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疲れ具合でトレーニングも見極めよう

本日は5月3日、2020年です。7年前の今頃C2からベースキャンプに降りて行った所です。標高差約1000mを降りると、身体はですね。ものすごく楽になるのですが、同時に今まで身体を酷使してきた分、身体はすごく疲れ重くなります。肉体的な疲れ、しっかり寝てください。精神的な疲れは逆に身体を動かすと楽になります。皆さん、今日も頑張ってトレーニングしてください!

本日のMIURA流クライムビクス

三浦豪太が考案する『MIURA流クライムビクス』を動画で詳しく紹介しております。以下の種目をクリックしてみてください!一緒に頑張りましょう!!

【準備体操】
  登山体操 ・・・リズムよく、楽しくトレーニングしましょう

【メイン運動①】 
  ①ウォーキング・・・2.4km
  ②階段のぼり・・・27階分、もしくは踏み台昇降・・445回分
  ③スロージョギング・・・15分間(5分間×3セット)
   ※①、②、③より1種目を選択してください
【メイン運動②】 
  サイドランジ(歩幅3歩)・・・20回×3セット

【補助運動】
  ニータッチ ・・・15~25回×3セット

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三浦豪太の遠征日記 −2013年5月3日−

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今日、いよいよBCに降りることができる。今回の高度順化5日間、ほとんど夜は深い眠りにつくことができなかったので、BCに降りるとなると考えるだけで、身体が休もうとしてだるくなる。

テントから出て、ダイニングテントに行こうとすると凍てつく風が吹きすさぶ。温度計を見ると-13.7℃、風速は14m。これは体感温度にすると-27℃ぐらいか。薄い手袋をしていたが、無数の針が突き刺さるように手が冷えてくる。外は晴れているので、ウェスターンクーンは本来なら射光熱で30℃以上になる。しかし、ローツェフェースから吹き降ろされる風はあっという間に体温を奪う。僕は薄着で下山を考えていたのだが、考えを改めて登頂用に持ってきた厚いダウン以外、すべてのウェアを着て降りることにした。

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登りと下りでは肉体的な負担が違う。登りでは体重と荷物を上げるためにエネルギーが必要だ。さらに登れば登るほど酸素も少なくなる。しかし、下りは物理的にエネルギーを下げるのと、降りれば降りるほど酸素が多くなる。そのため行きに4時間かかったC2~C1の道のりも2時間弱で到着する。さらにC1からベースまでアイスフォールを下るのだが、これまたペースが早い。しかし、アイスフォール中盤でガクッと疲れが出てきた。どうやら酸素が多くなり、身体が休みたがっているようだ。

それでも13時にはベースキャンプに到着した。お父さんをはじめ全員が迎えてくれた。その中に珍しい顔があった。新谷暁夫さんだ!新谷さんは父とは古くからの友人で、以前にもアコンカグアを一緒に登っている。現在、ニセコ雪崩情報センターの局長や夏場は知床を中心としたカヤックのガイドを行っている。登山家であった彼は以前もヒマラヤを中心とした登山を行っていた。今回父がエベレストに登るというので、数十年ぶりにエベレスト街道を歩く決意をしたという。

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再会を喜んだのもつかの間、どっと高度順化の疲れが出たため、お昼を食べてそうそう自分のテントに戻って横になった。しかし、寝ようとしたがテントの中は暑いうえ、これまで書き溜めた日記を送るのが気になった。兄に言ってネットワークを繋ぎどうにか日記を送る。ネットワークテントで気になったのが僕の風貌だ。自分の顔をカメラで撮ってみると、髭が生え、顔はまだらに日に焼け、ひどい顔をしている。ネットワークもなかなかつながらないので、ダヌルに言って、バケツにお湯を入れてもらいシャワーテントで体を洗う。頭からあったかいお湯をかけると何とも言えない心地よさ!!久しぶりにリフレッシュして疲れが少し和らいだ。

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夕食時、少し元気を取り戻した。ここで、僕たちがいない間の父のトレーニング状況を聞いてみた。父は僕たちが高度順化をしている間、逆に酸素を摂取して体力の回復を図っていた。今回導入した新兵器、パルスドースシステムといって、お父さんが吸気するのに合わせて酸素が鼻に排出される。このおかげで必要な量だけ酸素がでるのでとても経済的でしかも日中も夜間も使える。特に夜間はよく眠れるらしく、これまで8回以上おしっこに起きていたのが、2~3回にしか起きず朝を迎えられるという。この効果に関しては昨晩顕著にわかることがあった。機械の誤作動で夜中に酸素の吸入が止まってしまった。そのままでも大丈夫だろうと思い、そのままにしておいたら、体が異常に冷えたという。酸素は体の代謝をつかさどるのだ。

現在、酸素を吸入することによって標高を3000m程度まで体感で下げている。気になるのは順化が戻らないかということだが、これまでじっくり1か月以上かけて順化を行っているので、数日程度の酸素は体を回復させる効果の方が高く、順化を損なうことはないという。実際、エベレスト登頂前、体を休ませるために一旦、標高を下して4~5日ほど休む。これは物理的に標高を下すのではなく、肉体的に標高を下すシミュレーションだ。

夕食の時、兄から最新の天気予報を聞いた。すると現在、サイクロンらしきものが発達し始めている。これがサイクロンとなると5月12~15日の間にエベレストに届くという話。そうなると風速50mほどの風が吹きすさび、到底登頂どころか高度を上げることも難しくなる。そうなると、ベースキャンプにてそれが今後どうなるか見据えてモニターすることになる。本来は4日間の休養ののち、9日頃の出発、17~18日登頂予定を考えていたが、こうなるとこのサイクロンの発達状況を見守らなければいけなくなる。

父のトレーニングの予定も明日が酸素吸入最後の日と考えていたが、もう1~2日酸素吸入にあてることができる。

夕食時に父、倉岡さん、大城先生とこれからの登山計画とトレーニング計画を議論したが最後は、結局いつもどおりの下ネタになった。倉岡さんをはじめ、皆だんだん元気が回復したということだ。


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