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「反転学習」を成功させるためには、生徒の笑顔を大切に

フィリピン教育関係者向けの訪日研修もいよいよクライマックス。昨日は、兵庫県立洲本高等学校を訪問しました。

洲本高校では、デジタル教材を活用した「反転学習」を実践されており、有難いことに、今回リアルな教育の現場を拝見させていただきました。

フィリピンからの訪日チームも大興奮だった、洲本高校の挑戦についてぜひともシェアさせてください。

「反転学習」とは?

すでにご存知の方もいると思いますが「反転学習」について、まずご紹介いたします。

反転授業とは,授業と宿題の役割を「反転」させる授業形態のことを指す。通常は授業中に生徒へ講義を行い知識を伝達し,授業外で既習内容の復習を行い,学んだ知識の定着を促す。これに対し,反転授業では自宅で講義ビデオなどのデジタル教材を使って学び,授業に先立って知識の習得を済ませる。そして教室では講義の代わりに,学んだ知識の確認やディスカッション,問題解決学習などの協同学習により,学んだ知識を「使うことで学ぶ」活動を行う。このような授業形態を導入することで,生徒の学習意欲を向上させて知識の定着を促し,落ちこぼれを防ぐなどの効果が期待されている。
(出典:J-STAGE

アイデア自体は2000年頃から提案されていたようですが、私が「反転学習(英語ではflipped learning)」を知ったのは2010年頃、ちょうど欧米諸国でEdTechという言葉が流行りだした頃でした。

私にとって一番大きなきっかけは、こちらの本『ウェブで学ぶ』になります。MITがオンラインを活用して授業を無料で公開していることにまず驚き、オンラインを活用することによって学び方が、教育の形が変わるというメッセージにはとても共感しました。

ウェブ進化×教育の進化=無限の可能性

これは『ウェブで学ぶ』のキャッチコピーでもある言葉ですが、その一つのかたちが「反転学習」ですが、その実践現場を今回拝見させていただきました。

両親の反対を乗り越えたのは、生徒たちのリアルな声

洲本高校では現在、『スマートレクチャー』というデジタル教材を活用して反転学習を進めています。

具体的には、授業の前にまず『スマートレクチャー』で新しい単元について生徒たちに予習させ、授業の冒頭で確認テストを実施して、生徒の理解度を確認します。

テストが終わったら、先生が解説をするのではなく、本記事のトップ写真のようにグループに別れて、生徒同士で回答を確認、教えあいが始まります。その後も基本的には演習問題をグループで説き続け、先生が教室をぐるぐると回りながら黒板にほとんど何も書かなかったことがとても印象的でした。

「なるほど、反転授業では先生は"教える"のではなく、生徒たちの学びあいをサポートする"ファシリテーション"の役割を担うんですね。これは素晴らしい!」

という感想は、フィリピン教育関係者のものですが、さすがのコメントで、授業を見て直ぐに「反転学習」の魅力に気づかれました。

しかし、教育者でないと、こういった感想は中々出てこないそうで、洲本高校で「反転学習」を導入することを決めた時、実は多くの父兄から反対があったそうです。

確かに、一見「反転学習」は、先生が何もしていないような印象があり、「直接しっかり指導してほしい」という保護者からの不安は容易に想像できます。

これに対して、洲本高校がどのように保護者を説得したかというと、特に多くは説明しなかったそうです。他方で、生徒たちに少しでも良い学びを届けようと工夫を重ね、生徒たちのリアルな感想(=楽しい、普通の授業よりも理解しやすい)が保護者たちのイメージを徐々に変えていったとのことでした。

「やっぱり、生徒の笑顔に勝るものはありませんね」

これにはフィリピンの教育関係者全員、とても共感されたようで、どうやったデジタル教育をフィリピンに普及できるか、そのヒントをしっかり掴まれたようでした。

最後に

昨日で全ての学校視察が終わり、最後に感想を聞いたところ、帰国したらすぐに学んだことを実践したいと意気込んでいました。

これからが本番。日本の学びをどうフィリピンに届け、どうやったら現地の学校現場に馴染むのか。グローバル展開とローカル化を行き来しながら、私たちもできることを一つ一つ進めて参ります。

最後になりますが、今回の研修にご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました!この学びをフィリピンの未来に繋げられるよう、私たちも頑張ります!



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