Vol.001 セルフメディケーション
リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.001
2019/08/30配信 (一年間限定)
こんにちは。リハラボの廣谷です。
このノートは、毎週金曜日にLINEのOpenChatで配信する予防医療ノートです。
予防医療に関するトピックス、ニュース、論文、動画などをお届けします。
これからの日本の未来は、「自分の健康は自分で守る」時代に突入しました。
自分の健康を守るための、知識や技術、アイデアなどを提供していきます。
目次
①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④予防医療動画
⑤Q&A
①今週のテーマ
予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。
テーマ「セルフメディケーション」
セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)は定義しています。
これからの日本で生きていくためには、間違いなく「セルフメディケーション」の考え方が必要となるはずです。特に家庭を守る大黒柱になる人には、この考え方は身に付けて頂きたい。なぜなら、これが家族を守るツールになるはずだからです。
昔の日本は、一家に一冊は「家庭の医学」のような医学本があったといいます。また、「おばあちゃんの知恵」を使って、病気に対処していたといいます。
昔の日本は、「セルフメディケーション」が家庭に浸透していた。いや、生き残る手段として浸透せざるを得なかったのではないでしょうか。
現在の日本はどうでしょう。「セルフメディケーション」の考えがなくても、医療機関などに「外注」すれば手軽に解決することができます。そうなると必然的に「セルフメディケーション力」は低下します。
これからの日本の未来はどうでしょうか。
日本の未来はかなり厳しい予測です。
日本の医療保険制度や介護保険制度、年金などの生活保障は、現状のままでは持続不可能であると言わざるを得ないでしょう。
その要因は、大きく分けて三つあります。
①日銀と日本政府による金融緩和政策の失敗+債務残高1200兆円
②少子高齢化による生活保障の急激な費用増加
③世界経済の信用不安による連鎖的な世界大不況の可能性
この三つによって、日本の医療保険制度や介護保険制度は、変化を余儀なくされると考えます。
これは私見であるが、今後30年後は医療や介護費用の負担が大きくなると見ています。以下四つを挙げます。
①医療保険は5~6割負担
②介護保険は3~5割負担
③年金は現在の水準の半額程度
④定年は80歳まで
ざっくり試算して、将来の日本はこのような負担になってもおかしくはないと見ています。
こうなると、もはや医療や介護は贅沢なサービスであり、一部の富裕層が使うサービスになると見ています。
一方、大多数の国民は、医療や介護の贅沢なサービスはかなり制限される可能性があります。
こうなると、家庭の健康を守るためには「セルフメディケーション力」を上げる他ありません。
今こそ、昔の日本を見習って「セルフメディケーション」を上げるために何をすべきか、どのように家族の健康を守っていけばいいか、各々が考えなければいけない時期なのではないでしょうか。
②予防医療ニュース
今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。
~ 転載↓ ~
若い血液注入でマウスが“若返り” 人間への応用は「秒読み」とも
太古の時代から人々の夢だった"若返り"。それがいよいよ"秒読み段階"だとする研究結果が出た。
明らかになったのは、神戸医療産業都市推進機構のプロジェクトである「若返り」の研究結果。米ワシントン大医学部教授で同機構の客員上席研究員である今井眞一郎氏によると、人の血液中を流れる酵素「eNAMPT」がそのカギだという。
「加齢とともに、マウスでもヒトでもこの酵素(eNAMPT)が減ってしまう。それを遺伝的な操作によって、あるいは外から加えてやることによって、非常に顕著な老化を防ぐような作用が出る。さらに、マウスの場合は寿命が伸びるということがわかった」(今井教授)
まず、若いマウスの血液からeNAMPTの酵素を取り出す。続いて、この酵素を年老いたマウスに注入。すると、マウスに若返りの特徴が発現したという。
酵素を注入したマウスとしていないマウスを比べると、注入していないマウスは毛が抜けてしまっているのに対し、注入したマウスは毛並みがよくツヤもある。また動画で見てみると、酵素を注入したマウスはゲージの中を活発に動き回っているのがわかる。
「体の活動が1年くらい若いレベルに保たれる。(マウスの若返りの)1年というのは、人間の70~80歳が30~40歳くらいの活動レベルを保つ感じ」と今井教授。
また、ヒトへの応用については「それは10年20年先ではなくて、あと数年ではないかと。抗老化の方法論は、日本の場合はサイエンスフィクションのように思われていて、『そんなことできるか』みたいな。ところが、最先端の老化の科学結果からするとサイエンスフィクションではなく、『いつヒトに応用するか』という秒読み段階になってきている」という。
なお、この「若返り」研究の目的は、長生きしても健康で過ごせる「プロダクティブエイジング」社会の実現のためだということだ。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
出典: abema times
https://times.abema.tv/posts/7006681?mobileapp=1&__twitter_impression=true
~ 転載終わり ~
・感想
この血液の研究が実用化されれば、今後、若年者の血液の価値が高くなることが考えられます。
これからの日本は、少子高齢化と資本主義が拡大していくことを踏まえると、貧富の差が益々激しくなり、「階級化」が進むことが予想されます。
階級化が進むと、富裕層には高齢者の比率が多くなり、貧困層には若年者の比率が多くなります。
そのため、高齢の富裕層が若者の貧困層の血液を買い叩く動きが出てくることが予想されます。
高齢の富裕層が「アンチエイジング」を求める一方、若者の貧困層が「お金」を求める動きが出てきて、血液の売買が行われるでしょう。表にも裏にも。
もちろん、そこでは若年者の血液の質も問われることとなります。血液によってグレードがついて、グレードに応じて売買される金額も異なるはずです。
おそらく、現在の献血のシステムに、民間企業が参入することで、血液の売買が活発に行われることが予想されます。
この動きが良いか悪いかはさて置いて、自分の中に流れる血液も、市場価値を持つ時代になる見ています。
③予防医療論文
今週の気になった論文をピックアップして、感想を交えながらお届けします。
~ 転載↓ ~
乳酸菌ラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む乳製品の高頻度の摂取と適度な運動の組み合わせが高齢者の便秘リスクの低減に効果的であることを発見。
株式会社ヤクルト本社(社長 根岸 孝成)と、東京都健康長寿医療センター研究所の青栁 幸利専門副部長は、群馬県吾妻郡中之条町(以下、中之条町)に在住の高齢者を対象に、乳酸菌ラクトバチルス カゼイ シロタ株(以下、L.カゼイ・シロタ株)を含む乳製品の摂取頻度および日常的な身体活動(適度な運動)と便秘リスクとの関係を疫学的に調査しました。その結果、以下の3点が明らかとなりました。
① L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の摂取頻度が高いほど便秘になるリスクが低く、糞便中の乳酸菌数が多い
② 1 日 7000 歩以上歩く高齢者は便秘になるリスクが低い
③ L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の高頻度の摂取と適度な運動(1 日 7000 歩以上歩くこと)の組み合わせは便秘リスクの低減に効果的
これらの結果は、L.カゼイ・シロタ株を含む乳製品の高頻度の摂取と、定期的に運動することが、便秘対策として有効であることを示唆しています。本研究結果は、学術雑誌「Frontiers in Microbiology」(2019年7月31日付)に掲載されました。
https://research-er.jp/articles/view/81428
~ 転載終わり ~
・感想
この論文は、ヤクルトのポジショントークの可能性も否めませんが、善玉菌であるL.カゼイ・シロタ株が、便秘改善に有効であることが示唆されました。
便秘気味な人(特に高齢女性)に対して、ヤクルトを勧めることも選択肢の一つとして挙げられることがわかりました。
ヤクルトは、どこにでも売っていて、場合によっては家まで届けてくれて、そのうえ安くておいしい。これは消費者にとってはありがたい存在です。
今後も、ヤクルト以外にも、様々な乳酸菌と便秘の関連性を研究してほしいと、一消費者として願います。そして、100種類くらいの乳酸菌飲料が並んで、消費者は善玉菌を選べる時代がくると良いと考えます。
おそらく、人によって相性の良い善玉菌と相性の悪い善玉菌もいるはずです。
一番理想なのは、個人個人の腸内環境を、便検査や遺伝子検査などから把握して、その人に最適な配合の善玉菌を、ヤクルトのように手軽に購入できて、おいしく飲めるようになることです。
もちろん、ドクターの処方箋はいらずに。
④予防医療動画
予防医療に関する授業を収録して、YouTubeの限定公開でアップしています。
今回と次回は、北海道の理学療法士の本田創による生活習慣病予防のためのライフスタイルの動画です。
前編と後編に分けて配信します。
前編
https://youtu.be/UgVpH88KJ0o
以上です。今後ともよろしくお願いします。
リハラボ 廣谷
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