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徒然なるままに

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うたかたの詩作です。
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「タイムカプセル」

いつもどこか的外れで 臆病な僕の言葉は 全ての余白を埋め尽くす 結局、君との均衡な距離を保てずに 言葉の黒 感情の白 透明な肉体 君は僕の其れに、いくつかのダメ出しをした。 青は二人にとって良好なサイン 僕が思い切って 「なにか悩みがあるのなら言って欲しい」 といった言葉はあまりにも愚鈍で、 「私の悩みなんて、あんまり平凡過ぎて」 という君には、 もう、なにも云う必要がなくなってしまった。 やがて9月が終わろうとしている。 秋は残酷にもあの夏の日を抹消する。

「毒」

満月の夜は 訳もなく 心が騒めくから 手探りで 覚えた タバコの味で 喉を乾かした いつまでたっても 曖昧なあなたに 嫌気がさしたから もう一度して これで最後にしよう と言いました 初潮のとき見た あの鮮やかな血の色に 意識が飛んだその瞬間 毒を刺すことで 心の平静を 保ってた 全ての欲が動きだしそうで 苦しみが心地よさに変わるとき 清廉潔白な心と 身体と 私

「見せかけの」

みんなを笑顔にするために僕らは 歌って踊って笑います なんて言ってる アイドルなんて クソくらえ って言ってた自分が ふいにラジオから流れてきた あの昔聴いた 軽薄な歌に 救われるだなんて ああ 「頭空っぽ」って言って馬鹿にしていた自分は 頭を空っぽにするってのは そう 悪いことではないのかと納得してみたり いやなこと 辛いこと 全部掘り下げて考えるよりは 自分は深く痛みが解るなんて 勘違いしていた自分より よっぽど痛々しくなくって よっぽど救われる存在かもしれない

「湯船」

冷えた身体を  足早に   湯船に浸ける 外の冷気と  湯船の熱の   温度差 皮膚に鳥肌が立ち  同時に乳首が突起する  同時に乳首が突起する   次の瞬間    じんわりと沁み入る温かさ 手足を伸ばし  肩まで浸ける   陰毛に着いた    無数の泡 人差し指と  中指で挟み   気泡を散らす 残ったのは  緩やかな毛   揺らぐ 優しく丁寧に  性器を撫でる  膝小僧には   あの時のアザが    ひとつ     ふたつ… 白

「結露」

君は その 乾いた指で 僕の心を撫でた 僕は この 湿った指で 君の心をなぞった 窓ガラスに書かれた文字 それは君と僕の温度差だったんだね

「夜11時のコンビニは」

夜11時のコンビニは 昼間のような明るさに 目が眩んだけど そこには私の居場所があるみたいで なんだかホッとした アスファルトはまだ  昼間の熱 蓄えて 夜風の冷たさに 肌の熱さ 感じて ふとあなたと電話したときのことを思い出しました 3回コールで出る おまじない でも話すことなんて なにもないから、 あなたは子どもの頃飼ってた ジュウシマツの話を 私は受話器からあの歌をあなたに ふたりは なかなか言わない「おやすみ」 私たちはまるで 中学生みたいに幼か

「 距離 」

わたしは あなたのカラダを知っている でも あなたの声を知らない わたしは あなたのココロを知っている でも あなたの顔を知らない 二人の距離を埋めたいけれど ココロの距離では埋められない カラダの距離を縮めたいけれど 二人の距離が邪魔をする カラダで距離を縮めても ココロが無ければ満たされない ココロの距離 カラダの距離 割れない距離