。沖縄で開催している「Webライター育成講座」でも課題を提出してもらい、その原稿にフィードバックをして、今後の成長に繋げてもらっています。

そこで新人ライターに向けて、日頃の編集業務で指摘してきた「文章の癖」をまとめて紹介します。今記事のタイトルが気になった人は、チェックしてみてください。


1.  「〜ですが」の罠。次に続くのは(否定)である

本来「〜ですが」とは「〜です。しかし(否定)〜」を繋げた言葉です。ところが「〜ですが、(肯定)」と逆接ではなく、順接で文章を綴る人もいていわゆる文章の捻じれ、文脈崩れが発生します。話し言葉で書くとき、この現象が起きやすいようですね。

⭕ とてもおいしかったのですが、ソースの味が今ひとつ(逆接)

❌ とてもおいしかったのですが、テーブルセットも素敵でした(順接)

これは習慣化された【文章の癖】であって日頃から無意識に使っていると、自分ひとりでは全く違和感に気づきません。そこで第三者の目線や指摘が大切になるのです。


例えばですが → 例えば、
恐縮ですが → 恐縮です。

と言い換えられます。まずは何度も原稿を読み込んで、違和感に気づくこと。この違和感を抱けない場合、何度読み込んでも気づきません。意識して原稿をチェックする、または入稿前の最終チェック方法を見直して、リスト化するなど一手間加えて丁寧に確認しましょう。

最初に習慣化してしまえば、あとは楽チンです。


2. 言葉の重複「あり」「ある」を羅列しない

これは、ササッと文章を書いた時に露呈する【文章の癖】です。語尾や単語の重複は入稿前の自己チェックの際に、WordやGoogleドキュメント上でキーワード検索をすればいいだけ。簡単に防げます。

Windowsなら「Ctrl+F」で検索

Macなら「Command+F」で検索


編集者などに指摘された【文章の癖】をメモってリスト化し、最終入稿前には必ず検索機能を使ってチェックします。

〜があります。〜があり、〜である。

「あり」と「ある」のKWで2回検索すれば、すべてヒットします。1000文字に2〜3つなら気になりませんが、6個以上だと多いと感じます。

多用していた場合は、他の言葉に置き変えられるかを考えて、1カ所ずつチェックします。すると意外にも言い換えられて、この作業を習慣化できると文章を書きながらスムーズに修正できるようになります。


3. 助詞「〜も」の間違った使い方

助詞「〜も」は、比較対象があって初めて成立する言葉です。前述に比較対象がないにも関わらず、「〜も」で文章を紡ぐ人が多い印象。私もたまにやるから他人事ではないですね。

⭕ 私はパンを食べた。君パンを食べた。(パン=同じもの)

❌ 私はパンを食べた。君ライスを食べた。(異なるもの)

同じ物や同一の行動を差して「君も〜」「御社も〜」となるため、前述に「私も〜」を導き出す行為が書かれていないと違和感が生じます。一度、原稿上で「も」を検索してください。想像以上にヒットすると思いますよー


4. 「〜なので」「〜で、」を使って文章を紡ぐとき

「〜ので」を使って文章を繋ぐのが悪いとは思っていません。しかし「〜ので」「〜で、」を使う人は多用する傾向が散見されました。

〜なので 〜するので 〜したので

接続助詞「〜ので」を頻繁に使うのは、ご本人の【文章の癖】です。一度、原稿上で「ので」「〜で、」を検索してみてください。

3,000文字前後の原稿で15個以上ヒットしたら、それは自分の【文章の癖】だと意識して、次回から注意してみましょう。多用してなければ気にしなくて大丈夫です。ちなみにこの記事では、本文「〜なので」と同じ意味の「〜ので」をまだ一度も使っていません。

数年前に執筆した記事をチェックすると、ぐぬぬ…「ので」多発してました(やべーなおい)もしその記事をベテラン編集者が読んだら、くぅーキミの文章校正してぇー!と思われるでしょうね。


5. 「〜という」の多用問題

つい使ってしまう「〜という」多用問題。

〜という名前の、〜という場所で
〜ということで、〜するということは

数年前に誰かがTwitterで呟いていたのをキッカケに、執筆時に見直すようになりました。他の言葉へ置き換えられる場合が多いと気づいて、今は意識して執筆をしています。

石川啄木という人物は → 石川啄木は
丁寧に書くということは → 丁寧な書き方は

スッキリと簡潔に読めますよね。頻繁に使いはじめたら魔物の罠にハマった証拠。「〜という」は使おうと思えばいくらでも多用でき、無意識に文章を綴っていると気づかないのです。ほとんどは他の言葉に置き換えられるため、できるだけ使わずに具体的に書いてみましょう。


6.  「こと」の多用問題

「〜することは」「〜ということは」などを多用するケースは、日頃から冗長な文章を書く人に多いイメージがあります。まずは「こと」「という」をそれぞれ検索にかけてみてください。多用してる人は、他にも不要な言葉を使用してるケースが多いため、新聞社のニュース記事など、簡潔に情報を伝える記事を大量に読んだあと、自分の原稿を読むと違和感に気づけると思います。

〜することは、〜したことで、〜するということは〜

エッセイやインタビューの会話に使うときはあります。が、しかし、多用すると無駄に長い文章になりますから意識して軌道修正してみてください。


7. 「たり」の繰り返し使用の副作用

「〜したり」の「たり」は2回続けて使うのが常例ですが、あえて1回だけ使ったりもします(←こんな感じです)。この「たり」を使い慣れてくると「〜したり、〜したり」を何度も連続で使用するケースが増えていき、単調なリズム(表現)の繰り返しは素人じみて見えるのです。

そこで、違う言葉にも置き換えてみましょう。

走ったり、歩いたりして → 走りながら、たまに歩いて

ソースをかけたり、シナモンを振ったり → ソースやシナモンをかけて

並列で情報を引用するときに多用しやすい「〜たり」は、描写を変えたり、言葉の順番を変えたりすると使わずに済みます。まあ、こんな感じで使ってしまうんですよね。笑


8. 漠然とした言葉を多用しない

例えば、「〜のほう」「〜のよう」「〜みたいな」「〜らしい」といった漠然とした言葉を使いすぎると、曖昧で意味が伝わりづらい文章になります。あえて断定せずに濁して書く、なんて場面にも遭遇しますが、できるだけ具体的な言葉に変換しましょう。

東京のほうが活気がある → 〜よりも東京は活気がある

のように滑らかな手触り → 水流のごとく滑らかな手触り

ミーアキャットみたいに可愛い → ミーアキャットに似た可愛さ

このように言葉を変換していきます。これらの描写をさらに深堀りすると、より詳細で伝わりやすい表現に仕上がっていきます。


9. 「こそあど言葉」よりは具体的な名称を使う

この、その、あの、どの… といった指示語。漠然と指し示すのではなく、具体的な名称に置き換えるとニュアンス違いが発生しづらくなります。

ここでは → 国会議事堂では
その場所から → 首相官邸から
あの方が言及した○○ → 菅総理が言及した○○

明らかに主語が明確になり、イメージしやすいですよね。

記事の中で何度か同じ名称を使うと、うっかり主語や固有名詞が抜け落ちてしまう罠。しかし、しつこいほど固有名詞を繰り返すのは逆効果です。くどいほど「私は〜。私は〜」と書くのも自己主張が強い印象を与えます。多用していた際はあえて削り、何を指しているのか伝わりづらい場面では「こそあど」の使用は避けてください。

ちなみに、同様の意味で使われる「総理」と「首相」も少し意味に違いがあるようです。


今日はここまで。続きは別のnoteで!

文章を綴り、記事化する。なかなか難しい作業ですよね。正しい答えはないにしろ、文法や言葉の意味を理解して読者に伝わりやすい文章を届け、喜んでもらえたら嬉しい限りです。

2020年もあと2カ月余り。自分が納得のいく記事を仕上げてラストスパートかけましょう。日頃から文章に携わる仕事をしている方、ライターさん、編集者さんに改めてリスペクト!明日も(無理せず)生き抜こう…!!

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