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みんなの読書“習慣”


職場でここのところめちゃくちゃ読書に勤しんでる同僚がいる。彼は買って来た本(ほぼハードカバー)をデスクにドッサリ積んでいる。読んで面白かった作家さんの作品をかためて一気に読みたい人のようで、その気持ちは私もよく分かる。ちょっと前は夏川草介さんにハマっていて、『神様のカルテ』シリーズ全巻を一気に読み終えた。私にも夏川さんの作品『始まりの木』を「是非読んで欲しい」と貸してくれたし、別の同僚にも『神様のカルテ』を「めちゃくちゃ良いから」と無理矢理貸していた。託されたほうは読みたくなくても読まなくちゃいけなくなる。借りた同僚は普段読書などしない人で、始めのうちは「今日は5ページ」「昨日は10ページ読めた」て感じでなかなか読み進めることが難しいようだったが、休日になんとか読み終えて、しかも感動して泣いてしまったとかで、「私のような人でも、本を読んで泣けるんだ」という経験が新鮮だったらしい。


彼の読書啓蒙活動は成功した。
そんな彼が今ハマっているのが、ジェフリー・ディーバーさんだ。「面白すぎて、他の作家さんの本を読む気がしない」ほどハマっている。その気持ち、分かる。彼は“ブックオフ”でジェフリー・ディーバーの20何冊セットというのをネットで注文したのだが、このセット、セットとはいうものの、全国の店舗にある本がバラバラに届くらしく、セットとは名ばかり、一気に届くと思っていたので少し残念みたいだ。とは言え、読みたい本が手元に沢山あるのは幸せなことだ。


私が“話せる”相手だと分かったからか、彼は池田真紀子さんの事を信頼しているという話をしてきた。池田さんは海外文学を数多く手がけている翻訳家さんだ。私も、翻訳家さんで本を選ぶまではいかないものの、池田さんのお名前がクレジットされていると信頼度が上がる気持ちは分かる。彼とは、もっといろんな本の話が出来そうだなぁと思って、ふと気付く。「ところで、伊坂幸太郎は読まないの?」私は伊坂幸太郎さんの大ファンだ。ここはファンとして、新たなファンを獲得する活動をしておきたい。


「あぁ、『逆ソクラテス』とか気にはなってはいたんですけど、伊坂幸太郎ってどんな感じなんすか?」
「一言で言うとエンタメ系」
「あ、エンタメ系なんすね」
「うん。沢山映像化もされてるし。でも本のほうが絶対面白い。」
そこから私は、伊坂幸太郎の魅力について語る口が止まらなかった。


「テンポの良い会話」
「巧みな伏線と、その鮮やかな回収」
「ちょっとした特殊能力」
「身近な危機に立ち向かうことで、最後は地球を救ってる、みたいなヒーロー感」
「作品間のリンク」


彼の目が輝くのが見えた。
「良いっすね」「あぁ、そういうの好物っす」「へぇー面白そうっす」「なんか最近新作、出てませんでした?」と彼。「あ、『ペッパーズゴースト』ね。もう伊坂幸太郎らしさが全開で、ニヤニヤが止まらんかったわ」「へぇー、そうなんすか。買いに行こうかなぁ。でも最近本を買いすぎて、彼女からあんまり買うなって言われてるんすよね。」「伊坂幸太郎なら全部持ってるから、良かったら貸しますよ」「え、良いんすか。じゃ、是非」


というわけで、私は次の日に伊坂幸太郎の本を3冊、彼に託した。
伊坂幸太郎入門編として私が初めて読んだ伊坂作品『終末のフール』、シリーズものとして『死神の精度』、そして『逆ソクラテス』。殺し屋シリーズや、ファンタジー系は、初心者にはまだ早い。それで離れちゃうともったいないので、まずは読みやすいところから攻めて、「伊坂幸太郎、最高っす」ってなってからにする。面白いのは分かっているのでそこは心配していないが、他の作品もかためて読みたいと思ってくれるかどうか、期待と関心を持って読み終えるのを待つ。



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