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柿の種、7対3誕生のマーケティング戦略とは?

亀田製菓のマーケティングトレース

会社名:亀田製菓株式会社
業界:菓子の製造販売事業
代表者名:田中 通康さん
理念・ビジョン:
ミッション(理念)
・私たちは、自然の恵みを活かし、「健康」「おいしさ」「感動」を創造します
・私たちは、世界の人々の生活に喜びと潤いをお届けし、より豊かな社会に貢献します
ビジョン
米菓で培った伝統の技を革新し、各地の食文化と調和することを通じて、世界の人々に愛されるブランドを目指します
売上高・営業利益:1038億円・58億円(2020年3月期)
従業員数:3,379名(2020年3月31日現在)
トレース目的:柿の種とピーナッツの比率を変えるに至った背景と、変えることを活かしたマーケティング戦略を学びたい。

亀田製菓とは?

「男性はどぶろくで気晴らしが出来るが、女性や子供には楽しみといえるものがない」。戦後の食糧難の時代、「生活に喜びと潤いをお届けしたい」という想いで創業者古泉榮治はお菓子の製造を始めました。」
食が多様化する中でも、日本人の食の基本である「お米」を素材として、米菓を作っている会社です。
今回対象としている「柿の種」以外にも、”ハッピーターン”や”ぽたぽた焼き”など多くの方に知られる商品を製造・販売しています。

マーケティングトレース参考URL

・亀田製菓株式会社
 https://www.kamedaseika.co.jp/cs/
・新潟米情報センター
 https://www.niigatamai.info/public/detail/ID/803/c/6
・落花生、一転して苦境に 中国の不作に疾病追い打ち
 https://shokuhin.net/28749/2020/02/17/topnews/

3C分析

Customer(顧客)
米菓の中でも「おつまみ系」に分類される柿の種は、お酒やジュースのアテにしている人をターゲットにしていると考えています。
このおつまみ系の中でも辛い味系の”柿の種”以外のお菓子を挙げると、
・カラムーチョ
・暴君ハバネロ
があります。
これはつまり、単純な塩味系では満足できない辛い系へのニーズがあると仮説が立てられます。
Company(自社)

亀田製菓ブランド

コメどころの新潟に本社を構え、お米を活かした価値の創造によって米菓を製造、販売しています。

米収穫量

この令和元年のデータからも全国トップの収穫量を誇る新潟県のお米を最大限活用していると分かります。
一方の弱みは、天候によって収量が変動してしまうことです。
品種改良や生産技術が向上しても、天災が起きると大幅に収穫量が減ってしまう点は弱みと言えるのではないでしょうか。
Competitor(競合)
辛い系のお菓子とくくった時、
“カラムーチョ”の湖池屋と、”暴君ハバネロ”の東ハトが競合だと考えました。
情報をまとめると以下の通りになります。

辛い系商品

3C分析からの考察

“おつまみのアテ”ポジションにはカラムーチョもありますが、ジャガイモが原料であるのでおかきなどの米菓好きの方との「食感による差別化」がされており、柿の種のシェアを脅かす可能性は低いと考えられます。

PEST分析

続いて、どんな外部環境が亀田製菓のビジネスに影響を与えているかを分析していきます。市場のマクロ環境を分析するためにPEST分析から考えてみます。
Politics(政治)
米菓の原料である田んぼを維持する農業の担い手の高齢化と不足。
地球温暖化による雨量と気温の変化。
Economy(経済)
柿の種とピーナッツの比率を「6:4」から「7:3」に変えると目にした時、ピーナッツの原価が上がったからではないかと仮説を立てました。
その根拠として、3つのことが分かりました。
・供給量の約半分を占める中国産の不作により、12~13%高騰。
・搾油向け落花生原料を、現地の業者が高値で買い集めている。
・コロナウィルスによって移動が制限され、落花生工場の働き手が少ない
※2020年2月17日、「落花生、一転して苦境に中国の不作に疾病追い打ち」より。
Society(社会)
日本の食の基本である、お米離れが進んでいる。
米菓に限らず、お菓子の種類の多様化。
ピーナッツをいらないと考える顧客の声。
低アレルギー食品であるお米が海外で人気。
Technology(技術)
柿の種を作るにあたっての技術的な要素が分かりませんでした。

PEST分析からの考察

PEST分析の結果を踏まえて、柿の種は他の辛い系のお菓子と差別化されており、ポジションは安定していると考えています。
しかしながら、そもそも論として米菓の原料であるお米の生産量をいかに安定させるか?が最も重要になってきそうです。

亀田製菓のマーケティング戦略とは?

上記の3C分析とPEST分析を照らし合わせて見ると、柿の種の商品ブランドそのものを見直すポイントが浮かび上がってきました。
それは、顧客が米菓に望んでいることはピーナッツではなく米菓そのものではないかという仮説です。
私の周りでも、「柿の種のピーナッツはいらなくて、食べたいのは柿の種の方」だと言っていました。
これは極端な意見かもしれません。
しかし、”柿の種とピーナッツの比率を変える”今回のキャンペーンは、
「そもそもピーナッツへの需要があるのか?」と商品を見直すキッカケをTwitterで発信し、顧客の声をもとにして商品をマイナーチェンジする施策を取りました。
この施策の素晴らしい点は、企業の思い込みではなく顧客の声を根拠に変えたことです。
結果として、原価の高いピーナッツを減らし、顧客の生の声を獲得しつつ、
キャンペーンによる集客もすることで、お菓子の内容量が変わるマイナスになりそうなテーマをプラスに変えた点が亀田製菓の素晴らしいマーケティング戦略だと考えました。

自分がCMOだったら?

厳選したお米で作った「プレミア柿の種」を販売します。
この告知をTwitterで行いつつ、パッケージもプレミア仕様にします。
限定販売として価格も10倍にして柿の種を古くさせない施策を取ります。

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