Miwa Susuda 須々田美和

95年よりニューヨークに渡米。オークションハウス、美術館、ギャラリーで勤務した後、現在…

Miwa Susuda 須々田美和

95年よりニューヨークに渡米。オークションハウス、美術館、ギャラリーで勤務した後、現在写真専門店、ダシュウッド・ブックスでマネージャーとして多くの作家との交流を持つ。 海外で活躍する作家の生き方に触れ感じたことを紹介していきます。写真集の出版をセッション・プレスで主宰しています。

最近の記事

ニューヨークで写真集の出版社をするということ

セッションプレスという写真集を制作する出版社を立ち上げて早10年経ちました。2020年からのコロナの影響で11冊目の写真集の制作から4年以上の時間をかけ、12冊目の森山大道の『写真時代』(昨年12月発刊)さんと今月に発売される香港出身のフォトグラファー、ウィン・シャ(夏永康)の『SOLACE』を無事に出版することなります。出版社を始めようとしたときも、そして、コロナが去った今現在において、世の中は、日々デジタル化が進む中で、写真集を制作することの意義を周りから問われたり、批判

    • PHOTO BOOK REVIEW 13: マーティン・パー『Fashion Magazine』

      マーティン・パーの『Fashion Magazine』をレビューしてみました.どうかご参照いただけますことをよろしくお願いいたします。 PHOTO BOOK REVIEW 13: Martin Parr “Fashion Magazine” 2005年 Published by Magnum Photos 消費社会の滑稽さを撮らせたら右に出る作家はいない、イギリス出身でマグナムフォト所属のマーティン・パーのファション写真集。政治や資本主義批判を写真で表現する時に直截的に惨

      • タリン・サイモン 『The Innocents』

        PHOTO BOOK REVIEW 12: Taryn Simon “The Innocents” 2003年 Umbrage Editions、NY Foreword by Peter Neufeld and Barry Sheck Published by Umbrage about 今回は、アメリカを代表する現代作家、タリン・サイモンが、2003年に発刊した第1作の写真集『The Innocents(無実の人々)』を取り上げたいと思います。本作は、警察が捜査の際に写真

        • アメリカの個人出版社ファイル 5:Matarile Ediciones

          今回、個人出版社シリーズ第5弾として取り上げるのは、筆者とともにダシュウッド・ブックスで働くマルタ・ナランホ・サンバドルが率いるMatarile Edicionesです。本出版社については、マリオン・エレナ 『Sedimenta Feelings』誌の紹介で、以前イマ・マガジン・オンラインに説明をさせていただいたのですが、近年、写真教育を受けるために外国で学び、そのまま異国で写真家としてのキャリアを築く若い写真家が増えている現状を踏まえ、母国を離れて異郷の地で活躍する作家に特

        ニューヨークで写真集の出版社をするということ

          アメリカの個人出版社ファイル 4:Charcoal Press

          アメリカで話題の個人出版社シリーズ第4弾は、オハイオ州ウースターに拠点を持つチャコール・プレスです。本出版社の設立者のジェス・レンツは他の多くの個人出版社と同様に自身がイラストレーター、写真家というクリエイティブ経歴を持ち、レンツは自社より ”The Seraphim” (セラフィム: 旧約聖書に記されている神に仕える最高位の天使・熾天使のこと)と”The Locusts" (イナゴ:聖書の中で人類が犯す罪への神の怒りの象徴)の2冊の自身の写真集を発刊しています。キリスト教の

          アメリカの個人出版社ファイル 4:Charcoal Press

          アメリカの個人出版社ファイル 3:TIS books

          アメリカのインデペント・パブリッシャー・シリーズの第3弾として紹介したいのは、前回のTBWと同様、アメリカ西海岸カルフォルニアのオークランドに拠点を持つTIS booksです。本出版社は、発足当時ニューヨーク在住の3名の写真家、ジェイ・カリアー(J Carrier)、ティム・カーペンター(Tim Carpenter)、ネルソン・チャン(Nelson Chan)によって運営されていましたが、チャンがカルフォルニアの私立大学(California College of the A

          アメリカの個人出版社ファイル 3:TIS books

          アメリカの個人出版社ファイル 2:TBW Books

          アメリカの第二弾めのインデペンデント出版社シリーズとして紹介したいのは、写真家、そしてグラッフィク・デザイナーであるポール・シーク(Paul Schiek)が主催する、TBW Books です。TBW Books は、2006年よりカルフォルニのオークランドに拠点(現在:メキシコ市にも移転を検討中)を持ち、写真集の業界での立ち位置を検討すると、Loose Joints がMACKと師弟関係にあるように(Loose Jointsの主宰のLewis Chaplinは、マックでアシ

          アメリカの個人出版社ファイル 2:TBW Books

          アメリカの個人出版社ファイル1:Pre-Echo Press

          アメリカには多くの個人経営の出版社があります。多くの個人出版社は、国内のみで流通する写真集を販売しているため、日本にはほぼ知られていないと思います。ここであえて、本件について紹介したいと思ったのは、日本にも多く出回っている大手の出版社(ファイドン・リゾーリ、アパチャー等)の写真集を紹介するだけでは包括的に海外の写真事情を知ることが難しく、個人で出版する会社の在り方や、特色を理解することで海外の作家や編集者が何に興味を持っているのか、どのような内容の作品にフォーカスが当てられて

          アメリカの個人出版社ファイル1:Pre-Echo Press

          自己紹介

          95年に大学院で美術博物館学を学ぶため渡米後、ニューヨークの美術館やオークションハウス、ギャラリーに勤務、現在は写真専門店、ダシュウッド・ブックスでマネージャーとして働いています。また、2013年より自身の出版社、「セッション・プレス」(www.sessionpress.com) を設立し、日本と中国の写真家の写真集を制作しています。本サイトでは、毎日、多くの写真家の方と出会い、会話をする中で感じたこと、学んだことをお伝えできたらと思っています。実は、これまで、日本の写真専門