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【工作】最高の筋トレのために筋肉の活動を見る装置を作りました。


皆さんはじめまして、カローサムと申します。突然ですが私には悩みがあります。それは…

自粛期間の不摂生によって2021年1月現在の私の体重は68kg。BMIは25.6と肥満のボーダーである25をオーバーしています。社会人になる前にこの体型を何とかしなくては。

このままではいけないとランニングと筋トレを始めました。フィットネスブームの日本、今やトレーニングメニューは簡単に手に入ります。しかし腕立てとスクワットから始めてしばらくした頃、私は思いました。

何となく動作を真似ているけどちゃんと目的の筋肉に負荷がかかっているのか?自分では見えない背中や肩の後ろ側はちゃんと鍛えられているのか?ジムならインストラクターの方に見てもらえます。しかし一人自宅で鍛える私にその答えはわかりません。

いや、私は一人じゃない。いつだって筋肉と筋トレをしている。そうだ、筋肉のことは筋肉に訊けばいいんだ。筋トレは筋肉との対話だ。

ただ私は色白チビデブです。アスリートのように筋肉の声を聴けるレベルでは全くありません。「筋肉との対話」のできない人間は諦めるしかないのか…?

筋トレは筋肉との対話?筋肉は裏切らない?そんなスピリチュアル脳筋染みた発想は時代遅れです。筋トレは根性論ではなく科学です。スマートな科学者の私が筋トレの「正解」を導いてみせます。コミュ障筋肉を科学の力で喋らせてやる。

そんな思いを胸に私は筋電計を手に入れることにしました。

筋電計ってなに?

筋電計とは文字通り「肉の気信号をる装置」のことです。脳から筋肉へ送られる電気信号を電極で検出して波形で表してくれます。強い筋力を発揮するほどたくさんの筋繊維に電気信号が送られるため振幅も大きくなります。この波形を見ることによって目的の筋肉がきちんと働いているか、他の部位に負荷が逃げたりしていないかを判定することができます。本来はリハビリ治療などに使われますが今回は「筋肉のウソ発見機」として使います。

これさえあれば筋トレの「正解」を導き出せます。答えは全て筋肉に聞けばいいのだから。

ただマジの医療用筋電計はフルセットで400万円くらいしたのでもう少し簡易的な筋電計を手に入れることにしました。

筋電計をつくろう

今回はSpikerBoxというキットをベースにしていきます。SpikerBoxとはアメリカのベンチャー企業が作った簡易的な筋電計で主に学校の教材として使われています。PCやスマホにつなげば筋肉の活動波形を見ることができます。アメリカからの送料込みで2万円くらいしましたが医療用筋電計を購入することを考えれば非常にお買い得です。

試しに腕に装着して計測してみたところマジでした。細かい動きも正確にとらえていました。

次に全身に電極を取り付けられるようにたくさんの電極を用意します。金属部分が銀でできたゴリゴリの医療用です。

最後に導電用ジェルを用意します。これは電極と肌の間の電気の通りをよくするためのジェルです。これも医療用は高いので身近なもので代用することにします。


そこで「覚醒サキュバス濃厚ヌルヌルローション」を用意しました。大容量かつ運動中汗をかいても落ちにくい高粘度という条件から導き出された「正解」が「覚醒サキュバス濃厚ヌルヌルローション」でした。より電気を通りやすくするため電解質である食塩を20:1の割合で混ぜて導電ジェルは完成です。

余談ですがローションと食塩を混ぜてしばらく置くとサラサラになりました。ローションの主成分ポリアクリル酸ナトリウムはナトリウムイオンと合わせると水分を保持できなくなる性質があるらしいです。うっかり服についたローションも塩を付ければ簡単に落ちます。スケベな伊東家の食卓か?

ともあれこれで最高の筋トレに必要な物は揃いました。ここまでで近所のジムに3か月は通える金額が掛かりましたがこれが「正解」なので問題ありません。将来ジムに飲み物とタオルに加えて電極とサキュバスローションを持っていく時代がすぐそこに来ています。皆さんはイノベーションの瞬間を目撃します。

早速使ってみよう。

まずは電極を貼る部分の皮脂を取り除くため、除菌シートで拭いてから導電ジェルを全体に塗っていきます。サキュバスローションに媚薬が入っていたら絶頂して死ぬ恐れがありましたが大丈夫でした。

ジェルを塗ったところに電極を貼り付けて配線を繋げば…





完成!!

改造型の露出狂みたいになりましたがこれが「正解」です。いつだって先駆者は奇妙に映るものです。早速筋肉の活動を見ていきましょう。

まずは5kgのアームカールを行い上腕二頭筋(二の腕を曲げる筋肉)の活動を見てみます。

反応してる!改めて筋肉が働いているのが見えると感慨深いものがあります。教科書で習ったものを大人になってから見て感動したという点では、2年前に福岡の博物館で金印を見た時の感情に似ています。

続いて7.5kgで行います。

5kgより多くの筋肉を使っていることが分かります。ただ持っているだけの状態でも振幅が大きくなっていることが分かります。腕を曲げなくてもダンベルにより強く腕を引っ張られているため、姿勢を維持するために筋肉へ信号が送られています。

では普段やらない12.5kgの重量でアームカールをやってみましょう。

…思ったほど反応しない。映像からもわかるようにフォームを崩して二の腕以外の筋肉や反動を使って挙げてしまっています。これでは正しい筋トレとは言えません。おい上腕二頭筋、オマエがサボってるのまるわかりだぞ。映像にも残ってんだよ。

これらの比較実験から現在の自分に最適なアームカールの重量は7.5kgと分かりました。このように自分に合った重量を感覚だけでなくデータとして割り出すことができました。まさにイノベーション。パラダイムシフト。マッスルレボリューション。

では次に大胸筋を使う種目ダンベルプレスを行ってみます。配線を胸につないで早速挑戦します。近未来のM男みたいですが何度も言うようにこれが「正解」です。先ほどより大きな筋肉を使うのできっと大きな反応が見られるはずです。

…そうでもなかった。映像を見るとフォームのせいで上手く胸筋に負荷が行っていないことが分かります。あと二の腕より筋肉の上に皮下脂肪が付いていて上手く電気信号を検出しにくい。

それに電極が肌に当たって冷たいし、上裸で寒いし、小さい筋肉には使いづらいし、配線絡んで邪魔だし、手の届かない所に電極付けられないし、運動後電極はがす時痛いし、ローション洗い流すの大変だし…

結果:めちゃめちゃ使いづらい!!!

正直筋トレ中に筋電計を付けるのはおすすめしません。筋電計を頼らなくても撮影するだけで十分なフォームチェックが行えます。私も今回撮影したフォームの悪さにビビりました。

私は科学に頼りすぎたのかもしれません。私は通販や広告の「これでダイエットは完璧」と謳うサプリメントや器具を非科学的だと笑っていました。そんな私が正しい筋トレのための道具を作ろうとしたなんて皮肉な話です。

完璧なダイエットは存在しません。日々の体調の変化に合わせたトレーニングや食事が欠かせません。毎日地道に、そして誠実に身体と向き合うことこそ健康への近道であり「筋肉との対話」なのかもしれません。

何となくいい教訓が出たところで今回の実験を終わります。次のイノベーションでお会いしましょう。

ちなみに最初の計測データを解析したら

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和文モールス信号に翻訳すると





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 か     し     ゆ     か









かしゆかになりました。

(おわり)

追記

今回の撮影用に普段より多めに筋トレをしたせいか10日間で2kg痩せました。今後も筋トレは続けてまいります。







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