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Vol.010 AMPキナーゼ

リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.010
2019/11/01配信 (2020/8/28まで限定公開)


 このノートは、毎週金曜日にLINEのOpenChatのサービスを使って配信する予防医療ノートです。
予防医療に関するトピックス、ニュース、論文、動画などをお届けします。
 これからの日本の未来は、「自分の健康は自分で守る」時代に突入しました。
 自分の健康を守るための、知識や技術、アイデアなどを提供していきます。


目次


①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④予防医療動画
⑤今週の名言

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①今週のテーマ


予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。

テーマ「AMPキナーゼ」

 
 先週は骨格筋から分泌されるホルモン「マイオカイン」についてお届けしましたが、今週は、マイオカイン同様に骨格筋から分泌される「AMPキナーゼ」という酵素について書きたいと思います。
 
 AMPキナーゼは、筋肉細胞に存在する酵素であり、細胞のATP(エネルギー)量を監視するセンサーの役目を果たしています。
 それらは、血液中の糖を筋肉細胞に取り込み、低下したATPのエネルギーを補充する働きをするのです。
 AMPキナーゼは、細胞中のATPが多い時には活性化しませんが、ATPが消費されてアデノシン一リン酸(AMP)が増加するとAMPキナーゼが活性化します。
 筋収縮時はATPを多く消費するので、AMPが多くなります。
 低い運動強度でもAMPキナーゼが活性化されることがすでに確認されています。

 このように、AMPキナーゼが骨格筋への糖の取り込むことが、近年になってわかってきたのです。
 骨格筋の筋収縮によって分泌されるAMPキナーゼは、インスリン同様に血糖値を下げる物質だったのです。

 さらに、AMPキナーゼは、糖だけでなく、脂質、タンパク質代謝を調節し、エネルギー産生に重要なミトコンドリアの合成やエネルギー代謝調節遺伝子の発現も調節します。
 また、AMPキナーゼは、ホルモンによる摂食・代謝、炭水化物嗜好性の調節も行っています。
 その他には、抗糖尿病薬として世界中で使用されるメトホルミンの抗糖尿病作用にも関与しています。

 骨格筋を収縮させてATPを消費することで、AMPキナーゼという酵素が分泌され、糖や脂質、タンパク質が代謝されることがわかりました。
 
 これらのことから、骨格筋の働きは想像以上に多くて、人体の代謝にとってとても重要であることがわかります。
 低強度の運動でも分泌されることから、軽い運動でもいいから毎日の運動習慣が大事であることを再認識しました。
 それと同時に、運動しないことによるリスクも再認識しました。
 生まれ持った約600の骨格筋を思う存分に使い、代謝を効率良く回すことが、生活習慣病予防には重要だと、改めて感じました。
 
 
 

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②予防医療ニュース


 今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。

~ 転載↓ ~


牛乳タンパク質なしミルク 乳幼児のアレルギー大幅抑制


出典 NHK NEWS WEB

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191022/amp/k10012142811000.html?__twitter_impression=true


~ 転載終わり ~

・感想

 今後、牛乳タンパク質を除去した牛乳が増えると予想します。
 牛乳のタンパク質に含まれるカゼインは、腸内環境を悪化させることから、牛乳を買わない消費者が増えており、今後もその傾向は続く見通しだからです。
 酪農家や乳製品の会社の生存戦略としては、牛乳タンパク質を除去した新製品の研究開発をしていく必要があるでしょう。
 今回は乳幼児のアレルギー対策としての研究でしたが、これからあらゆる年代にも、牛乳タンパク質フリーの牛乳が普及してくると考えました。


 
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③予防医療論文


 今週の気になった論文をピックアップして、感想を交えながらお届けします。

~ 転載↓ ~

AIが無症候性心房細動を見つける

心電図の機械学習で早期に起こる心電図変化のパターンを予測


米国Mayo ClinicのZachi I Attia氏らは、無症候性の心房細動(AF)を早期発見するために、AFを起こしたことがある患者と起こしたことがない患者の12誘導心電図を大量にAIに機械学習させ、洞調律の心電図を元に、その後AFと診断される患者を早い段階で同定できた報告した。

出典 日経メディカル

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/201908/561997.html


~ 転載終わり ~

・感想


 AIによる画像診断や血液データの解析が盛んに行われているが、今回は心電図のデータを解析した研究内容を載せました。
 
 AIは、プロの仕事を誰でも簡単にできるようにしてしまいます。スイッチ一つで。
 
 一部のプロにとっては大変困る話ですが、大多数の利用者にとっては嬉しい限りです。
 
 10年前は、一部のプロしか解析できなかった心電図が、今では、中学生でもできるようになるのです。
 
 そんな時代に、僕らは生きていることを実感します。

 この研究から感じたことは、AIの恩恵(あるいは弊害)によって「プロ」と「アマ」いう言葉は、徐々に衰退していき、仕事での人間関係がフラット化していく、ということです。

 今後もAI×医療に注目です。
 
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④予防医療動画


 予防医療に関する授業を収録して、YouTubeの限定公開でアップしています。

今回はお休みします。

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⑤今週の名言


 最後に、ココロが豊かになる名言をお届けします。


やなせたかしさん

代表作 アンパンマン

「運をつかむには、自分のやりたいことをずっと継続して、やめないことだ。


 「継続は力なり」という。同時に「継続は運」なのだ。


 「運がよけりゃ」と、棚の下でぼた餅が落ちてくるのを待っていても、


 そんな好都合なことは起こらない。


 自分でぼた餅をつくってこそ、


  類は友を呼ぶではないが、


  いろんな餅が寄ってくるのだと思う。


 自分自身も、世に出なくとも、代表作がなかなか描けなくても、


 黙々と漫画を描き続けてきた。


 アンパンマンはそうした長い歳月から生まれた「運」だったのだ。」

「代表作をつくりたい。漫画家としてのアイデンティティを持ちたい。


 そんな長い間の願いがかない、アンパンマンの人気が高くなったのは、


 なんと七十代に入る直前、六十九歳のときだった。

 遅咲きも遅咲き。


 よく「大器晩成」とおだてられるが、


 いやいや、「小器晩成」の典型だ。


 でも、大器でも小器でも、いいじゃないか。


 せっかく生まれてきたのだ。絶望するなんてもったいない。


 なんとかなるさと辛抱して、とにかく生きていくんだ。


  人生は捨てたものではない。やがて道は拓けてくる。
それが実感だ。」

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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)


リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha

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