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なんでも知っていて、語ってくれる木




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北海道、豊富町( とよとみちょう )に生えている、一位( いちい )です。


樹齢は1200才と云われていて、言問いの松( ことといのまつ )という名前をつけられています。





豊富町は、北海道本島の最北端、稚内市( わっかないし )のすぐ南にある町で、町内には雄大な牧草地や、サロベツ原野という湿地が広がっています。


この木のすぐ横にある道路は、こんなかんじです。


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明治42年に、この木を含めた広大な土地を、秋田県から来た三沢幸助という人が貸付けを受けて入手されました。

この木が畑の真ん中に残されていたので、邪魔だと思い、何人もの人々が伐ろうとしたのですが、みんな怪我をしたり、病気になったりしました。

今でも、幹には、当時の伐り跡が何カ所も残っているとのことです。

次第にこの木は、みんなから大切にされるようになって、「 なんでも知っていて、語ってくれる木 」と言われはじめるようになりました。




サロベツ湿原センター




サロベツ湿原センター





僕は11年前、2004年に、この木に会いに行ったことがあります。

北海道の最北、ひいては日本最北の巨木と言われているこの木に、どうしても会いたくなったのです。


大平原の中に、ポツンと生えている姿を想像して行ったのですが、僕の期待は大きく裏切られました。

木に向かって右側に、無粋で巨大な防風ネットが設置されていたのです。

木が弱ってきたので、1989年に設置されたようです。

この場所で、風も光も、たくさん浴びながら1200年も生きてきたのに、「そこまでして木を保護するの?」と、僕は疑問に思いました。




当時の僕は、ただ見た目に固執していたのかもしれません。

防風ネットを張る人達の思いや、それによって巨木が元気を取り戻せるかもしれない期待感には想いが行き届きませんでした。

たしかに巨木は弱っているように見えました。






あれから11年が経ち、巨木に再会したくなって、会いに行ってきました。

あいかわらず巨大な防風ネットは設置されていましたし、それに加えて巨木の周囲には、まだまだ細いですが、木々も新たに植えられていました。




11年ぶりの「 言問いの松 」の姿を見て、僕の視線は釘付けになりました。


巨木は、ちょうど防風ネットで守られている高さの幹から、元気いっぱいの枝を茂らせていたのです。




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見事に、言問いの松は復活を遂げていました。

1200才の樹齢を超えても、環境が整うと、枝葉をたくさん茂らせる巨木の力に、僕は言葉を失いました。






いつまでもお元気で。また会いに行きます。




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