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子供中心の少年野球が未来人を育む

そろそろ大人中心から子供中心の野球にしませんか。少年野球はだれのためのものか、その本質に立ち返る必要があると思います。

私は少年野球は「子供中心」の野球、プレーヤーズファーストが理想だと考えています。あくまで、私の主観的な考え方です。

今から15年ほど前、私は、仕事の関係でアメリカに駐在勤務していた経験があります。私が子供の時から野球少年だったことを知っていた職場の同僚のアメリカ人から、「今度の土曜日に子供の野球の練習があるんだけど、手伝ってくれないか」と相談されました。
同僚の子供さんが野球に夢中になっていて、親御さんがボランティアスタッフとして、チームの練習の手伝いをしている様子でした。
私は、「いいよ!」と返事をし、約束の土曜日に少年野球の練習手伝いに同僚と参加しました。
練習に参加して、一番びっくりしたことは、全員打ってから交代というルールで練習試合を行うことです。野球のルール上、本来は、3アウトで攻守が代わるのがルールなのですが、全員打ち終わってから攻守が代わるのです。野球は9人でやるものだと強い固定観念がありますが。

指導者側が子供の参加人数に合わせて、柔軟にルールや練習メニューをアレンジしているのです。

そこには何のお仕着せも、教え過ぎも存在せず、ボールゲームを楽しむという「プレイフル・ベースボール」がありました。

私の同僚のアメリカ人の子供さんは、10才です。日本の少年野球(硬式)を経験してきた私からすると、正直、やり方の違いに戸惑いがありました。

今日の野球は15人ずつで行うもの、徹底的に打って、打って、打とうぜ!というノリでコーチングしている姿が印象的でした。この光景ってどこかであったなあ・・・と記憶を探ってみると、私が小学4年生ぐらいの時までさかのぼりました。
そういえば、子供の時は、9人いなくても集まった人数で勝手に野球ルールを作って遊んでいました。まさしく、プレイフルベースボールでしょうか。架空ランナーとか、一番かっこいい場面で自分がピッチャーか、バッター役を演じるなど、自由に想像して、遊んでいました。ずいぶん昔の話ですが・・・。

日本の少年野球の現場に足を運ぶと、ウォーミングアップからはじまり、キャッチボール、シートノック、フリーバッティングとシステマチックに練習が流れていきます。この光景はどの少年野球チームも大して変わらない練習の流れです。アメリカの少年野球の練習は、子供のやりたいことから取り組ませたり、子供に簡単なアンケートに答えてもらったり、野球を教えるというよりも、野球の楽しさを学ぶという表現があっている気がします。

そのためには、指導者は、創意工夫をしながらチームマネジメントをしなくてはなりません。

野球とベースボールが違うということの現れなのでしょうか、それとも、アメリカと日本の文化や国民性の違いなのでしょうか。
日本における野球文化は、学校教育、体育とともに発展してきた歴史がありますので、教育としての野球が根強くある傾向があります。アメリカは、ボールゲーム、スポーツとして発展してきた過程がありますので、同じルールであるにも関わらず、野球とベースボールは似て異なる競技といえるかもしれません。しかし時代は、グローバル化。野球界もグローバルな視点で眺めていく時期にきており、令和の時代は昭和の時代とは違うのではないかと思うのです。
トップオブトップのプロ野球選手は、日本球界を足掛かりにメジャーリーグを目指していたり、また、オリンピックを含む国際試合も数多く行われており、侍ジャパンプロジェクトとして各世代が国際試合に統一のユニフォームでのぞんでいます。

野球を愛する少年たちすべてがプロ野球選手になるわけではありませんし、メジャーリーガーになるわけではありませんが、未来に向けて活躍できる人材の育成として、少年野球の機能と役割を意味づけるなら、やり方を変えて行うことが時代とともに求められているのではないでしょうか。


子供が心の底から野球が楽しいと感じられるグランドの場、フィールドオブドリームスの原点は、「好きな野球において、ベストを尽くす」ではないでしょうか。

私が研究を進める経営学においては、ステークホルダーという言い方があります。

「ステークホルダー」の意味は、企業経営における利害関係者です。
株主・経営者・従業員・顧客・取引先はもちろん、金融機関や競合企業、地域社会や行政機関等も含まれます。
エクセレントカンパニーと呼ばれる企業や100年続く企業の共通点として、従業員を大切にするという従業員中心における企業経営を実現しています。

少年野球の現場においても複数の利害関係者がいます。
少年野球のオーナー、監督、コーチ、選手、親御さん、進学する高校など、それぞれの利害関係は必ずしも一致しません。
少年野球においても最も重要なステークホルダーは誰かということのチームマネジメントの「在り方」を明確にしていかなければなりません。
似たような言葉に、「ストックホルダー」がありますが、ビジネスでいうストックホルダーは、ステークホルダーの中の株主だけを指します。

少年野球が大人のものという「ストックホルダー」になることなく、チームが運営されていくことを原点に立ち返り、意味づける必要があります。

何が本当に子どもの為かを考えること、それが、少年野球を取り巻く指導者や大人たちのスポーツマンシップの一要素ではないかと個人的には思います。

少年野球においては、大人がストックホルダーになってはいけないはずです。支援型のリーダーシップを指導者やチーム関係者が発揮できるとき、プレーヤーズ・ファーストの理念を現場で実行できるのではないでしょうか。


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