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若手弁護士「ホンネ調査」Vol.8:“M&P新卒1期生”の74期がホンネで語る「三浦法律事務所」を選んだ理由とそれぞれの現在地(前編)

2019年創業の三浦法律事務所は2020年に新人弁護士採用を開始し、2022年に初の新卒となる74期が入所しました。以降、毎年継続して新人弁護士の採用活動を実施しています。

“三浦法律事務所の新卒1期生”として入所した74期5名も弁護士になって丸2年が経過しました。そんな5名の目には、当時の三浦法律事務所(以下、M&P)がどう映っていたのか、そして弁護士になって2年間、どのような選択をして今に至るのか、それぞれのホンネを聞きました。前編では、就職活動当時を振り返ってもらい、ファーストキャリアとしてなぜ知名度が低かったM&Pを選んだのか、それぞれの思いを聞きました。

(左から)中村 朋暉弁護士、豊島 諒弁護士、渡邊 隆之弁護士、新岡 美波弁護士、芝上 理弁護士

――みなさんは“新卒1期生”ということで、当時の新卒の就活市場において、M&Pの知名度は今と比べたら低かったと思いますし、得られる事務所の情報も限られていたかと思いますが、なぜM&Pを選んだのでしょうか。

中村朋暉弁護士(以下、中村):私は、多くの事務所がウィンタークラーク・プログラム等を実施している時期に10以上の事務所を訪問しましたが、その中の1つにM&Pも含まれていました。さまざまな事務所を訪問し、さまざまな先生とお話しさせていただいたのですが、話を聞けば聞くほど自分に合う事務所・自分が行きたい事務所がよく分からなくなってしまい(笑)、最終的には、事務所の雰囲気や自身の直感を大切に事務所選びをすることにしました。

――最初はどんな基準で選ぼうと考えていたのでしょうか。

中村:その事務所が取り扱っている業務分野や若手弁護士の案件への携わり方など、弁護士業務に直結する要素を軸に選ぼうと考えていました。ただ、M&Pのウィンタープログラムに参加した際、三浦弁護士をはじめ、多くの弁護士が気さくに話しかけてくれたり、スタートアップのインキュベーション施設内にある渋谷オフィスを見せてもらったりして、難しいことは抜きにして、一番楽しかったなという印象が強く残りました。それからはM&Pを就職活動中の第一志望として掲げていましたね。

――弁護士に限らず、就活のときってずっと先の将来のこととかも真剣に考えるがゆえに頭でっかちになりがちですが、中村弁護士は直感を大事にしたんですね。74期が参加した「ウィンタープログラム」は、M&Pとして初めて実施したウィンタークラークになりますが、当時はまだ弁護士の人数も41人くらいと今の半数以下くらいでしたよね。

中村:そうですね。アソシエイトもまだ6人くらいしかいなくて、ほぼパートナーしかいなかった時代です。そのため、個別訪問(採用面接)の際も、多くのパートナーと面談した記憶があります。当時の面談には弁護士が10人以上参加していましたね(笑)。当時はコロナ禍だったので、オンライン面談を実施する事務所も多かったですが、M&Pは対面で面談を実施していたことも印象的でした。お互いを理解しあうために、あえて対面で実施していることが面談を受ける側にも伝わったので、私は対面形式で良かったなと思った記憶があります。

――豊島弁護士はどうでしたか?

豊島 諒弁護士

豊島諒(以下、豊島):私は最終的に外資系事務所とM&Pで悩みました。ファーストキャリアということもあり、事務所の規模や安定感、ネームバリューなどに惹かれる部分もありましたが、最終的には事務所の雰囲気やそこで働く弁護士の人柄で決めました。

――どういうところからM&Pの雰囲気や所属弁護士の人柄を感じ取ったのでしょうか。

豊島:私は司法試験後に初めてM&Pを知ったのですが、面接の場で多くの弁護士と対面で話せたという点が大きかったように思います。「志望動機は?」といったお決まりの質問ではなく、一緒に働く仲間として、私の人となりを知ろうとしてくれていると感じる質問が多かったですし、弁護士同士の雑談など、ちょっとした会話の雰囲気が良かったのもM&Pを選んだ決め手の一つでした。

――渡邊弁護士は関西からの応募でした。関西にもたくさん事務所はあるわけですが、あえて知名度が低い東京のM&Pを選んだ理由は?

渡邊隆之弁護士(以下、渡邊):理由は色々あるのですが、最終的には、「謎の事務所だったから」選んだという理由に集約されますね(笑)。

――そもそもどのようにしてM&Pを知ったのでしょうか?

渡邊:アットリーガルのウィンタークラーク案内のメールで知りました。特に東京の事務所についてはあまり情報を持っていなかったので、とにかく自分の目で見てみようと東京大阪問わず、多くのウィンタークラークに参加しました。最終的に参加したうちの8割くらいの事務所はどこかしら「良いな」と思うポイントがあって、採用されるのであれば行きたいと思える事務所でした。ただ、逆に言うと決め手が分からず…。そんな中、M&Pは今後どんな事務所になるか分からなくて、ちょっと浅い言い方ですが、入る前から唯一「ちょっと楽しみだな」と思えた事務所でした。

――「楽しみだな」と思ったポイントはどこにあったのでしょうか。

渡邊 隆之弁護士

渡邊:大半の事務所はM&Pよりも歴史も知名度もありましたし、規模も大きかったので、事務所の継続性や教育体制などの面ではファーストキャリアとしての安心感があるなと思っていました。ただ一方で、弁護士として自分は“one of them”になってしまうかもしれないという不安もありました。M&Pの場合、仕組みや体制が万全でない部分もあるでしょうし、アソシエイトの人数も少ないので大変なことはたくさんあると思いましたが、その分1人が経験できる内容や範囲も深く広いのだろうという期待がありました。それに、これからどんどん変わっていくであろう事務所の中にいられる楽しみを感じたいという気持ちが湧いてきたんです。

――新岡弁護士は、M&Pにとって新卒としては初の女性弁護士でした。M&Pを知ったきっかけは?

新岡美波(以下、新岡):友人がM&Pの説明会に参加すると聞いて、私も参加してみたのがきっかけです。できたばかりの事務所とは思えない説明会のクオリティだったのが印象的でした。また、三浦弁護士が描くM&Pのビジョンや新卒を育てたいという思いなどが自分に強く刺さったのと、自分が一女性弁護士としてこの事務所で長期にわたって経験を積んでいけるというイメージを描けた点が事務所選びの決め手になりました。事務所を設立して間もない時期ではありましたが、すでに多くの女性パートナーが参画しており、説明会や面接では多くの女性パートナーにお会いできたので、自分の弁護士としての10年後をイメージしやすかったというのもあります。それでもM&Pに行くかは、慎重派な自分にとっては冒険であったので最後まで悩んだのですが、面接のたびに真摯に相談に乗ってくれたM&Pの弁護士たちの言葉の裏に根拠と自信を感じて信じられたことが最終的な決め手になりました。

――広島オフィス採用の芝上弁護士は、他の4人とは違うルートでの採用でしたよね。M&Pを知ったきっかけや採用に至った経緯は?

芝上理弁護士(以下、芝上):私は、地元は広島ですが、ロースクールは東京だったので、サマークラークなどで東京の法律事務所を知る機会はそれなりにありました。周りが企業法務を中心とする大手事務所を目指している様子を見ていて、自分がそのような分野を取り扱っているイメージが持てず、もしかしたら自分が希望する進路は別にあるのかもしれないと考えるようになりました。というのも、私が弁護士になりたいと思ったのは、会社といった大きな依頼者を念頭に置かず、地元の人や自分の周りの人々の悩みを解決したい、助けになりたい、という単純かつ漠然とした理由からでした。その思いがロースクールを卒業しても結局変わらなかったので、弁護士になったら地元の広島に帰って、一般民事を専門にする、いわゆる“街弁”になりたいと考えていました。ですが、広島の法律事務所を探すにしても、学生時代は広島から離れていてツテもなかったので、基本的にはウェブサイトを検索して探すしかなかったんです。そうやって探していたところ、M&Pの広島オフィスが出てきて、広島オフィスの代表が田口弁護士だということを知りました。

――田口弁護士とは面識があったんですか?

芝上:いえ、直接面識はなかったのですが、森・濱田松本法律事務所のサマークラークに参加したときに、OBに広島で独立した弁護士がいるという話を聞いていて、それがまさに田口弁護士の話だったんだと気づきました。

(編集注:田口弁護士が開業した紙屋町綜合法律事務所は、2019年に三浦法律事務所の広島オフィスとして合流しました。(正式名称:弁護⼠法⼈三浦法律事務所 広島オフィス))

他方、田口弁護士のキャリアのスタートは企業法務を扱ういわゆる“四大事務所”だったので、「広島でも企業法務を扱っているんだろうな、自分がなりたい“街弁”像とは違うかもしれないな」と考えていました。ですが、何かご縁のようなものを感じて、ウェブサイトの問い合わせフォーム経由で時間を作ってもらえないかと連絡してみました。

――広島オフィスは当時、新規採用はしていなかったので突撃したわけですね。会ってみてどうでしたか?

芝上 理弁護士

芝上:まず、田口弁護士の人柄に惹かれました。また、田口弁護士が広島で独立した理由と私が広島で街弁をやりたい理由も共通する部分が多いなと感じました。田口弁護士も同じように考えてくれたのだと思います。その結果、初めの数年は東京オフィスで働いて、数年後に広島オフィスで働く前提で採用が決まりました。

――初めから広島で働きたいという思いがあったのでは?

芝上:正直、そういう気持ちはありました(笑)。でも、東京オフィスで最終の顔合わせ面談をしたときに、私のことを知ろう、事務所の雰囲気を知ってもらおうという思いが伝わる面談だったことと、田口弁護士からも東京で働くことで経験できることも多いと言われたこともあって、最初の2、3年は挑戦という意味も込めて東京で頑張ろうと思うようになりました。

――みなさんそれぞれのエピソードが聞けておもしろかったです。話を聞く限りでは、前例がないことに不安を感じていない人が多かったみたいですが、思い切りのいい5人が集まったのでしょうか(笑)。

新岡:私は、安定が大好きですし不安も大きかったです(笑)。でも、面談で不安なことを包み隠さず全て話した結果、面談に参加した弁護士も全員が私の目をしっかり見て率直に答えてくれて、その姿勢にすごく安心できたんですよね。入所してからも、全体会議などに出席すると、M&Pのさまざまな意思決定場面に立ち会いますが、「あのとき聞いていた話とは違う」と思うことはないですし、何も心配いらなかったなと今は実感しています。

INTERVIEW & TEXT:YU HIRAKAWA
PHOTO:SHUHEI SHINE

(後編につづく)

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