パートのレジ打ちがライターになった話し②
~前回のお話~
なかなか転職がうまくいかない何の取り柄もない主婦が、最後の望みをかけて大手小売業へ面接へ行き見事パート採用。ヤッターと順調に働き始めるも、数ヶ月で妊娠発覚。
専業主婦を7年間していたが、ずっと「働きたい」と思っていた。
最後に働いていた会社は、辞めるつもりが全く無くていつも通りの金曜を迎えて、それが最後の出勤となってしまった。
全て良い縁に恵まれていた会社を退職してから、専業主婦を経て気付いたら仕事へのハードルがだいぶ上がってしまった。
「フルタイム」や「都内」など魔法が使えなくなってしまった私に残された武器は、もう何も残っていなかった。
不穏フラグ
さて。話は戻って妊娠発覚後。
すぐさまに、私は仕事場に妊娠したことを伝える必要があった。理由としては…妊婦には、いろいろ無理がある部署だったから。
まず、大前提に重い荷物は必ず持つ必要があった。品出しのコンテナボックスはかなり重いものがあって、それこそ手を滑らせたら大惨事になる。それくらい、重量がある力仕事だった。
そして、とにかくよく脚立に乗る。乗らない日は無い。だって、それこそ棚の補充が上にあったら、その日は脚立に乗りっぱなしだ。
丁度、男性上司が転勤したばかりで、私よりもはるかに年下の可愛らしいお姉さんが上司になったばかりだったので、報告はしやすかった。妊娠した旨を伝えると、やはり「この部署は厳しいね」と移動を提案してくれた。や…優しい。しかしお姉さん上司は分かっていた。その部署の人間模様を。「私が部署移動を(更に上の上司に)お願いする間、他の人に何か言われても待機中ですと対応してね」と言われた。
うぅ…不穏なフラグ…!!
同じ部署の人はみんな優しいベテラン主婦の面々で、私以外みんな10年以上働く方たちだった。同じ部署の皆さんが、正社員だったのかパートだったのかは分からなかったけど、間違いなく誰かが欠けたら部署が成り立たないくらいのエキスパートな方達が勢揃いしていた。
1人1人に、妊娠を報告した時、不穏な空気をまとい始めたご婦人Aが現れた…!その方は、もう何十年も働いているスーパーベテランさん。妊娠を伝える前までは、普通の対応だったけれど「NINSIN」というキーワードを持ち出してからは、分りやすいほど凄みが500倍くらいのスーパーサイヤ人と化した。
きょっわ…!
そう、不穏なフラグはこのAさんという人物だったのだ…!
でも、そりゃ納得する。チッって言いたくなるわ。
以降、Aさんから放たれたパワーワード集である。(時が経ってるので正確ではないけど、まぁこんなニュアンス)
・え、何、狙ってたの?(妊娠をネ)
・本当はもっと働ける人探してたのに人足りないから仕方なくアナタで妥協したのに
・私だって(重いもの持って)ケガしてるのに…(妊娠したからってなんやねん、みたいな)
・もうね、辞めたいのよ私だって。
・(妊娠にまつわる話しをしたあとで)…ふ~っ。(ただの溜め息)
ず…ずいまぜ~ん!!妊娠して、本当にすみませぇ~ん!!
ちょっと、心の中ではギャグみたいな謝り方をして、心の平静を保っていた(いや、保たれてはいなかったかな。メンタル弱いので)。
でも、移動の手はずを整えてくれている上司の指示通り、余計なことは言わずに「待機」の姿勢を貫いて細々と業務を続けていた。あと、他の方達は本当に優しかったのでなんとか無事だった。
度重なるアリガトウな出来事
もう、働き続けるのは難しいかなと思っていたけど、お姉さん上司がレジの部署へ移動させてくれた。良かった、ベイビー。君をお腹で育てながら、なんとか働けそうだよ。
Aさんは、めっちゃ怖かったけどその後すれ違っても私はにこやかに挨拶を続けた。そしてAさんは、スーパーサイヤ人から普通のベテランさんにいつの間にか戻っていた。ま、部署変わったら間接的な関係になるもんね。怒りも、数ヶ月で静まったのだろう。
レジの部署は妊婦として迎え入れてくれたので、本当に優しく対応してくれた。基本的にレジって人と殆ど絡まずに個人プレーなので、それは本当に有難かった。
そして私はこの会社の素晴らしさを、妊娠を通して知ることになる。それは…
パートでも産休・育休が取得可能ということ!
働き始めて数ヶ月しか経っていないけど…日数的に大丈夫か?と思った。しかし、なんと以前働いていた医療系会社の雇用保険が適用されることに。しかもね…なんと本当に、申請可能な日数がギリギリOKだったんだ~!スゴ~イ!もうこれはね、キセキとしか言えない。だって、そんなの数えたことも無かったし(ていうか知らなかった)。
以前働いていた医療系会社に良い思い出は正直あまり無かったが、この時心から「アリガトウ…」と感謝の気持ちが沸き起こった。
終わり良ければすべて良し。
続く。
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