映画ノート⑭ 『海辺の映画館―キネマの玉手箱』~「戦争は絶対にしてはならない」とのメッセージが込められた大林監督の遺作
大林宣彦監督の遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は、監督の映画人生の集大成的な作品だった。
ロジェ・ヴァデムの耽美的吸血鬼映画『血とバラ』(原作ジョセフ・シェリダン・レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』)にオマージュを捧げた最初期の自主製作映画『EMOTION 伝説の午後 いつか見たドラキュラ』以来培ってきた映画への愛、晩年になって更に顕著になる反戦思想、戦争映画に対する批判、怪奇幻想映画趣味、アバンギャルド的手法など、映画キャリアの全てを注ぎ込んだ驚異のパワーに満ちた