マガジンのカバー画像

映画ノート

19
運営しているクリエイター

#パラサイト半地下の家族

映画ノート⑩ エンタメ系社会派映画『パラサイト 半地下の家族』

『パラサイト 半地下の家族』は、観る前は韓国の格差社会を真正面から告発した映画だと思っていましたが、少し違っていましたね。正攻法の告発調リアリズムではなく、コメディなどのエンタメ系手法をうまく使い分けることで韓国社会の絶望的な貧富の差を浮かび上がらせていくなかなか斬新な構造の映画でした。 主人公の家族全員が次々と調子よく金持ち家族に取り入っていく前半は痛快コメディ、豪邸の地下シェルターで鉢合わせした二組のパラサイト家族が貧民同士いがみ合う中盤ではサスペンス調が加味され、流血

映画ノート⑥ 社会問題に真正面から挑んだリアリズム映画『岬の兄妹』

「岬の兄妹」はある意味、「万引き家族」や「パラサイト 半地下の家族」を上回る衝撃作。 港の近くのあばら屋で二人だけで暮らす兄妹。 兄は片足が不自由な身体障がい者、妹には重度の知的障がいがある。 兄が職場をリストラされたためにすぐに困窮し、電気を止められた上に食料も底をつく。 飢餓状態に陥った二人は、ごみ置き場を漁る。 やっと見つけたピザの食べ残しもホームレスに横取りされ、ついには内職にしていたポケットテッシュまで口にするところまで追いつめられる。 以前、妹が見知らぬ男に