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Stones alive complex (Libyan Desert Glass)

やってくる。
やってくる。
やってくる。
 
彼女は、2022年仕様の電動バイクでやって来る。
常温超伝導発電のエンジンが唸り、
環状線に長いタイヤ痕を描いて、
憑りつかれたような目をして追いかけてくるピエロの愚連隊を、蹴散らしてゆく。
健康状態は優良。
精神状態は揮発性燃料。

彼女は、自分磨きなんて要らないらしい。
現実と呼ばれるヤスリは、予測を超えたところを擦ってくるってさ。
彼女は言うんだ。
「平時に流行ったスピリチュアルは、有事には使えない」
「平時に見つけた自分は、有事には逃げ出す」
もうひとつだけ彼女から言われたこと、それは。
「あんたが見つけられるのは、自分と自由というものを成り立たせている前提条件だけよ」
 
彼女は、過越し祭りの神輿を担いだそうだ。
かじったリンゴ団、
AからZまでニッコリ団、
回転検索団、
ワンワールドをオーダーするより、
ニャンワールドをオーバーミーしたんだって。
椅子取りゲームに巻き込まれるより、
椅子職人を目指したらしい。
 
今から行けるか?って。
忘我の境界線をオーバーミーした未来に建つ神殿へ。
それぞれのイメージでいいってさ。

行けたら行けるの口約束の、なる早でいい。
万障繰り合わせて。アポ擦り合わせて。

やってくる、やってくる。

彼女が好きなのは、タイムラインのジェットコースター。
光の速度は、絶対座標ではなく相対座標の系で動くんだって。
そこから導き出される法則は。
24時間はみんなに平等に与えられているけれど、時間配分は平等じゃないんだって。
最初の警報が鳴る時。
彼女は「6足す6足す6は、一か八か」だと言う。
よく見えない場所で鳴るからね。

さぁ一緒に、今すぐ。
明日の向こうへ。
 
解き放て。
解き放て。

(おわり)

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