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MIURA流 登山塾「ippo」

ミウラ・ドルフィンズでは鹿屋体育大学の山本正嘉教授をはじめ三浦雄一郎・豪太親子とともに、より快適に、より安全な登山を行うためのデータを測定し、登山者のための実践的なトレーニング方… もっと読む
毎週月・水・金曜日の12時に更新!このippoマガジンでは、科学的な根拠のあるMIURA流のトレー… もっと詳しく
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2020年5月の記事一覧

エネルギー摂取の基本

1.基礎代謝としてのエネルギー人は生活をする上で、体の外からエネルギーを摂取しなくては、活動ができません。何もせずにじっとしているだけでも、生命活動を維持するためにエネルギーは必要で、その際に消費しているエネルギーを基礎代謝量といいます。基礎代謝量の約1/3は心臓などの臓器、2/3は筋肉やその他の臓器の活動、そして体温維持に使われています。性別や年齢、外気温、栄養状態などによって個人差はありますが、基礎代謝基準値と基準体重をもとに、基礎代謝量を算出することもできます。さらに、

いつもこの時期はソワソワする

毎年、5月後半のこの時期は期待と不安と心配と・・・色々な気持ちが混同して、なんだかソワソワしています。 なぜならエベレスト登頂に向けて、たくさんの登山隊が登頂に向けてアタックする時期だからです。私の職場の代表である三浦雄一郎が70歳で登頂する際に、現地から送られてくるデータの解析をしていた頃から、わずかながら「エベレストへの挑戦」というものが身近にありました。 そして、今の職場で働き出してからは毎年のように、エベレスト登頂を目指す方を日本から見送る仕事をさせていただいてい

登山に最適なペース

登山に出発する際に、自分で計画を立てる際は、まずは目的地の情報を収集すると思います。最近は、登山ルートの地図やコースタイムもインターネットなどで簡単に調べることが出来るようになりました。また、天気予報や、最近のコース情報なども同様に調べることが出来るようになりました。 安全に登山を行う上で大切なのは、自分の体力に合った山を選択することです。登山のガイドブックに記載されている「一般レベル」のコースタイムは、上りでは1時間当り約300mの上昇、下りでは約450mの下降を行うよう

靴とザックの重さに慣れておこう

1. 靴の重さと筋活動量 私たちが普段履いている靴がどのくらいの重さか知っていますか。男性用のスニーカーで約300〜400g、革のビジネスシューズで約400〜500g、女性用のスニーカーで約200〜300g、パンプスで約200gです。それでは、登山靴の重さはどれくらいでしょうか。ローカットシューズで約400g、夏山使用のハイカットシューズで約500〜600g、3シーズン用で約700g、雪山用で約900g、ちなみにエベレストなどの高所登山用になると約1,300gです。 時々し

室内でも強度の高いトレーニング

なんだか天気が不安定な最近。天気がいい日は外で体を動かす時間を作ろうと心がけていますが、悪天候の日はそうもいきません。(少しの雨の場合は外でランニングすることもありますが)悪天候だった先日は、自宅でもうまく体力維持をしようと、メニューを書き出して家族で実践しました。 まず、準備運動と持久力トレーニングを兼ねて、スロージョギングを15分間行いました。1秒間に3歩のリズムで小走りに、廊下や部屋を走りました。音楽を聞きながらの15分間。はじめは涼しくて部屋の窓も閉めたままでしたが

バランスは着地面の状態で変化する

1. バランス力と年齢、着地面との関係若い頃と比べ、加齢とともに筋力が低下しますが、それ以上に加齢により低下してしまうのが、バランス力です。バランスを司るのは「視覚器」「体性感覚器」「筋紡錘感覚器」の3つの感覚器です。その感覚器が人間の重心のズレを感知し、補正しようと運動神経を介して筋肉に伝え、多くの筋肉でバランスを保っています。この能力は40歳を過ぎると急速に低下し、60歳になると20歳のときの30%くらいにまで低下してしまうと言われています。また、加齢とともに視覚でしかバ

呼吸筋のケアとトレーニング方法

1. 呼吸筋のケア 呼吸筋のストレッチを行う前に、筋をほぐすところから開始します。安静時も運動時も働いている肋間筋ですが、肋間筋はその名の通り、左右の肋骨の間にある筋です。肋骨は片側に12本ありますが、その全てに筋があるのです(呼吸筋のイラストはこちら)。肋間筋に沿って、指でほぐすことで筋肉の緊張が和らぎます(図1)。 ほぐした後は、呼吸筋を伸ばすストレッチを行いましょう。ボールなどを使うと、簡単に気持ちよく呼吸筋を伸ばすことができます(図2)。 2. 呼吸筋のトレーニン

競技スポーツを行なっていた頃

毎週月、水、金曜日に更新している、登山塾「ippo」。水曜日は私(安藤真由子)のトレーニングなどについてお伝えしています。最近、自分自身が行なってきたことについて、振り返るきっかけがありました。日頃から過去を振り返ることはよくあるのですが、登山のことや、仕事のことが中心でした。それが、今回の振り返りは、私が学生だった頃に自転車(ロードレース)を競技として行なっていた時のことについてでした。 私は鹿屋体育大学の自転車競技部に所属していて、ロードレースとトラックレース(3kmと

大活躍の呼吸筋

私たちが普段から無意識に行っている「呼吸」。しかし、呼吸を継続するためには呼吸筋が活動しているのをご存知でしょうか。登山を行うときだけでなく、日常生活さらには睡眠中にも働いている呼吸筋。そのトレーニングとケアをすると、パフォーマンスアップだけでなく、ストレス解消にもつながります。 1. 呼吸筋ってなに? 私たちは呼吸することによって、酸素を身体に取り入れ、二酸化炭素を体外に排出することで生活しています。呼吸は無意識で行っていることがほとんどですが、1日あたり何回くらい行って

自分の持久力トレーニングを見つけよう

前回、「私なり」の持久力トレーニングをお伝えしました。「え〜?こんなにできない(>_<)」「あれ?意外とできる(^^)」などそれぞれ感想があるだろうな、と思います。それぞれ、自分に合ったトレーニング法を見つけて行うことが重要なのですが、今回は様々な持久力トレーニングの紹介と、行う上で大切な「強さ(きつさ)」の基準をお伝えします。 1.トレーニングの強さ(きつさ)の指標持久力トレーニングを行う際に、その強度(きつさ)を決めることは重要なことです。持久力を決める要素は3つありま

持久力トレーニングの実践(安藤真由子編)

実際に、持久力を上げるためにどのようなトレーニングがあるでしょうか。今までも「トレーニングが大事」「目的を持ってトレーニングしましょう」とお伝えしてきましたが、実は私、計画を立ててトレーニングをすることはあまり得意ではありません(何を今さら・・・という感じですよね)。以前、旅行会社さん主催「登山のための体づくり」講習会で、参加されている方に「トレーニングというとどんなことを思い浮かべますか?」と聞いたことがあります。みなさんとても正直な方々で、「きつい、つらい、しんどい」と回

登山のペースを決める要因

同じルートを登っているのに、人と比べた時に“きつさ”が違うことってありますよね?Aさんは息も切れずにスタスタ登っているのに、自分は大汗をかきながらゼーゼー言いながら登っている。「あ〜、体力がないな・・・」と感じることがあると思います。登山中のトラブルを聞いたアンケートでも「のぼりでの息切れ」は回答の上位にありました。 そもそも、「体力」とか「持久力」とはどういうことなのでしょうか。今日は登山のペースを決める要因の一つである「持久力」についてお伝えします。 1.持久力ってな

登山中の筋肉の働き

1. 筋肉の動き方私たち人間の筋肉は約650個あり、そのうち約400個が運動に携わる筋肉と言われています。日常生活を送っている時も、平地を歩いている時も、山を歩いている時も、様々な筋肉が連動しながら動きを支えているのです。その筋肉は、大きく分けると3種類の動きがあります。 【筋肉の収縮様式】 短縮性収縮・・・筋肉が縮むことで力を出す  登山中の登りでの太ももの前面(大腿四頭筋)の動きが短縮性収縮 伸張性収縮・・・筋肉が伸びることで力を出す  登山中の下りでの太ももの前面