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Vol.006 口内フローラ

リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.006
2019/10/04配信 (2020/8/28まで限定公開)


このノートは、毎週金曜日にLINEのOpenChatで配信する予防医療ノートです。
予防医療に関するトピックス、ニュース、論文、動画などをお届けします。
これからの日本の未来は、「自分の健康は自分で守る」時代に突入しました。
自分の健康を守るための、知識や技術、アイデアなどを提供していきます。


目次


①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④予防医療動画
⑤今週の名言


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①今週のテーマ


予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。

テーマ「口内フローラ」


 今回は、口腔内の口内フローラについてまとめます。
 口の中は、腸内と同じように、善玉菌や悪玉菌、日和見菌(中立な菌)が存在し、これらの細菌がバランスよく保たれた環境を「口内フローラ」と呼びます。
 そのバランスは、善玉菌が9、悪玉菌が1、が理想的と言われています。
 しかし、歯磨きが不十分だったり、砂糖を過剰に摂ったりすると歯垢(プラーク)が作られ、悪玉菌が発生し、「口内フローラ」のバランスを乱してしまいます。
 この「口内フローラ」の乱れが、虫歯や歯周病、動脈硬化や心筋梗塞といった生活習慣病を引き起こす原因と言われています。
 歯周病になると歯と歯肉の間に隙間ができ、血管内に細菌が侵入しやすくなります。
 細菌の感染により血管内に炎症が起きると、それを修復しようとLDL-C(悪玉コレステロール)が増加するため、結果として動脈硬化や心筋梗塞に繋がります。
 その他にも、歯周病は糖尿病を悪化させます。歯茎の炎症によって、血糖コントロールが不良になるためです。
 
 それでは、「口内フローラ」をバランス良く保つには、どのような対策が必要なのでしょうか。
 4つの対策を挙げます。

1、歯磨きを「2+2+2+2」で行う

 歯磨きは「2+2+2+2」で行うことです。
 歯磨きは、一日2回、朝食後と就寝前にしたほうがいいです。2分間、2センチの歯磨き粉で磨きます。
 歯磨き後2時間は飲食してはいけません。口内フローラに影響を与えます。また、歯を休ませる時間がとれます。


2、緑茶を飲む

 緑茶などに含まれるカテキンは、歯周病菌のような悪玉菌の繁殖を抑える働きを持っていると考えられているためです。


3、ロイテリ菌(乳酸菌)入りのヨーグルトを食べる

 ロイテリ菌には、ロイテリン(3-hydroxypropionaldehyde)という抗菌物質を作り出し、悪玉菌の発育を抑えるという働きがあります。
 また、ロイテリ菌はビフィズス菌などの善玉菌と共存することが報告されています。


4、グルタミン酸と食物繊維をとる
 
 グルタミン酸は、昆布に含まれる旨み成分です。
 グルタミン酸や食物繊維を摂ることで、唾液の分泌量を増やします。
 唾液は口の中の粘膜についた菌を洗い流す洗浄作用があり、病気になるのを防いだり、口臭を予防したりしてくれる働きがあるので、口腔内の環境を整えるには、唾液の分泌が必要となります。
 


 このように、「口内フローラ」は生活習慣病予防と関係していることがわかります。
 今後も口腔環境に着目していきます。


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②予防医療ニュース


 今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。

~ 転載↓ ~


 グーグル兄弟会社が開発したAI、急性腎障害を48時間前に検知可能に

 コンピューターが膨大な計算や処理を短時間で実行できるようになったおかげで、私たちの生活はずっと効率的になりました。
 特に医療分野は目覚ましいものがあります。
 AIのおかげで人間の医師よりも早く病気を発見でき、より多くの命を救うことができるためです。


 例えば、グーグルの研究者らは今年、より効率的に肺癌を検出できるAIを開発しましたが、それだけでは終わらないようです。
 グーグルの親会社であるAlphabetの傘下にあるDeepMind AIは、急性腎障害(AKI)が発生する48時間前に症状を検知できるといいます。


 AKIとは、血液中に老廃物がたまると腎臓の働きが悪くなり、最終的に脳や心臓、肺などの臓器に影響を及ぼすという、急性腎不全の症状です。
 このAIは、米国退役軍人省と共同で開発されました。


 AKI検出アルゴリズムは、最初のテストで透析が必要になるまで状態が悪化した10人の患者のうち9人を正しく特定することに成功しました。
 AKIはアメリカで年間約50万人、イギリスでは10万人の命を奪っていると言われていますが、多くはすぐには発見されないため、とても画期的なことと言えます。

出典 UVERGIZMO JAPAN

https://this.kiji.is/531224912430597217?c=92846042172669958


~ 転載終わり ~

・感想


 AIの能力が格段に上がっていることや、AI×予防医療の分野に参入する会社が増えていることが影響して、AIによって病気の診断がより正確になってきていることがわかります。
 生活習慣病予防の分野でも、確実にAIは必要となります。
 おそらく、人間ドックや定期検査、遺伝子検査などのビッグデータをAIに機会学習させて、病気の予測やその対処法などを、個別に提案するマシンが登場するでしょう。
 AI×予防医療の動向に今後も注目です。

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③予防医療論文


今週の気になった論文をピックアップして、感想を交えながらお届けします。

~ 転載↓ ~

 妊娠中の野菜、果物、ビタミンC摂取と幼児の行動的問題との関連について発表


 愛媛大学が主導する共同研究チーム(東京大学、琉球大学)が、妊娠中の野菜、果物(特にりんごと柑橘類)、ビタミンC摂取が生まれた子の行動的問題に予防的であることを示す研究成果を初めて発表し、令和元年 8 月 24 日に学術誌「Nutrition」の電子版に公表されました。


 妊娠中の母親が抗酸化物質を摂取することで、母子に対する過度な酸化ストレスやそれに起因する健康問題を防ぐことができるかもしれません。
 これまで妊娠中の野菜、果物、抗酸化物質摂取と生まれた子の行動的問題との関連を調べた疫学研究はありません。

 
 今回、妊娠中から母親と生まれた子を追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用し、妊娠中の野菜、果物、抗酸化物質摂取と子の5歳時における行動的問題との関連を調べました。
 その結果、妊娠中の総野菜摂取と緑黄色野菜摂取は低い向社会的行動のリスク低下と関連し、緑黄色野菜以外の野菜摂取は多動問題及び低い向社会的行動のリスク低下と関連し、果物、特にりんごの摂取は多動問題のリスク低下と関連し、柑橘類摂取は情緒問題、行為問題及び多動問題のリスク低下と関連し、ビタミンC摂取は行為問題、多動問題及び低い向社会的行動のリスク低下と関連していました。

 
 今後、更なる研究データの蓄積が必要となりますが、妊娠中の食習慣の変容により、子供の行動的問題を予防できる可能性を示す非常に関心の高い研究成果であるといえます。


出典 愛媛大学

https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/data_relese-102018/

~ 転載終わり ~


・感想


 人の病気を予防するためには、その人の子供時代からの生活習慣を考える必要があると考えます。
 そのためには、母親のヘルスリテラシーが鍵となります。。
 母親が子供に対して、どのような生活習慣を形成するのか、どのような食事を作るのか、どのような運動を促すのか、どのような教育をするのか、など、母親の考え方次第で、その子供の生活習慣の基礎部分が作られるからです。
 母親のヘルスリテラシーを上げることは、生活習慣病予防をするために重要なことだと考えます。
 今回の研究は、妊娠中の母親が摂取する食物は、胎児にも確実に影響することが示唆されました。
 母親は、妊娠中になにを摂取すれば良いのか、なにを摂取してはダメなのか、を知ることが生活習慣病予防のための第一歩になると考えます。

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④予防医療動画


 予防医療に関する授業を収録して、YouTubeの限定公開でアップしています。

 今回は、北海道の理学療法士の廣谷による「生活習慣病予防のための最新検査」の動画です。
 一回のみの配信です。

生活習慣病予防のための最新検査
https://youtu.be/UFJpvvF6aF0

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⑤今週の名言


 最後に、ココロが豊かになる名言をお届けします。

「人の一生は、重い荷物を背負って遠い道のりを歩んでいくようなもの、急いではならない。

不自由なのが当たり前だと思っていれば、足りないことなどない。

心に欲望が芽生えたなら、自分が苦しんでいた時を思い出すことだ。

耐え忍ぶことこそ、無事に長らえるための基本、怒りは自分にとって敵だと思わなければならない。

勝つことばかり知っていて、うまく負けることを知らなければ、そのマイナス面はやがて自分の身に及ぶ。

自分を責めて、他人を責めるな。

足りない方が、やり過ぎよりまだましなのだ。」


徳川家康


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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)


リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha

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