見出し画像

「トキメキ」若返りの源

2010年12月11日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 年末は、とかく集まりが多いが、連日の寝不足と疲れで風をひいてしまった。
 どうも飲食や寝不足によって免疫力が低下したようだ。この免疫力とは心と体の両面から影響を受ける。体は疲れによって、心はストレスでダメージを受けるが、ストレスといってもそのとらえ方で大きく変わる。よく「バカは風邪をひかない」というが、確かに物事を楽観的にとらえていると免疫力は保たれ、逆に心配しすぎると免疫力は落ちるらしい。

 今年の夏、新潟県阿賀野市の村杉温泉でアンチエイジング・キャンプを行ったが、そこで僕を含めた参加者10人の免疫機能をキャンプ前後に計測したことがある。
 順天堂大学加齢制御医学の白沢卓二教授と共に行うこのキャンプは「食事、運動、生きがい」がテーマで、白沢教授の研究によると長寿者の多くは人生に前向きであり、そのために「生きがい」すなわち物事や活動にときめきを持つことが重要だという。僕はアウトドア活動を通じて参加者たちがトキメキを感じられるように毎回工夫を凝らしている。
 村杉温泉では沢登りを行ったが、冷たい水に入ることを最初はためらっていたのに、そのうち魚を手づかみで捕ったり、普段は見られない水の中から見る景色に参加者全員が童心に戻って、最後は子供のようにはしゃいでいた。

 免疫機能の測定項目は多岐にわたるが、なかでももっとも違いが表れたのはNK細胞だった。NK細胞とは「ナチュラル(自然)キラー(殺傷)」の略でウィルスの感染や腫瘍細胞と出会うとそれらを殺傷する働きを持つ。こうした機能が2泊3日のキャンプで僕を含めた10人のうち9人が顕著に上がるという結果が出た。
 普段は冷たい水にストレスは感じるだろうが、それが遊びや冒険の要素が加わるとそれすらも楽しい刺激となる。さらに白沢教授がプロヂュースした食事、中尾和子先生の楽しいボールエクササイズなど複合的に免疫力に作用し効果があったのだろう。

 アイドルに憧れる、趣味に高じる、あるいは恋愛などもトキメキだ。でも僕は大自然に触れること、アウトドアこそ素晴らしい「トキメキ」を与えてくれると思う。冒険心こそ若返りの源。年明け1月24日25日にかけて長野県高山村で8回目のアンチエイジング・キャンプを行う。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?